市販の風邪薬で「パキる」のがステータスのように 若い世代でオーバードーズ(OD)が深刻化 経験者が語る「脳みそが溶けるって感じ」
■ODは「生きづらさのサイン」 ODをやめるのは簡単ではない。そもそも日本の薬物乱用防止教育は「ダメ、ゼッタイ。」といった呼びかけを続けてきた。だが、若者のODは「生きづらさのサイン」でもある。頭ごなしに否定されると、ますます孤立する。 同法人が「ODをやめたきっかけ」について聞くと、「これ以上やったら死ぬって思った」「家族にパキっている姿を見られた時」という回答があった。 冒頭のメロンニートさんは、1年ほど前にODをやめた。きっかけは、続けていたピアノを再開したいと思ったのと、薬に使うお金がもったいないと思うようになったから。薬局で1箱1650円のせき止めを買うのなら、カラーコンタクトレンズを買おうと考えるようになった、という。 「お金がもったいないと思えれば、やめられるかもしれません」(メロンニートさん) 先の清水さんは、「官民連帯して取り組む必要がある」と強調する。 最近、歌舞伎町の近くに朝5時まで睡眠薬を買えるクリニックが開設した。そこでは未成年でも保険証がなくても買うことができる。こうした実態を行政は知って、対策を取ることが必要だという。そして、民間の役割としては、「居場所づくり」も欠かせないと語る。 「ODに走る子どもたちには、自分を受け入れ、認めてくれる場所が必要です。そこで薬を使わなくても安心でき、話を聞いてくれる相手がいれば、状況は変わっていきます。そうした逃げ込める場所を社会の中に増やしていくことが重要です」(清水) 問われているのは、個人ではない。社会全体の向き合い方だ。 (AERA編集部・野村昌二)
野村昌二