深淵歩きアルトリウス
はい、たいっへんお待たせしました!
いやね?ナイトレインが楽しすぎるのとジークアクスが面白過ぎるのとメガニケで推しの百合小説を書いてたら遅れちまいました。ほんっと申し訳ござーません。いろいろと並行しながら書いているもんでこんな感じでスローペースの投稿になるかもですね。マジでごめんなさい。
あと、ゼンゼロもぼちぼち進めております。いやぁ、アクション楽しいですね。今回はそんなゼンゼロのアクションシーンにもちょっと挑戦してみました。まだまだ未熟ですがちょっとでも再現出来ていたら嬉しいです。
では、また次の投稿で。
- 18
- 21
- 20,529
〔■■■■■■ーーーーーーーーーーっ!!!〕
騎士が吼え、大きく飛びあがる。
「っ!飛べっ!」
マレニアの怒声に全員が横に飛んだ。
それの少し後に騎士がその場に剣を突き刺した。
ずん、と衝撃が周囲を襲い、もろに食らえば重傷は免れないであろうことを一向に想像させる。
朱鳶がサブレッサーK22を騎士向けて撃つ。
騎士はかわすことなくそのまま喰らった。だがダメージを受けている様子はない。そして、彼は朱鳶を見た。
「…っ…やむを得ません…!」
朱鳶は銃を解体し、エーテル5弾倉リボルバー式ハンドバズーカを組み立てる。
騎士が横から剣を振るうが、それをかがんでかわし後ろへ飛んで距離を離しながらハンドバズーカを全弾撃った。
騎士は飛びあがりつつ、同時に斬撃を二発交互に放つ。それは朱鳶のサブレッサーK22の弾丸を全て弾き落とした。
『そこだっ!!』
ビリーが着地した瞬間を狙い、弾丸を撃ち放つ。
が、騎士はここで近くの自販機をビリーへと蹴った。
『っ!?どわぁぁっ!』
ビリーはあわやというところでしゃがんでかわす。
それと入れ替えにアンビーが騎士に向かっていく。
身を低くしたアンビーは刀に雷を纏わせていた。
最初に飛びあがりつつ、足と胴体に斬撃を食らわせる。
そして降りてきた勢いで肩に斬撃を当てた。
「…っ!サンダーっ!」
そして斬り降ろすと同時に雷がほとばしる。
が、騎士はひるみもしない。
左足を振るい、アンビーの横っ腹へと当てる。
「…っ!」
アンビーは右腕で直撃を防ぐが、その拍子にゴキッと鈍い音が響いた。
「っ!アンビー!」
吹き飛ばされた先にニコが走り、アンビーを受け止める。
ニコはそのまま壁に背中を打ち付け「ぐぅっ!」とうめき声をあげた。
そこに騎士がとどめをさそうと向かってくる。
「定っ!!」
悟空の叫びが轟いた時、騎士の体が金縛りにでもあったかのように動かなくなる。どうやらこれは彼の術の1つらしい。
「あ、あんた今何したの!?」
「いいから逃げやがれっ!多分こいつには長くもたねぇ!」
確かにわずかながらに騎士の体が動き始めていた。
そこにイヴが懐に入り込み、刀を騎士の胸に突き刺す。
かと思えば左足で剣の柄を蹴り、さらに奥へと深く突き刺した。
〔■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーーーーっ!!!〕
騎士の怒りの咆哮が周囲に轟いた。それと同時に悟空の法力が解け、イヴを睨む。
が、イヴは冷静に後ろに視線を送った。
そこでは朱鳶がパーツを組み立て、グレネードランチャーを完成させたところだった。
2人は刹那の間に頷きあう。
騎士が突き刺すように剣を突き出した。
イヴは自分の刀を引き抜くと同時に、新体操選手のように後ろへ飛ぶ。彼女の顔すれすれのところを剣が通過した。
それと同時に朱鳶がグレネードランチャーを放つ。
イヴの体の隙間を縫うようにグレネードランチャーの弾丸が騎士へと向かっていき、直撃する。
そして、騎士はグレネードランチャーの爆風に包み込まれた。
