前中国大使が高市首相に渾身の緊急提言「数年単位の冷却化は避けられない。これを機に対中戦略を……」
高市早苗首相の国会での発言から日中関係が急速に悪化し、国内では事態の早期収拾を求める声が高まっている。 【画像】垂氏の著書『日中外交秘録』 そんななか前駐中国日本大使の垂秀夫氏が「 高市総理の対中戦略 」と題する論考を、「文藝春秋」1月号に緊急寄稿した。
「冷却した関係は数年に及ぶ可能性が高い」
垂氏の見方は非常に厳しい。今回の「冷却化は数年単位」になるという見方を示す。 〈今回の事案は短期的には収束しないであろう。今後とも中国はレアアース規制のさらなる強化、邦人拘束などさらに厳しい措置をとってくるであろう〉 〈こうした事態になれば、常に持ち上がるのが、「中国とのパイプはないのか」という問いである。しかしながら、かつての「野中―曾慶紅ライン」のような信頼に裏打ちされたパイプはいまや存在していないし、二階俊博元幹事長に代わる“中国に顔が利く”大物政治家も見当たらない。こうした意味からも、冷却した関係は数年に及ぶ可能性が高い。 「中国経済が深刻だから、日本との経済関係を悪化させるわけにもいかず、日本に強く出られない」という見方は中国共産党の本質を理解しておらず、甘いと言わざるを得ない。経済発展を最重視した鄧小平時代とは異なり、習近平外交は「強い中国」を最優先する段階に入っているのだ。日本に対する強い姿勢はしばらく維持されるという前提で日中関係を考えていく必要があろう〉 では、日本はどうしたらよいのか。
オーストラリアの「徹底した抵抗」戦術
垂氏が「学ぶべき点がとても多い」例として紹介するのがオーストラリアの「徹底した抵抗」戦術だ。 〈オーストラリアは中国による石炭・牛肉・ワインなどの輸入制限に直面した。ワイン業界では対中輸出の9割が失われるほどの影響が出た。しかし豪州政府は一切譲らず、外国干渉防止法の制定やWTO提訴など、法制度と外交を駆使して対抗した。結果的に、折れたのは中国側であり、豪州は経済威圧に屈しない国家としての信頼を高めた〉 垂氏は、今回の事態をきっかけに「対中戦略の再構築」を強く訴える。そして「3つの処方箋」を提案している。 12月10日発売の「文藝春秋」(2026年1月号)及び電子版「文藝春秋PLUS」に掲載した「 高市総理の対中戦略 」には、このほか(1)韓国APECで日中首脳会談がなぜ実現したのか、(2)中国が激怒した本当の理由、(3)高市総理と野党それぞれの問題点、(4)今後の対中戦略の具体的処方箋などについて、「対中外交を知り尽くした」垂氏ならではのくわしい分析と渾身の提言が展開されている。
「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2026年1月号