大分182棟全焼でも「賠償ゼロ」の衝撃…弁護士が明かす「もらい火」賠償責任の残酷なリアル
「時価」と「再調達価額」で天国と地獄…生活再建を左右する「火災保険」の条件
飲食店の重過失だと認められなければ賠償金は支払われない。その支払いも裁判や調停を経てから。しかも、家を建て直せるほどの金額ではない。いったいどうしたらいいのだろう。 「火災などで家屋が大きな損害を受けた場合、新築に建て替えられる“再調達価額”補償の火災保険に自ら入っておくことです。そうすれば、築年数に関係なく、新しく家を建てることができます」 火災保険に入っていることは重要だ。近隣の火災の影響で、たとえ焼けなくても水浸しになれば補償してもらえる。これは一戸建てもマンションも同じだ。住宅ローンを組んで分譲マンションを購入する場合、火災保険に加入することが条件になっている。この火災保険がカバーするのは、専有部分だ。エレベーター、廊下などの共用部分はマンションの管理組合が加入している火災保険でカバーされる。 糸魚川市の大規模火災では、日本損害保険協会の調べによると、67件に対して12億円近くの保険金が支払われたという。ということは、147棟のうち80件は保険を請求しなかったということか。12億円も支払われたと聞くと驚くが、1件あたりに換算すれば2000万円弱。家を建て直すには心細い金額だ。再調達価額補償をつけておけば、万一のときも安心だが、再調達価額を補償しない場合と比べて保険料が4~5倍になることもある。 「賠償金はほとんどあてにならない。生活を再建するためには保険に頼るしかありませんが、保険料との兼ね合いもあるでしょう。私自身は命さえ助かれば、なんとかなると思っているので、自宅にかけている火災保険の補償額はほどほどです」 いちばんいいのは火事に遭わないことなのだが……。 取材・文:中川いづみ
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