シャンフロプレイヤーワイ、フレが奥手すぎて夜しか眠れない   作:嘉神すくすく

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シャンフロ劇場的なひとくち回です。上には上がいます。


書きたい時に書いた、本筋に絡まない単話たち
短話1 タイガー・センサーを超える者


 唐突だがワイちゃんは勘が鋭い。

 ……のだが、その勘が普段通りに働かない状況が存在する。ラクこと陽務楽郎と一緒にいる時だ。

 

 小学生の頃からずっとそうだった訳では無い、具体的な時期はわからないが中学時代のある時を境にそうなったのを覚えている。

 

 別に何か困ることもないのだが、気のせいと言って済ませられない程度には再現性があるのと、正体が掴めないという事実が単純に不快でかれこれ二年程度はその原因を探し続けていた。

 

 空いているファミレス店内、その奥の席にワイちゃんとラクは座っている。

 

「……!」

 

 視線。

 

 それはワイに向けたものでは無い、向かいに座ってフライドポテトをかじりながらスマホをいじっているラクへ向けたものだ。

 

 ワイちゃんはタッパがあってシンプル目立つ上に、それとは別に威圧感があって人の目を引くらしい。なので周りからチラチラと見られる感覚にはなれている。

 

 だからこそ、ワイちゃんを挟んで第三者を見ている感覚に気付けた。

 

 即座に振り向……かずに、玉ねぎとベーコンくずが入ったスープをすする。

 

「新型ヘッドギアの性能見た?」

「見とらんな、触覚周りが強いってだけは聞いとる。新しいのに変えてみたい気持ちはなくも無いんやけど、変えるほどかって気持ちもあるんよな」

「それな。ソフト側が追いつくのかってとこもなぁ」

「少なくとも大半のクソゲーには無用の長物やろ」

 

 空いたグラスを手に自然と席を立ちドリンクバーへ向かう。

 

 タイガー・スキンおよびタイガー・イヤーによる情報では、店内の人の数はフロアに17名、厨房に6名、具体的な位置まではわからないが厨房奥のバックヤードに2名。

 

 タイガー・アイによる情報の精査と誤差の修正を行う。フロア16名、トイレに1名。

 

(この中では、ない……?)

 

 ()()()、視線の元となる人物は認められなかった。

 

 

 

「陽務くんと周布くん、どんな話しをしてるんだろう……」

 

 

 


 

 

 

 楽郎の同級生に話すと少し驚かれる内容なのだが、あいつは週に数回ジョギングを行っている。近所のコンビニへエナドリを買いに行ける程度の体力はゲーマーに必須だの戯けたことを言っていたが。

 そのためロードワークや愛犬(リュウ)の散歩の最中に合流することがたまにある。

 

「あう、あう! うー」

「なんだ、リュウのやつどうかしたのか?」

「なにか見つけたらしい」

 

 タイガー・ノーズが何者かの意図を拾うのに先んじて、ドラゴン・ノーズが風上に何かを感じたようだった。

 

 流石は周布家が誇る賢い番犬だ、射撃趣味が高じたお母さんが猟犬に仕立てあげようとしていただけあり、獲物の匂いには敏感なようだった。

 

 リードを引かれ進む先に、ワイちゃんが感じた予感の無臭の源があるのを感じつつ歩を進める。

 

「いらっしゃいませ。……あらあら! 可愛いお客さんですね」

「わう! わう!」

「へぇ、こんな所に焼き芋の店なんて出来たんだ」

「そんなだから猟犬ルートに進めなかったんやぞっ! くらえ”MOCHI MOCHI Attack”……!!」

「わふわふ!」

 

 自宅警備犬のホッペを撫でくりまわす、周布一族の必殺技である。幼少のワイちゃんを最も苦しめた技でもある。

 

「クゥーン…クゥーン…」

「……すいません、ウチの子が食べれるやつと焼き芋二つください。ラク、座ろうや」

「やったぜ」

 

 リュウに狩りはわからぬ、しかしおイモと鶏肉ジャーキーには犬一倍敏感であった。

 ……不思議なことに、釣られたという感覚が残った。

 

 

 

「陽務くんもここの焼き芋気に入るかな……」

 

 

 


 

 

 

「なん使う?」

「プリン」

「クッパ選んどるやんけ。ところでさ、最近ストーカーとかーーーーッ、何奴!?」

 

 大乱闘なレトロゲームを起動してから少しした頃、明確な殺気を感じた。

 

 並々ならぬ気配である、最近手合わせした沖縄発祥古流武術の達人に迫る圧だった。

 

 すぐさま立ち上がりその方角を見据えるが

 

「なにしてんだよ?」

「お、おらん……!? いいや今のが錯覚なわけが……!」

「お前パックンフラワーな」

「勝手に決めんなやボケ!」

 

 

 

「周布くんいつも一緒ですね……? それにしてもレトロゲームはハードル高いなぁ……」

 

 

 


 

 

 

「…………なんてことが続いてまして、どう思います岩巻さん?」

「あー、はいはいはい、なるほどねぇ……そぉぉぉれは間違いなく疲れてるねー、そうに違いないね、うんうんうん。……少しの間刺激の強いゲームから身を置いてみたら? VRリラクゼーションのソフトがオススメです」

「1番ええやつください」

「……お買い上げありがとうございます」

「…………()()?」

「ごめん、今はまだ……ホントかんべんして……」

「チッ」

 

 今回も謎を暴くことは適わなかったが、この乙女ゲーマーは真相を知っている。

 

 今は岩巻さんの胆力に免じて見逃してやるが、いつか必ずたどり着いてやる。

 





・周布虎斗:陽務くんと同じ中学校出身、友達思いでストーカーが嫌い。

・陽務楽郎:またしても何も知らない。特にストーカー被害は受けていない、少なくとも本人はそう信じている。

・岩巻真奈:全てを知っている。

モモちゃんがヒロトくんとスーパー銭湯に行く話を投稿していいすか?

  • あ、いっすよ(快諾)
  • 頭湧いてるんですか?
  • そんな姉さんの話より私と陽務君の絡みをも
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