レーダー照射問題 中国軍と自衛隊との“音声データ”公開 中国国営メディア
中国軍の戦闘機が日本の自衛隊機にレーダー照射を行った問題をめぐり、中国国営メディアは、中国軍と自衛隊の現場でのやりとりとする音声データを公開しました。
(中国軍とされる音声)
──日本の海上自衛隊116艦へ。中国海軍101艦だ。我々の艦隊は計画に沿って艦載機の飛行訓練を実施する。中国海軍101艦だ。我々の艦隊は計画に沿って艦載機の飛行訓練を実施する。
(自衛隊とされる音声)
──中国軍101艦へ、こちら日本の116艦。メッセージを受け取った。
中国国営メディアは、中国軍と自衛隊とのやりとりとする音声を公開した上で、中国軍の訓練の前に自衛隊に対して複数回、訓練を行う旨の通報を行い、自衛隊からも返答があったと説明しました。
その上で位置関係を表しているとみられる図を示しながら、訓練直後に日本側は悪意をもって接近して妨害し、中国側が設定し発表した訓練区域に入ってきたと主張しました。
自衛隊機が入ってきたことで、中国軍機との距離が50キロ未満に縮まり、レーダーを探知できる距離になったとしています。さらに、中国側の関係者の証言として「中国軍機も同じく自衛隊機からのレーダーを感知した」と主張しました。
音声の真偽はわかりませんが、中国側としては自衛隊に対し事前に通告を行っていたとの主張をアピールする狙いがあります。
一方、小泉防衛相は、中国側が訓練海空域を事前に公表したという主張に対し、「ノータム(航空情報)や航行警報が事前に通報されていたとは認識していない」と述べ、中国側から訓練に関する事前通報はなかったと明らかにしました。
また、複数の政府関係者によりますと、日本側が、日中の防衛当局間の「ホットライン」を使おうと試みたものの、意思疎通ができず、機能しなかったことがわかりました。「ホットライン」は偶発的な衝突を避けるために開設されましたが、過去の緊急時にも使用されず形骸化が指摘されています。
元統合幕僚長の河野克俊さんに聞きますと、あたかもレーダー照射の時の戦闘機同士のやりとりのように聞こえるかもしれないが、この音声はあくまでも船舶同士が「訓練をします」というやりとりにすぎない、今回の音声はレーダー照射が行われたときの状況を説明するものではない─と話していました。
今回の音声を聞いた政府関係者は、「黒を白にするという中国の四字熟語がある」などと話し、そこまでおおごとととらえていないような印象でした。