〔■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーーーーっ!!!!!!!〕
轟音とともに騎士の咆哮がその場に轟く。
イヴは爆風に体を押され、朱鳶の足元でかろうじて止まる。
「…っ…ありがとう。合わせてくれて」
「いえ、それより肩を貸します」
言われてイヴは足をみる。左足の足首から先がなかった。
『う、うわぁぁぁっ!!血!血が出てるよぉ!!』
「…平気よ。戻って修理すれば少しは――」
イヴが言いかけた時、爆炎の中から騎士が剣を突きの態勢で構えながら向かってきた。
それはイヴと朱鳶の首を狙っている。
「どぉりゃぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
悟空が伸ばした如意棒を振り降ろし、騎士の頭に一撃を食らわせた。
一瞬ぐらつくが、すぐに悟空を見る。
「っ!悟空!」
「馬鹿野郎っ!早く金庫持ってとんずら――」
言いかけた悟空に向かって騎士が剣を横に振るいながら迫ってきた。
が、そこにマレニアが横から割って入り、騎士の攻撃を上へと受け流す。
騎士は吠え、マレニアへ左足の蹴りを食らわせた。
マレニアはそれを飛んでかわし、同時に二連撃の斬撃を放つ。
が、騎士はその攻撃が来る前にマレニアの剣を大剣で止めた。
両者の剣が交差し、互いに鍔迫り合いの状態となって状況は拮抗し始める。
「マレニアっ!」
「…っ…パエトーンとやら!皆を逃がせるか!?」
『…っき、金庫の中身を使えば行けるかも!でも確証はないよ!』
「えっ!?ちょっとどういうことよ!?」
ニコがアンビーの肩に手を貸しながら尋ねた。
『…全部あのハッカーのせいだよ。皆を逃がすためのデータマップが消されていた!でも…これが何か分からないけど、金庫の中にある物を使えば‥‥あるいは!』
「ちょ、ちょっと待って!!それって…ここから出られないってコトォ!?」
ニコが叫んだ瞬間。
騎士が吼え、マレニアを押し出す。
「くっ…!」
マレニアは上に飛び、騎士の背へ向けて三発の斬撃を放った。
が、騎士はすぐさま振り返りその攻撃を防ぐと同時に鋭い突きをマレニアへと放つ。
マレニアは身をひるがえしてそれをかわし、着地した。
「ならばそれで構わない!ここは引き受ける!皆を逃がしてくれ!」
「なっ‥!馬鹿言わないで!皆で逃げるのよ!」
「誰かがこいつを止めねなくてはならない!殿は引き受ける!っ!」
〔■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーーーーっ!!!〕
騎士が吼え、マレニアへ飛び掛かる。
マレニアはふわりと飛び上がり、地面に大剣が突き刺された衝撃をかわし、横から騎士の頭へと蹴りを放った。
怯むものの、騎士は大剣を右から振るい、刃のない面でマレニアを吹き飛ばす。
「‥‥くぅっ!!」
マレニアは線路まで吹き飛ばされ、態勢を立て直した。そこに騎士が飛び掛かってくる。
「マレニアっ!ダメです!!貴女も一緒に…!」
「悟空っ!あの動き止める奴もう一回やんなさいよ!!」
「やりたくても出来ねぇんだよ!!もう法力がスッカラカンなんだ!!」
アルトリウスが空中で一回転し、マレニアに上から剣を叩きつける。
それを身をひるがえしてかわし、マレニアは右から斬りつけた。
が、騎士はその攻撃を折れているように見える右手で止め、マレニアへ頭突きを喰らわせる。
「ぐぁっ!」
怯むが、マレニアは義手刀を変形させ騎士の胸を素早く切り込む。
流石に怯んだのか、騎士は唸り声をあげ退いた。
そのまま両者は距離を保ったまま円を描くように動き、にらみ合う。
『ど、どどどどうすんだよ!?』
「皆さんは脱出を!私とマレニアは彼を留めてから脱出します!」
朱鳶が線路へと飛び降り、サブレッサーK22を構える。
