人生だなあ
古い友人の結婚式に参加した。
懐かしい友や先輩方、先生方にも会えて、なんだか心が洗われた気分になった。
ノンアルで結婚式に参加するのは久しぶりだったが、充分すぎるほど楽しかったし、嬉しかった。
家に着いて、車のトランクから荷物を取ろうとして、トランクのふちに頭をぶつけた。
いってーなあ…と思った何秒かあとに、生ぬるい血が顔に滴ってきて、靴や地面にたくさん垂れていった。殺人現場みたいな光景だった。それまで車の中でウォーキングデッドのシーズン8を流していたので、一瞬、どっちが現実なのか本当にわからなかった。
初めて救急外来に駆け込んだ。理由を話したらスタッフに笑われた。
会計待ちで座りながら、向かいにいた小さい女の子と15分くらい遊んだ。若い母親からもうすぐ2歳なんですと言われた。母親の太ももにタトゥーがびっしり入ってて、目のやり場に困った。
それから10日ほど経って、同棲している彼女とちょっとした喧嘩になった。
頭を冷やしたくて夜に家を出て、コンビニでだらだら過ごした。
僕は恋人との喧嘩というものが本当に苦手だ。人生で最も避けてきたものの一つと言える。信頼してる相手だからこそ喧嘩して本気で言い合うべきだという人がいるけど(実際にそんな人と付き合ったことも何度かあるけど)、あまり理解できない。
とはいえ喧嘩はしてしまって、それなりにダメージを受けた。
少し時間をかけて家に戻って、彼女と色々話し合って、仲直りした。
なぜか湘南乃風の『純恋歌』を思い出した。
翌日は僕の誕生日だった。
彼女がサプライズで、プレゼントとケーキと手紙を用意してくれていた。
泣きそうなくらい嬉しかったし、昨晩の自分の馬鹿さを反省した。
この人を悲しませないように頑張ろうと思った。
なぜかヒルクライムの『大丈夫』を思い出した。
いろんな音楽を聴いてきたつもりだけと、こういう時に過ぎる曲がダサいラブソングばっかりなのが不思議だ。
その日、頭の抜糸をしに病院に行った。
会計が300円ちょいだった。たかが300円でお医者さんに仕事をさせたことが申し訳ないと思った。
誕生日に病院のお世話になったことが今まであっただろうか。それこそ生まれたとき以来かもしれない。
待合室はたくさんの人で溢れていた。この人たちみんな体調悪いってことだよなあ…と毎回思う。
それから少し経って、昔の元カノが女性と暮らして子供を育てていることと、知人が女性関係のトラブルで逮捕されたことを、ほとんど同じタイミングで知った。
人生だなあ、と思った。
誕生日ケーキを食べて、台湾で買ったお茶を飲んだ。


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