シャンフロプレイヤーワイ、フレが奥手すぎて夜しか眠れない 作:嘉神すくすく
2025/02/01 注釈と後書きを追記しました。読まなくともまったく問題無い内容です。安さには理由がある、それだけはハッキリ伝えたかった。
ディープスローターというサンラクのネットストーカーがシャンフロ内にいるのだが、そいつは当初ワイのことを明確に敵視していた。
シャンフロサービス開始から1ヶ月程経った頃。
公式PvPコンテンツである闘技場がフォルティアンにて解放され、一ヶ月後には第一回目の大月輪*1が開催されるというアナウンスにPvPメインのプレイヤー達が沸き立っており、例に漏れずワイちゃんもノリノリのりへい*2で各種大会やフリーバトルをエンジョイしまくっていた。
大陸最後半のエリアにゲーム開始から1ヶ月で、なおかつレベル
ディープスローターが初めて接触してきたのは、闘技場でワイの名が売れ始めて少しした頃だ。
『
『ん? どちら様?』
『サンラクくんはご一緒じゃありませんか?』
『あー……もしかしてお知り合いやったり、する? 申し訳無いんやけど、なんのゲームの誰なのか教えてもろても?』
『サンラクくんはどちらにいらっしゃいますか?』
『……あの?』
『サンラクくんは今何をしてらっしゃいますか?』
『…………あぁん?』
おそろしく平坦な声もあって初対面の時はヒトと話してる気が……いや、プレイヤーとして話しかけられている感じがしなかった。
それもワイが鋭いから感づいたというものではなく、相手に隠す気がなくて否が応でも気付かされたと言うのが正しい。
ゲーム内のイベントフラグを立てるため
時間の無駄やな、そう考え無言でその場を後にしようとしたのだが
『ふぅん……まだやってないんだぁ、サンラクくん』
『…………』
『ーーーーはぁ……』
『……マジで何なん自分?』
鎌をかけられたと気づいた時にはすでに
すると、直前までとは打って変わって人間らしさのある、どこか品を感じる佇まいの女性プレイヤーが確かに立っていた。
どんな人間らしさかって具体的に言うと、『ワタクシお前のこと嫌いザマス』と顔にくっきり書かれていた。
こっちの第一印象も最悪だったから一周まわって気が合うのではないかとさえ思えたが、フリでも初対面の人間相手にあんな話し方が出来るやつが実は良い子なんて考えにくい。
つまり願い下げだ。
『……ほんと目障りなんだよね、きみ。似すぎてる、サンラクくんに、なにもかも……なに? 私へのあてつけ?』
『ケンカがキャベツより安くてお買い得やんけ。……とりあえずラクの追っかけ
『
『……ん? んんんん? 待って? ものすごい語弊と誤解を感じたんやけど!?』
『どちらが上か、近いうちにハッキリわからせてあげるから……』
『せやろなぁ、他人の話しを聞く手合いやないよなぁ。ワイちゃんとサンラクのことどんだけ知っとるか分からんけどまず話し合いをーー誤解したままログアウトすんなァ!!』
控えめに言って最悪のファーストコンタクトだった。
後日、
疑惑解消後はこちらとしては関わり会わずにフェードアウトしたかったのだが、面倒なことに向こうからワイのことをサンラク関連で利用してやろうという魂胆を隠しもせずアプローチをかけてきたのだ。
『お前どの面下げて言うてん?』
『この面』
『ふんぞり返っとるやん』
おめでとう、君と僕はフレンドだ。
まあ本人が実際に始めたら真っ先にチクってやるが。
誰が言ったかは知らんが『敵は友よりも近くに置け』なんていう格言もある、将来的にシャンフロをプレイする(断定)親友に害を為す可能性がある存在を見張っておけるならそれに越したことはないだろうと判断した。
……別に強くておもろいからって訳じゃないよ? トラちゃん嘘つかない。
なんだかんだ今となっては付き合いも長くなり、紆余曲折を経た末に現在は『憎い敵』から『癪に障るフレンド』程度には対応が和らいだ。
ドブの臭いがする人間性なのは否めないが、失ってしまった決定的な何かをサンラクで埋めようとしている感じがしないこともない。
根っこまで腐っているとは思えない……いや、だいぶ怪しい……やっぱ擁護できないかも。
……というか、根腐れしている度し難いクソ女はシャンフロ内で他に居る。そいつと一緒にしたくなくて無理矢理にでも好意的に考えるようにしているところがある。
さて、前置きが長くなったが本題に入ろう。
「ーーというわけで、ワイちゃんはホモでもゲイでもヘテロセクシャルでも無いのです。分かっていただけましたか……?」
すっ(無言で差し出される小さなおてて)
すっ(チョコのおかわり)
「……身内の情報が誤っていた、ごめんね」
「とんでもない、こちらこそ
「それは弱い方が悪い」
心なしか上機嫌なティーアスちゃんの様子から、人は分かり合えるのだと言う真理をしみじみと感じつつ、かつてよりレベルアップした説得スキルの冴えっぷりを自画自賛する。
ーーところで虎人さん、気になる相手が
(あれおかしいな、どうしてこんな無関係のタイミングでサイガー0の姿が浮かんでくるんやろ……?)