その時だった。
〈ウ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!!!〉
ここではない遠くから地面を揺らすほどの雄たけびが響いてくる。
ニコだけでなく、イヴや悟空も耳を押さえその場にうずくまった。
「…っ…こいつは…!やべぇぞ…多分、仏か神の類だ…!!」
『よ、要するに、強い奴ってことかよ…!』
「うぅ‥‥もう、何なのよぉ‥‥!」
「…っ…あんな奴が、こっちに来たら…!朱鳶!マレニア!脱出を…?」
咆哮がやみ、イヴが言いながら顔を上げた時。
騎士はその雄たけびが聞えた方角を睨んでいた。
〔…っ!!‥‥■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーーーーっ!!!〕
騎士が吼え、咆哮が轟いた方角へと飛ぶ。
彼はビルを飛びこえ、そのままマレニア達には見向きもせずに遠ざかっていった。
『た…助かった…のか?』
「離れてくれたならラッキーよ!逃げましょう!ほら、二人ともこっち来て!」
ニコは線路にいる朱鳶とマレニアに呼びかけた。
「え、ええ。今行きます…マレニア?」
が、マレニアもまた、その雄たけびのした方角を見つめている。
「‥‥今の叫びは‥‥まさか‥‥」
兜を外し、その方角を見ながら呟いた。その顔には朱い腐敗の影響か火傷のような跡があったが、その整った顔立ちは美人の部類に入るそれだろう。
「…あなたもここに来ているのか?‥‥ラダーン将軍」
「ちょっと!気になることもあるだろうけど今は逃げるわよ!!」
ニコの声にマレニアは「あ、ああ」と頷きそちらに向かう。朱鳶はあえてそれには触れず、マレニアの後に続きニコたちの元に向かう。
「…あぁクソ。俺様が防戦一方たぁ…情けねぇ」
「仕方ないわ。今回は相手が相手だもの」
「イヴの言う通り。今は脱出しよう。パエトーン先生、行ける?」
アンビーが金庫の上に立っているボンプを見て尋ねた。
『ん~…一応ニコの同意がいるけどね』
言うや否や、ニコは目を輝かせて右手を上げた。
「同意する!!」
『受け入れるの早くない?』
「で、よ。その箱の中には何があるんだ?」
悟空が如意棒を耳飾りにして戻しながら尋ねる。その時、イヴに肩を貸していた。
『逆ハッキングして、悪玉ハッカーからもらったデータによると‥金庫にはロゼッタデータ並みに価値のあるものがあるらしいよ?それさえあれば、ホロウを自由に出入りできるみたい。これさえあれば、脱出は出来ると思う。ただ、ニコがこれを開くことに同意してくれれば…』
「同意する!!さっきから言ってるじゃない!!」
『ん?ていうか…あの捕まえた奴どこいった!?』
気づけば、先ほど捕らえた広智が姿を消していた。どうやらどさくさに紛れて逃げたらしい。
「…逃げられたみたい」
「…今はやむを得ませんね」
朱鳶はどこか疲れた表情で銃の点検をする。やはり、あの騎士と戦うのは彼女でも相当神経を使ったそうだ。もう彼を追いかける気力もないらしい。
『話を戻すけど‥‥ニコ、依頼人の方はどうするの?』
ニコは腰に手を当てて、丸出しのお腹を見せつけるようにふん、と胸を張る。
「生きるか死ぬかの瀬戸際なのよ?ここで死んだら依頼も何もないんだから、開けちゃっていいわ」
『そ、そっか。じゃあ開けるね』
言いながらボンプは、金庫にある端末を操作する。
「暗証番号分かるの?」
「開けられない場合は私が斬ろう」
マレニアが背後でガシャン、と義手刀を伸ばす音がした。
「あんたバカァ!?それで中身まで斬ったら私たち一生ここにいる羽目になるわよ!?」
「え‥あ、いや…そ、そんなつもりは…すまない…」
しゅん、と肩をすくめたマレニアの背中を朱鳶がよしよしと摩った。
「…メンタル弱いわねぇ…」
「彼女にも…いろいろあるらしいんです」
『よし、開いた!』
開かれた金庫の中には一枚のチップが保管されていた。
悟空に支えられたイヴが、ボンプの横から覗き込んでそれをまじまじと見つめる。
「…不思議な形状の記憶媒体ね」
「キオク…?なんだそりゃ?」
『まぁ、情報を保存するものって思っててくれればいいよ。さて…実のところ、私もこれに何が保存されてるのかは分からないんだ。強制的に読み取って、何が起きるかは‥』
「待って、質問がある」
読み取ろうとしたその手が止まる。
声を発したのは、アンビーだった。
「‥どうして危険を冒してまで私たちのところに来てくれたの?そのまま逃げ出すことだってできた。何か企みである?」
「ちょっ‥アンビー!」
ニコがたしなめるが、悟空は鼻を鳴らした。
「いいや。俺様は分かるぜ?…そこの牛女はあのもやし野郎のお気に入りらしいからな?そりゃあ助けに来るってもんだろ?」
「う、牛ぃ!!?こ、このバカ猿!!あたしのこと言ってんのぉ!?」
『えっ!?ニコの親分…マジかよ!!気づかなかったぜ!』
「‥‥それを私の前で話していいのですか?」
朱鳶が気まずそうに声を出した。その肩にマレニアの手が載せられる。
「…君の正義に反することかもしれないが‥彼らにはこれから命を救われる可能性もある。ここは目をつぶる、というのはどうだろう?」
「そうしてもらえると助かるわ…それで、どうなの?」
『‥‥変な質問だね』
そう言った刹那、彼女たちが身構える気配がした。当然だ。彼女たちからすれば、今パエトーンたる彼女が命を握っているのだから。気を張るのも仕方ないことだと言えるだろう。
『私は、あんたたちのプロキシだよ。連れて行くって約束したんだから、絶対絶対に連れ出して見せる』
その答えにニコたち邪兎屋はほっと安堵の息を吐いた。彼女たちとしても、プロキシと敵対することはしたくなかったのだろう。
「‥‥人望があるのかしら?」
その様子を見ていたイヴがぽつりとつぶやいた。
「…ああ、そうかもしれないな」
『あと…あんまり考えたくないけど…』
リンは少し声を曇らせた。どうやら話しづらいことを今から言うらしい。
『…もしも私が失敗した時はH.D.Dシステムがインターノットで救援依頼を出してくれる手はずになってる。その時は…』
そう。かの有名な『パエトーン』が出す依頼だ。悪だくみをする人間や、治安局の人間に加え最悪パエトーンの身柄を拘束しようとする輩があのビデオ店まで押し寄せてくるかもしれない。最悪の可能性を考慮したからこそ、リンはそこから先を言うことを憚ったのだろう。
「その時は私があなたの安全を保障します」
言った声に一同は驚き振り向いた。
朱鳶は気まずそうな顔をするものの、皆から顔をそらさずに凛として言い放つ。
「…確かに、プロキシ『パエトーン』は優先逮捕対象です。しかし、今回あなたに命を救われた面もありました。借りを作る気はない‥という訳ではありませんが、筋は通すつもりです」
「…あんた、頭の固い治安局の奴かと思ったけど…案外、話分かる奴なのね」
『‥ありがと、保安官。今日ここに助けに来てくれたのがマレニアさんと朱鳶さんでよかったよ』
「あ!あたしたちだって何があったって助けに行くからね!」
「こう言ってるけど、ニコはたまってるツケのことを気にしてると思う」
「ちょっ!?アンビー!何言うのよ!!」
ボンプはチップを手にして、その額に当てた。
『ふふ、そんなこと言っても依頼料はチャラにならないからね!』
そして、吸い込まれるようにしてチップがボンプの中に吸い込まれていく。
『‥‥ンナナーーーーーーーーーーーーッ!!』
まばゆい光とともにボンプが浮き上がり、その光景を最後にリンは意識を失った。
アルトリウス様!!