市販の風邪薬で「パキる」のがステータスのように 若い世代でオーバードーズ(OD)が深刻化 経験者が語る「脳みそが溶けるって感じ」
薬を乱用する「オーバードーズ(OD)」が若い世代に広まっている。市販の風邪薬など誰でも手に入る薬を使用して「パキる(酩酊状態になる)」ことが一種のステータスのようになりつつあるという。事態が深刻化し、ODの結果、命を落とす少女も出ている東京・歌舞伎町を取材した。 【写真】10年近くオーバードーズを続けていたメロンニートさんはこちら * * * 「脳みそが溶けるって感じです」 東京・歌舞伎町。この街で薬を乱用する「オーバードーズ(OD)」を続けていた女性の通称、メロンニートさん(40)は、その時の感覚をこう表現する。 ODを始めたのは10年ほど前。当時は北海道に住んでいたが、失恋をし、突発的に睡眠導入剤を大量に服用した。飲むと、フワフワする感覚を得られやめられなくなった。4年前に東京に来ると、歌舞伎町に入り浸り、ODを繰り返すようになった。 市販薬のせき止めを、初めは1シート(10錠)程度飲んでいた。だが、次第に耐性がつき、飲む量は増えていった。しまいには、5シート飲まないと効かなくなった。錠剤を粉にし、甘い飲料に混ぜて飲むこともあった。 常用していた時は、友だちの名前を思い出せず、 自分の名前も書けなくなった。ピアノをやっていたが、楽譜が読めず、弾けなくなった。意識が飛んで、救急車で緊急搬送されたことが10回以上あったという。 「パキっていると怖くないんです。高所恐怖症の私でも、ビルの高層階から下を覗いて『飛べそう』って思いました」(メロンニートさん) パキるとは、ODによって酩酊状態になることだ。いま、このODが若者たちの間にも広まり、深刻な問題になりつつある。 ■14歳の女子中学生が飛び降り自死も 10月中旬には歌舞伎町で、14歳の女子中学生が雑居ビルの踊り場から飛び降り命を落とした。少女は、以前から歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる周辺で目撃されていて、飛び降りる直前、市販薬を大量に飲んでいたという。 2025年版の『自殺対策白書』によると、24年の15~29歳の自殺者数は5年連続で3千人を超えた。39歳以下の自傷・自殺未遂で最も多い手段は医薬品などのODだ。特に女性の自殺者は、20~30代前半では自殺未遂歴がある人が4割を超えているという。