きっとサンラクのストーカーとの
肩に手をかけ威圧してくる鬼神兜の
「もきゅもきゅ」
「ヌンッッッッッッッ!!!!」
「メディィィィック!! サバさんの心臓がまた止まっておられるぞ!!」
「偉大なる我らがゴールドタイガー様……ティーアスたんがお気に召されているその黒い宝石を、どうか下賜して頂けませんか……!?」
「たんまりくれてやるからしばらく静かにしててもらえます?」
熱に弱いこと以外の耐久度が高く『空腹度+300%(上限突破、重ねがけ不可)、時間経過・各種行動による空腹度の減少を抑制(72h)』という、梁山泊でレシピを独占し興行における景品に採用している最高級携帯食が減っていく。
(これ1個作るのに金額換算で100万マーニはかかるんやけど、そんなん知らんくせして扱い方が
幼女に餌付けする権利10人分のクラン内オークションが開始されたのを
「次はしょっぱい食べ物が
「後でね。いい加減お話し進んでくれへんとワイちゃん怒る」
「……それもそう。とりあえず、これ読んで」
そう言って彼女が懐から取り出したのは封書だった。あの、ファンタジーでよく見る、赤いロウソクのロウに印を押して封がされた……なんかカッコイイ、招待状とか入ってるやつ。
ゲーム内とは言え実際に手に取るのは初めてでテンションが上がり、どうやって封を割るのかイメージしながら
「あっ!? こいつ目の前で割りやがった!」
「……やってみたかった」
「ワイちゃんだってやりたかったのに……!」
「ムフー」
満足そうに……ッ! 無表情のくせにカワイイやないか……!
男の子の憧れが破られ価値を半減させたそれを仕方なく手に取ると、情報アイテム『賞金狩人”頭領”の手紙(開封済み)』として所有権が移った。
「うわぁ長そう……ウワーッ長いっ!!」
「気持ちはわかる、でも読んで」
西洋紙なのだろうが、普段触れているコピー用紙などとはまるで違うアンティークな質感と厚みがある便箋、それが4枚。
ワイの嫌いな科目は現代文、嫌いなものは長文読解。
キョージュから頻繁にお小言をいただく分野だった。
そんなワイちゃんとしては今すぐにでもAIに読み込ませて要約させたくなるのだが、残念ながらシャンフロログイン中には実行出来ないので仕方なく飛ばし読みする。
女性のものと思しき丁寧な筆跡で記されたそれは、ざっくりーー
『”覇者”クン強いやん、リスペクトしたるわ。特に悪さもしとらんようやしハッピーハッピーやんけ。しゃあけどちょっと強すぎるわっ。三遊亭
あとワシ、その刻傷を付けたヤツに心当たりがあるんや……だいぶシャレにならない相手と
直接会って話したいこともあるから、新大陸へ渡れるくらいの時期になったら『蛇の林檎』を訪ねてクレメンス。合言葉はティーアスから聞くんやなぁ(ニィ
それはそれとして、賞金狩人の威信がかかっとるからケンカ
覇者退治だ! 死ねッ!』
ーー的なことが書かれていた。たぶん、おそらく、Maybe。
まあ大体内容は分かったぜ。
「つまりティーアスちゃんはワイとケンカするために来たっちゅうことやな」
「……そうだけど、たぶん頭領が伝えたかった内容じゃない」
ディープスローターみたいなのは論外だが、果たし状をしたためるという古風な真似も考えものだ。今日び
気軽にケンカしよって言うてくれればええのに。
なんにせよあのティーアスちゃんとやれるというのは最高だ。この機会を作ってくれた着せ替え隊へのチョコレート代は請求しないでおいてやろう。
「……もう辛抱たまらんわ」
思い立った瞬間立ち上がり、梁山泊のクランアイコンである『守破離』の三文字が
……このマントは頭装備『厄払いの虎相』のオプションパーツであり、任意で着脱が可能になっている。
このマントには刻傷がある右半身を隠すというものの他に、もう一つ大事な使い道がある。
「ーーーーっ!? 虎人の
『今から”
そう
「……それが『逸脱者』の刻傷」
マントに覆い隠された右半身が顕になる。
リュカオーンやジークヴルムの
『
何者かの明確でおぞましい声無き意思が、ティーアスの身を震わせた。
「ティーアスたんにあんな表情させやがってェ……! 許せるッ!!」
「ヒロイックなティーアスたん……推せるぅぅぅぅ!!!!」
「ハイッ、1500万マーニで決まりだァ!」
「せっかくカッコよぉ決まったのに台無しだわクソボケ共ッッッ!!!!!」
……いや、よくよく考えなくても対戦相手が白スク姿の幼女な時点でアレやわ。
胸のゼッケンの絶妙に崩れた「てぃーあす」の文字を相手にどないしてシリアスやれっちゅうんや。
ディープスローター:アルセウス、あるいはストーカー。虎斗くんのことは色々とよく知っており、もう少しでゴーサインを出すという直前でシャンフロ内にて虎人くんと接触がかなった。……ゴーサイン?
サイガー0:レジギガス、あるいは悪霊。中学時代に虎楽、あるいは楽虎という文字列を見ると震えが止まらなくなる時期があった。姉とくっつけて対消滅させたいと思っている。……なにを?
虎人:ワイくん。『この時の作者の心情を答えなさい』という設問が特に嫌い。嫌いな人のタイプは根性なしとストーカー。何の気なしにリア友の話をすることがあるのだが、それが特定のポケモンに4倍ダメージが入る。
またしても何も知らない陽務楽郎くん(16):この時期はポケモンダッシュに半ギレするポケモンファンの友人を横目に、周布家の飼い猫を膝に乗せてポケモントローゼをプレイしていた。ビッグタイトルだからと、中古で安いからと言って軽率に手を出してはいけない(戒め)
モモちゃんがヒロトくんとスーパー銭湯に行く話を投稿していいすか?
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あ、いっすよ(快諾)
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頭湧いてるんですか?
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そんな姉さんの話より私と陽務君の絡みをも