市販の風邪薬で「パキる」のがステータスのように 若い世代でオーバードーズ(OD)が深刻化 経験者が語る「脳みそが溶けるって感じ」
■誰でも手に入る市販の風邪薬で 誰でも手に入る風邪薬やせき止めなどの市販薬でも、大量に服用すれば身体への深刻な影響が懸念されている。興奮、幻覚、けいれん、記憶障害。肝機能や腎機能が低下し、最悪の場合は死に至る可能性もあるといわれる。 厚生労働省も、ODは違法ではないが「心と体を傷つける危険な行為」と警鐘を鳴らす。同省のHPには「特に、市販薬には、いろいろな成分が含まれているため、たくさん飲んで中毒になった時に、作用が影響し合って、原因が分からなくなる場合があり、治療がとても難しくなってしまいます。例えば、風邪薬をたくさん飲みすぎると、肝臓が壊れてしまったり、死んでしまうおそれもあります」と明記されている。 なぜ、命にも関わる危険な行為に手を出してしまうのか。 歌舞伎町に事務所を構え、若者たちの相談に乗る公益社団法人「日本駆け込み寺」代表理事の清水葵さん(26)は、「ODをする子の多くが、SOSを出せない環境に置かれていると感じる」と話す。同法人が昨年、市販薬の乱用者に行ったインタビューでは、ODをしたくなるのは「バッドに入った時」「気分が落ち込んだ時」「気分を変えたい時」「寂しい時」などの回答があった。 「悩みなどを打ち明けられる場所があり、信頼できる人がいれば、薬に頼らずに済むはずです。しかし、それらがなく、薬を飲めばフワフワとした浮遊感や偽物の幸せのような感覚が得られるため、ODを繰り返す子が少なくありません」(清水さん) ■ラブホテルで「パキ会」 いま、歌舞伎町でODをするのは10~20代の若者が中心で、女性が大半だ。一度に睡眠薬を100シート飲んで、緊急搬送された19歳の女性もいた。薬代は、「パパ活」や体を売って手に入れる子も少なくないと清水さんは言う。 「最近は、『パキ会』と称して、ラブホテルなどで、友だち同士でODをするケースが増えています」(清水さん) 薬の入手経路も様々だ。 薬局では風邪薬など「乱用等の恐れがある医薬品」を販売する際、20歳未満は「原則1人1箱」に限定している。だが、複数店舗を回れば、いくらでも手に入る。フリマアプリでは、ぬいぐるみの名目で薬が売買され、ネット通販で購入できる薬も少なくない。 清水さんは、歌舞伎町ではODが若者たちの間で一種のファッションやステータスのようになっていると危機感を表わす。一部の睡眠薬は、飲むと舌が青くなる。それを見せ合うのが若者の間で流行っていると。 「SNSでは、パキって街をふらふらしながら歩いている子の動画も投稿されています。それを見て興味を持って、ODを目的に歌舞伎町に来る子もいます」(清水さん)