大いなる”原型”
●待ちにまったアルバムだね柴崎さん:「カナリア」録ってるぐらいからターボがついて、途中まで録ってた曲も一気に仕上げていったって
いう感じ
上杉さん:そうだね。アルバムっていうことを意識したのは、「カナリア」のちょっと前ぐらいなんですよ
●シングルのベースがゆっくりだったから、アルバムはどうなるのかって
上杉さん:(笑)結果的に以前からあった曲も収録してますけど。自分たちにとって新鮮な感じの
するものをマキシとして1枚ずつ出してきて。こういう資質を持ってる人間たちが今こういうビジョン
を持っていてっていうのが、見えるアルバムになってる。自分たちのプロトタイプ(原型)みたいな気持ちも
あるんですけどね。かつてのロックキッズだった頃は、自分もいつか純度100%のロックアルバムを作れたらいいなという
夢を持って、10年かかってやっとそこに到達できたかなという充実感がすごくある
●なんでこんなに時間がかかっちゃったんだろう(笑)
柴崎さん:やり方がまだこなれてないから(笑)でもね、思いついたアイデアは全部試してみましたよ。
やってみて、前の方がよかったじゃないってこともありましたけど(笑)
上杉さん:基本的に役割分担ははっきりしてますね。
●10曲という曲数は?
柴崎さん:他人のアルバムを聴く時に、2年ぐらいしてから「13曲目にはこんないい曲があったのか」って思うことが
けっこうあって。コンパクトなアルバムがいいんじゃなかって思ってた
●最初からコンセプトはあったの?
柴崎さん:正直言って、アルバムコンセプトはなかった。ストーリーを作るというよりも、1曲1曲やったものをひとつに
まとめたっていうほうが本当かな
●全体的には攻撃的な気持ちで作ったの?それとも優しい気持ち?
柴崎さん:曲によるかなあ。あまりアルバムとしての曲の配置とか考えてなくて。だから、al.ni.coの音楽として
のプロトタイプっていう意識があると思う。
●シングルが入るっていうのは?
上杉さん:シングルだから特別キャッチーに作らなきゃとか、わかりやすくしなきゃという意識はなくて。
どれも同じようにかわいいですよ。
●詞については?
上杉さん:アルバムのトータルの詞で言うと”生への執着”というか。自分にとってのロックって、泣き声みたいなもので
「カナリア」を出した時、本当は「晴れた終わり」の続編を作ろうと思ったっていう話をしたと思うんですけど
結果そうはならなかった。でもこのアルバムの中にその答えがあるんですよ。ひとつの決意というか
●このアルバムタイトルは?
上杉さん:”セイレン”はギリシャ神話に出てくる半人半鳥の怪物で、頭だけ人間で首から下が鳥っていう。そいつが
海に現れて、美しい歌声で船をおびき寄せて遭難させてしまうという、そういうものらしいんですけど
●al.ni.coがセイレンだっていうこと?
上杉さん:そうではなくて。自分もロックというものにおびき寄せられて、ロックの中毒者になり、遭難しそうになったり時
いろんな感情の動きがあったので、そういうタイトルになった
●音楽シーンに対しては?
柴崎さん:al.ni.coは流行を追うっていう形じゃないところで新しさを求めてる。最先端でこれが一番の旬ですって
いうんじゃない意識の中で、可能性のある新しいものをやろうとしてるんですけどね
上杉さん:そうですね。たぶんオルタナ&グランジっていうのがあって、それが完成形ではなく、そこから始まるものを
めざしてるんだと思うんですけど。そういう意味で、まだプロトタイプだって言ってるんです。日本の音楽シーンでは、
まだオルタナやグランジがクールだってことになってない。自分たちのアルバムを通じて、それがクールなものに
なればいいなあっていう感じなんですけど
●英語詞の曲については?
柴崎さん:前に上杉が、英語っていう意識で歌ってるわけではないって言ってた
上杉さん:単純に言葉もサウンドのうちだと思うので。耳触りっていう部分で、英語っぽい響きが欲しいっていうほうが強い
べつにスペイン語でもよかったのかもしれないし(笑)とにかくメロディとサウンドのニュアンスを崩したくないって
意識ですね。逆に、日本後にすることでニュアンスも含めてよくなる曲もあると思うんですけど
その意味では今回は、極めて英語に近い言葉で歌ってる
●いよいよライブもやりますね。
上杉さん:ふたりなりのっていう言葉につながるような、ロックバンドにありがちなものとはかけ離れたライヴを
やりたいんですけど。でも、時間的余裕がないですね(笑)
●ライブに自分自身が何を期待してますか?
上杉さん:ライブって、アーティストだけでは絶対作れないものだと思うので、観にきてくれる人とうまく噛み合って
うまく合体して、結果としてそれがいいライブになればいいなと
柴崎さん:曲に対するアプローチで言うと、普通にバンドで演奏するライブになると思うんですけど、CDの中からは
感じ取れないバイブレーションとか演奏を期待されるようになるといいなと思ってます。
●CDと同じようにやろうと思ってない?
柴崎さん:お客さんにはある種のハプニング性を期待されるようになればいいなっていうのと、レコーディングではひとつひとつ
の楽器をばらばらに録ってたから、バンドで一緒に同時に演奏することで今後の自分の音楽にプラスな影響があると
いいなと思います
●バンドのライブは楽しいよ?
柴崎さん:(笑)ライブをやると、たぶん、”バンドっていいな”と思っちゃうと思うんですよ。ただそれをどういうふうに
al.ni.coに結びつけていかなきゃいけないかなということは、また別に考えていかなきゃいけないかなということは、また
別に考えなきゃいけない。バンドのいい部分もあれば、バンドによってはできないこともあるじゃないですか。al.ni.coは
それをあえて二人でやってるわけだから。バンドがいいなと思って、今後バンドにするっていうことはないと思う。
●ふたりともわがままだから(笑)
上杉さん:それは変わらない(笑)
ただ、やっぱり、ふたりでやってるってことが最大の弱みでもあり、強みでもある。それをもっと強みに変えて
いきたいじゃないですか。単純にバンドサウンドをやろうとしちゃうと、ふたりなりのっていうところに結びつかなく
なっちゃうじゃないですか。
●今後については?
柴崎さん:非常に煮詰まりながらやってくと思う(笑)自分たちの音楽を、歴史とかシーンに残したい、刻みたいと
思うんですけど、もともと今面白いことをやりたいと思って始めてるから、しばらくは考えずに音楽を作っていこうと
上杉さん:ナンバーワンよりオンリーワン。オンリーワンが結果としてナンバーワンにつながっていけば、一番
いいでしょうね。
●「セイレン」SELF LINER NOTES
「Prologue」
上杉さん:オープニングだから、期待感をそそる曲にしたいなと思いました。詞は長生きしたいな、という(笑)
人間として、それがネガティブだったり自虐的だったり、それだけじゃ生きていけないっていう
柴崎さん:この曲に関してだけ、リスナーをつかまえようと思った。陽に陰をぶつけた新しいアプローチ
「カナリア」
上杉さん:フワフワした曲で始まって、ロケットパンチみたいな曲がくるのが一番ふさわしいと思って
たんですが、アップテンポの曲があまりなかったんで
「G」
上杉さん:これはマスターベーションの”自慰”とかけてる。自分も含め何が人間をダメにしてるのかな
というテーマがあった
柴崎さん:だいