介護施設で入所者2人死亡 元職員「殺害していません」 “注射器で空気注入”真相は
介護施設で入所者2人を殺害した罪に問われている元職員の女の初公判が開かれました。女は全面的に否認し、無罪を主張しました。
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予定されている裁判の回数は、60回。審理期間は210日間にも及び、これは裁判員裁判として、過去2番目の長さです。
それだけ長い時間をかけて審理する必要がある裁判、ということ。法廷に立ったのは、介護老人保健施設の元職員、赤間恵美被告(39)。
施設に入所していた2人の男性を、殺害した罪などに問われています。
■殺害を全面的に否認 犯行裏付ける証拠は
2020年。茨城県古河市の介護老人保健施設「けやきの舎」に入所していた鈴木喜作さん(当時84)と吉田節次さん(当時76)が、相次いで亡くなりました。
当時、介護職員として働いていた赤間被告。
起訴状などによると赤間被告は、点滴のチューブに注射器のシリンジを使って空気を注入し、鈴木さんらを殺害したとされています。
ただ、赤間被告の犯行を裏付ける直接的な証拠は、これまで見つかっていません。検察側は、関係者の証言や状況証拠を積み上げてきました。
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裁判の冒頭。
裁判官「鈴木さんを殺害した罪について、言いたいことはありますか?」
赤間被告「私は空気を注入していません。殺害していません」
裁判官「吉田さんについてはどうですか?」
赤間被告「私は空気を注入していません。殺害していません」
赤間被告は、2人の殺害を全面的に否認。
裁判官「弁護人の意見は?」
弁護側「赤間さんは静脈に空気を注入する行為はしておらず、殺害はしていません」
弁護側は、無罪を主張しました。
■殺人事件?病死?当時は“コロナ禍”で…
裁判の争点は、主に2つ。
「そもそも殺人事件なのか?」
「殺人事件だった場合、赤間被告による犯行なのか?」
鈴木さんと吉田さん、それぞれの事案を、検察側は立証していきます。
10日は、鈴木さんについての審理。検察側は、まず事件かどうかについて、鈴木さんの健康状態は良好で、容体が急変するような問題はなかったと主張。外部から空気を注入されたこと以外の原因で死亡するとは現実的に認められないとして、殺人事件だと主張しました。
それが赤間被告による犯行なのかどうかということについては…。
当時、コロナ禍だったため、外部から誰かが侵入して、鈴木さんの部屋に入ることは困難。さらに犯行時間帯、赤間被告が2回にわたって鈴木さんの居室に出入りしているところを目撃したという証言があることなどから、検察側は「赤間被告以外の第三者による犯行だとすれば、合理的説明が極めて困難」だとして、赤間被告による犯行だと主張しました。
一方、弁護側は…。
弁護側「鈴木さんは司法解剖されておらず、直接の死因は心不全となっている。それ以外の理由で死亡したというならば、検察側に説明する責任がある」
鈴木さんは司法解剖されていないため、心臓の病気をはじめとする他の原因で亡くなった疑いが残るなどとして、「殺人事件ではない」と主張しています。
裁判には今後、140人以上の証人の出廷が予定されていて、判決は来年7月に言い渡される予定です。