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上杉昇さんUnofficialブログ ~Fragmento del alma~ 

鍛えぬき磨き上げ

1999年4月 GIGS


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●ロックスタンダード(基準)とでも言いたいようなアルバムだったね。
しかも昨年リリースされた3つのシングル曲も、実は何年も前から本作の所定の位置に
収められることが決まっていたかのようなハマり具合で。

柴崎さん:実際はそんな構想は全然なかったんだけど(笑)

●確かにこれまでのインタビューでは、アルバム制作の気配すら感じなかった(笑)

上杉さん:制作時間もかなり短かったんでね。集中してガッとやって、寝る間もなくて
曜日の感覚もないまま今日に至るみたいな(笑)

●完成したのは今日の取材の2日前(1月末)なわけだしね。


上杉さん:それまでは二人で手分けしてっていう感じの作業の連続だったんですよ。

柴崎さん:こっちがある曲のミックスに立ち会っている時に並行して上杉はヴォーカルを
録っているとか。最初の内はボクが歌入れのディレクションをしていたんだけど、後半は
上杉一人で録ることになって。

上杉さん:自分が今録った歌の善し悪しをその場で判断するっていうのはすごく難しかった。
とりあえず、その場に居合わせたスタッフとかの意見を聞いたりしてジャッジしていたんだけど
家に帰って改めて聴き直してみると気に入らないところが出てきて、翌日また歌い直したり。

柴崎さん:段取りが悪かったりして?

上杉さん:全然悪かった(笑)

●二人共アルバムレコーディングということ自体は過去に何回も経験している

わけだけど・・・

上杉さん:前のバンドではオレは単に詞を書いて歌えばよかったし、柴崎もギターを弾いていれば
よかった。その点al.ni.coでは二人してやらなくてはならないことが凄く多いんですよ。取材とかも
以前はこんなになかったし。

柴崎さん:(笑)愚痴を言ってもしょうがないでしょ(笑)

●今回は歌ひとつひとつとっても曲ごとにかなり違うアプローチになっている。ああいうところだけ考えても
時間がかかりそうだよね。

上杉さん:実際のレコーディングは別として、歌の方向性自体はデモの時から見えていたんですけど

●例えば「Suicide Solution」は淡々と歌ってみせるとか?

上杉さん:ですね。あの曲はちょっと前に自分の中に起きたビートルズブームの影響でできたものなんですよ。
だけど、オアシスが第二のビートルズ的な言われ方で大ヒットしたもんで、彼らの真似をしたと思われるのが
シャクになった(笑)で、曲調はともかく、歌い方はこういう方向にしてみたという。

●あの曲の凄くシリアスな内容じゃない?それを最初からシャウトしたりせずにグッと抑えた歌い方で
始まって見せたところに逆にロックを感じた。1曲目の「Prologue」にしてもハードな詞の前に
明るくちょっとヤケ気味にラ・ラ・ラとスキャットしたりして。そういう自分の内面とのせめぎ合い
みたいなのが裏表一体になってさらけ出されていて、そこがロックだなあと思った。

上杉さん:10年かかりましたからね。ここまで来るのに。自分の志していたロックに自分のメンタリティー
を植え付けるというのは10代のころからの夢だったんですよ。その頃、そういうロックを聴いて
”ああ、いつかは自分のこういう作品を作りたい”と思った。だけど、デモテープはともかく
メジャーでCDを作るとなると、なかなか自分のパーソナリティーを100%入れ込むことは難しい。
完成するまでにいろんな人の考え方が入ってきたりするから。で、ここに至ってようやく環境も
整って、全力でぶつかれるものが作れたという。本当に今回のアルバムはどの曲を録る時も
”これで最後になってもいい”っていうくらいの気持ちで臨んでいましたから。
といって最後のにはならないんですけれど(笑)

●なったら困るよ。

上杉さん:でも、人間いつ何があるか分からないですからね。明日地震が起きてタンスに挟まれて死んでしまう
のかもしれない(笑)と考えると、今出せる限りの力を出すしかないんですよ。

●といった気分は多くの収録曲に見え隠れしている気がする。

上杉さん:”世の中不景気なんだから、もっと明るい詞で明るい曲を歌ったら?”とか言われるん
ですけどね(笑)でも、それって臭いものに蓋って気がする。暗い時こそ人生の底辺にあるものを
分かることで安心したいっていう人も一杯いるはずだし。自分もそういうタイプ。だからあえて
明るい歌にしようとは思わないんですよ。

●今回柴崎君はどんな風にアルバム作りに立ち向かったのかな?

