これが”始めの一歩”でも”純度100%”のロックアルバム
●始めて耳にする人は誰でもきっと驚くと思う。いや、ガツンとやられるという方が当たっているかも。
WANDSを離れ、アルニコとなって始めてリリースするアルバムの、そのパワーあふれる音、テンションの高さに。
そして納得するはずだ。
そうか、ふたりはこういうことがやりたかったんだなあと。
上杉さん:アルニコのめざすものとしてはまだ最初の一歩かもしれないですけど、ロック少年だったころに
見た純度100%のロックアルバムを出すという夢は10年かかって、やっと実現できたという感じですね。
●それにしても、やわなリスナーはぶっとんでしまうに違いない。サウンドはオルタナ系だし、詞も曲も
すごくハードだ。
上杉さん:いま世紀末で世の中どんよりしているんで、さらにどんよりしたものをだしてみようかなと。
沈んでいるときに、明るくて青空のような音楽を聴いて、気分転換するやり方にもあるのかもしれないですけど、
僕の場合、さらにどんよりして、人生の底辺を表現しているかのような音を聴いて、このへんに底があるのかなと
知ることでハッピーになれる部分もあるんで
●確かに、元気を出して前向きにと励ますポジティヴソングが多い中、異色の音といえる。
柴崎さん:他と比べてもあまりないと思います。さらりと聴かせるより、もっとダイナミクスも
大きいし。上杉のメロディに自分を反応させると、こういうふうにやりたくなっちゃう。それが自然の
ことなんですけど。
●今は客観的に言葉を並べられるようになったけれど、浮世にはさまざまありすぎて、一時は精神的に
ドーンと沈み切っていたらしい。
上杉さん:デビュー曲「TOY$!」の制作前後がいちばん、何事に対しても、だから何だよって感じで、
ドツボだったんですけどね。とにかく救いが欲しくて作ったのが「晴れた終わり」これができたことで
自分を冷静に振り返られるようになって、あのときはこうだったなと思いながら作ったのが「カナリア」
ですね
●自分をごまかさず落ち込み切るのは実は大変なこと。この真摯さ、いまどき貴重だ。だからだろう、
作業中は結構ぶつかりあいもあるらしい。
上杉さん:お互いに自分のメンタリティとかパーソナルな部分を表現したいという思いが
強くて前のバンドを離れた、とういうのもありますから
柴崎さん:曲順とか、どの曲をアルバムに入れるかとかはどっちかが折れたりするけど、
音楽に関してはぶつかりっぱなしって感じです。100%以上のビジョンというと矛盾するところも
あるけれど、そういう地点をめざしてやっているので、手本がないんですよね。だからこそ、すごく
チャレンジしがいがあるし、できあがったときの喜びも大きい
●タイトルの「セイレン」とはギリシャ神話に出てくる半人半鳥の魔女。類まれなる歌の魅力で
航海する船をおぼきよせ、遭難させるといわれている。
上杉さん:自分たちもロックというものにおびき寄せられ、沈没しそうになったり、ときには恍惚感を
味わったり、いろいろありながら、やっとたどり着いたアルバムなので、いいかなと
●セレクトの3枚は、もちろんこだわりの音ばかり
上杉さん:ザ・レインコーツは’80年代のネオパンクの女の子バンド
柴崎さん:ここまでやっちゃうとついてくる人も少ないだろうなと思うけど(笑)姿勢は好きです
上杉さん:メルヴィンズは底辺を表現しているという部分で共通しているものがある。
ジェーンズアディクションはオルタナ界のカリスマ、ヴォーカリストそしてアイドルです
●記録に残るよし、記憶に残るバンドになりたいと、彼らはあるところで言ったことがある。
耳になじみよく通りすぎるものより、心に引っかかるものを作りたい、ということで
もあるのだろう。このアルバムはその大事な方向を見せてくれたと思う。
アルニコ オススメのアルバム
「オディシェイプ」
ザ・レインコーツ
メルヴィンス
「ジェーンズアディクション」
ジェーンズアディクション