大阪在住の女性Ｓ様から「今の彼氏のことは好きじゃなくてただの繋ぎだから、とっとと別れて次の男を探せばいいのに一人になるのが怖いからキープしている。自分は最低だなって思うけど、坂爪さんから見たらどう見えるか教えて欲しい」とご連絡をいただいた。私の正しい使い方である。身も蓋もないけど「最低だな」と思った。道徳とか倫理とかはどうでもよくて、今、あんためちゃめちゃつまらないことをやっているよと思った。

何かをキープすることのリスクは、新しいことや好きなことをやることがどんどん怖くなることだと思う。自分としては得をしているつもりでも、どんどん損をしている。いろいろなことが怖くなり、自信を失い、若さを失い、色気を失い、純度を失い、清々しさを失う。本当は、自分でも「つまらないことをやっているな」とわかっている。そこに目をつむり、自分を正当化するほど退屈になる。自分が自分のことを軽蔑するようになり、自分が自分のことをかっこいいと思えなくなる。

それは依存だとか、それは執着だとか、訳知り顔で分析をするよりも「依存でもいいじゃないか」「執着でも構わない」と思って、好きなものに突撃する。突撃した結果、傷つくことになったら、その時は思い切り泣く。傷つかないように生きるより、好きな人と結婚して「人生最大の失敗は、大好きな人と結婚したこと。この人がいなくなったら、どうやって生きていったらいいのかわからない」と満面の笑顔で言える方が、ずっといい。

家庭環境が悪くて自分に自信が持てないみたいな愚痴をたくさん聞く。それがどうしたと思う。そんなにたいしたものかよと思う。深刻な問題を抱えているように見せて、実際は「欲しいものを欲しい時に取りに行かなかっただけだろ」と思う。自分から何かをやることなく、自分の内面にはどうしようもないさみしさがあると言われても、共感できない。同情できない。どうしてそんなことをやっているのかの答えがさみしいからだとしたら、情けない。好きだからと言えないのは、やりたいからやっていると言えないのは、情けない。

ダサいことやってんなって思ったら、やめなよ。続けてもいいけど、ある程度やったら、切り替えて、潔いことをやりなよ。清々しいことをやりなよ。晴れ晴れとした顔をできることをやりなよ。そうじゃないと、どんどん自分のことを嫌いになる。家族も友達も恋人も嗜好品。死んでもいいんだよ。一度も生きることなく生きるより、死ぬほど愛して傷ついたほうが、ずっといい。媚びるのをやめなよ。誰かにわかってもらおうとするのをやめなよ。一人になってもいいんだよ。そんなことは気にするな。そんなことに縛られるな。誰にもわかってもらえない部分、それこそが自分だ。