柴崎さん:去年だした3枚のマキシシングルのナンバーも含めて、1曲ごとにその時々に
自分たちが感じた最高のヴィジョンを反映できたとおもうんです。結果、al.ni.coの未来に
向けての価値あるプロトタイプとしてのアルバムが作れたという。

●これまでのシングルと同様、アルバムで初登場の新曲たちも凝りに凝ったアレンジになっている。
そのサウンドメイキングには主にどんな時点で考えられたものなのかな?

柴崎さん:基本となっているのは初めて上杉のデモを耳にした時の印象です。そこからパーっと
発展させていった感じで。中には結構前にプリプロしていた曲もあって。そういうのに関して
改めてアレンジを考えてみたちもしたんですけどね。でも、なかなか第一印象から広げていった
最初のアレンジを越えられないなくて。

●でも、多くの曲はプリプロ時に考えたままをレコーディングしていった?

柴崎さん:ベーシックはそれです。そこにスタジオで湧いたアイディアを加えていった感じです。

●あれだけ密度の濃いアレンジをする場合、どんなところで善し悪しを判断しているの?

柴崎さん:新しい音を加えようとする場合はいつも、それ以前に録った音を全部同じくらいの音量で
鳴らしながら考えるんです。そうすると”この音を入れると、あの音とぶつかってしまう”
とかいうのが凄くよく分かる。もしぶつかっちゃったら入れようとしていたフレーズに無理があるわけで
その時は別の方向で考えるようにしています。

●新作には素晴らしいギターソロがいくつも入っていますけど、ソロはアドリブ?

柴崎さん:家で考えたものとアドリブです。

●「Living For Myself」の後半の十分に時間をかけて盛り上がっていくソロとかも?

柴崎さん:ええ。

上杉さん:あの最後の方でライトハンドが出てきた時にはさすがに驚きましたが(笑)

柴崎さん:思わず出ちゃって(笑)

●曲のサイズが長い分、自然発生的なプレイも出やすいという面もあるのかな?

柴崎さん:ああいうところはヴォリュームペダルをかましているんですよ。パンと弾いたら
すぐにしぼり込んで無音にする。ブレイクで弾いた後に変にノイズが残っていたりすると、
それだけでテンションが下がって聞こえちゃう場合が多いんで

●曲のテンポに合ったトレモロっていうのもいろんな部分に出てきてたね。

柴崎さん:厳密には合ってないんですけどね。あれは。普通のアナログ・トレモロのレイトの
つまみを耳だけを頼りにセッティングしているだけだから。スティーヴィーサラスとか完全に
テンポとシンクロしたトレモロを使っていたりするし、ボクも「G」ではその方法を試して
みたんですけどね。でも、イマイチだった。カッチリとテンポに合っていれば曲の雰囲気に
ハマるっていうものでもないわけで

●あくまで自分の感覚を頼りに疑ったことをやるというのが柴崎流かもしれない。

上杉さん:「Brindman's Buff」なんかは、かなりシンプルなアレンジになっているけれど

柴崎さん:コードが二つしかないし(笑)でも、その中で変化をつけられるかっていう
アプローチしているんですけどね。

●「G」なんかはオケはシンプル。ヴォーカルの方で引っ張っていた感じだね。
あの1センテンスごとに入っている協力なコブシで(笑)

上杉さん:あれは最初はもっと協力だったんですけどね。協力過ぎて浮いてしまうということで。

柴崎さん:コブシの部分だけに、いちいちエコーかけてニュアンスを和らげたという(笑)

●そしてアルバムのラストには「Prayer」

上杉さん:ドカーンて感じで”終わった!”というより、エンディングを抑えるノリに
したかったんです。

●それはなぜ?

上杉さん:その方がクールでいいかなあと思ったから

●この曲までの部分でもうどっぷりと聴かせまくってますからね(笑)

上杉さん:でも、ダイレクトな毒素みたいなものはそんなに出ていないと思うんですよ。
自分の曲はどこかメロディアスだったりするんで。その分毒素が隠れてしまっていると思う。

●そこが心残り?

上杉さん:だもんで、凄くダイレクトなやつを入れたりもしているんですが

●ふーん

上杉さん:”打倒ギターウルフ”っていう感じで(笑)

●前は”打倒ゆず”って言ってましたが。

柴崎さん:ああ、前のシングルの時(笑)

上杉さん:誰にも負けたくないんですよ、本当は(笑)


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