水戸ホーリーホックの取締役兼GMの西村卓朗の契約満了について思うこと(無料記事)
水戸ホーリーホックの取締役兼GMの西村卓朗の契約満了について思うこと
なんと発信したらいいのか‥と考えた。
契約満了、つまり実質的な解雇について、どこかで見たことのある感覚にとらわれた。
卓朗の性格を表す一例として、僕はこんな話をする。彼は誤解をされやすいタイプだ、と。以前、アメリカでプレーした後に、日本に戻ってきた時に住むところがなくて、お嫁さんの実家で生活させてもらっていた。相手の両親に気に入られた。そうしたらお嫁さんの親族から、このまま住んで家を乗っ取るつもりなのかと疑われたことがあった。本人はまさか周りがそう思っているとは考えも及ばず、慌てて次に住む場所を探したという話があった。僕はその話を本人から聞いて、笑いながら「卓朗らしいね」と言った。
今回の水戸を解雇された経緯は、VONDS市原を解雇された時と状況が似ている。チームのためを考えて一生懸命に動いた結果、影響力が強くなって周りから煙たがられる。簡単に言って、「政治」の問題で、「権力」の問題で、卓朗本人はそう考えていなくても、社長をはじめ社外取締役などの周りの人は、独裁になると危惧したんだろう。僕は卓朗本人が、取締役でGMになっておごりがあったとは考えられない。なぜなら、話をしていて何も変わっていないから。僕にはそうで、他の人には違ったような、そんな器用に立ち振る舞われる性格じゃないから。逆に、もっと欲を持てばいいのにと思っていたくらい。
VONDS市原の時と似ていると言ったのは、練習場もろくにない、ユースもきちんと整備されてない、全くのアマチュアクラブを、作り上げて行く中で、スポンサー獲得のために走り回った結果、クラブでの発言力が大きくなって、突然呼び出されて役員から解雇通告された経緯が似ていると思った。
本人が良かれと思って動いたことが、組織の中では突出した勝手な行動に写ってしまう。まあ、裏で根回しするとかできなさそうだしね。それに、水戸ホーリーホック、つまり小島社長からしたら、会社に卓朗の関係者が何人か入って仕事をしているから、そうしたことも「権力が集中する」と危惧された要因かもしれない。
こういう時の発信を見ると、メディアのなかで誰がどのポジションなのかよくわかるよね。卓朗本人としたら、突然会社に呼ばれて告げられて、寝耳に水だったと思うけど、結局は「政治」とか「権力」の闘争と無縁な人間が、そうした中で生きてきた人間に疎まれたという話だと思う。卓朗が一線を踏み越えたような表現があったけど、本人が良かれと思って行動したことが、会社の人間にとっては「独裁」に写ったという話で、何度もいうけれども、「政治」や「権力」の問題に敗れたという話だと思う。本人にはそうした自覚がなくても、周りから見たら「一極集中」になると考えられたのだろう。
今、原稿を出すかどうか考えているものがあって、優勝が決まる前にインタビューした記事があるんだけど、そこでの最後に話た言葉を載せたい。
ーー何か今、やりたいことはあるの?
「抽象的ですけど、いい組織にしていきたいし、いい地域にしていきたいです。地域でのいいコミュニティーを作るために、サッカークラブがあると思うんです。今、一番やっていてそれが大事なことだと実感しています。
Jリーグ全体を見てきた時に、うまくいくクラブとうまくいかないクラブがあって、J2の中では水戸はうまくいかないクラブだと言われてきた。財政的にも立地的にも厳しい環境中でのクラブだと見られてきた。そうした象徴でもあるクラブが、今トップリーグに行こうとしている。財政面においても、J2では低い方です。J1昇格できた時の意味合いというのは、希望になる。Jリーグ全体の中で小さなクラブにとって希望にもなる。
今の世の中、努力が報われるとか、やればできるとか、そうしたことが可能じゃないかもしれないと感じられる時代に、こんな奇跡が起きるんだということをみんなに感じてもらいたい、生きていればこんなことも起こるんだとプラスの側面を表現することになる。それをみんなで、特に水戸の地域の人たちですね、みんなで実現しに行きませんか。それは僕らだけでなし得ることではない。地域の人の期待や想いとか、多くの人が参加することでなし得ることだと思うんです。明るい未来や希望って何のために作るのかと言ったら、その地域の子どもたちに実例を見せていくことだと思うです。水戸ホーリーホックは、その地域のみんなのために存在するクラブなんだ、と。それをクラブは忘れてはならない。」
〈終〉