「警察に内通者がまだまだいます」流動型犯罪グループ『ナチュラル』のメンバーが証言した衝撃の内容
「警察の偉い人も内通者として抱えている」
警視庁が神保の自宅を捜索すると、部屋の引き出しから現金900万円が発見された。捜査情報の見返りにカネが定期的に手渡されていたとみられているが、現役メンバーは「額は月数百万円に上ることもあったそうです」と嘯(うそぶ)いた。
神保のスマホには『ナチュラル』のメンバーだけが使う特殊なアプリが入っていた。非常に秘匿性が高く、海外のアプリを参考に数千万円をかけて独自開発したと言われている。
「チャットやファイル共有、通話などの機能がひと通りあって、身内とは全てこのアプリでやり取りします。入手するには〝本社〟の人が立ち会って特殊な方法でダウンロードするしかない。基本的に外部の人間は使えません。証拠を残さないよう非常時には遠隔操作でスマホからアプリを削除することもできます」(同前)
神保は今年春に『ナチュラル』の捜査を外れ、夏以降は任意の事情聴取を受けており、事実上の謹慎状態にあったようだ。しかし、『ナチュラル』内部ではその後も依然として捜査情報が共有されていたという。別の現役メンバーが言う。
「9月には『警視庁にいる協力者が、どうやらめくれる(バレる)らしい』という話は入っていました。ただ、捜査情報はいまも変わらずリークされています。詳しくは言えませんが、関東の某県には我々と長くお付き合いをしている警察の偉い人がいますし、全国の主要都市の警察には複数のルートがある。内通者はまだまだいます」
そう言って彼が見せてきたアプリの中には、警察のガサ(捜索)に関する情報などが、かなり詳細に書き込まれていた。
他にもまだまだ取り込まれている者はいる――。警察当局も危機的状況を把握しており、地方も含めて内部調査が進められているという。警視庁は神保と情報のやり取りをしていた『ナチュラル』の幹部を特定し、行方を追っている。
ある警察幹部はこう断言した。
「ここまで来たら、血を流してでも徹底的にやるしかない。トクリュウの中でも巨大で、悪質性が群を抜く『ナチュラル』の壊滅は最優先事項だ」
警察内部に広がる「ナチュラル汚染」。その闇の深さは、いまだ底知れない。(文中、一部敬称略)



『FRIDAY』2025年12月12日号より
- 取材・文・PHOTO:日本橋グループ*
メディアや官僚、政界、ITなどの出身者で構成される新しい形の取材・情報チーム。国 内外の機関と連携し、主に調査報道やドキュメンタリーの制作などを行っている.
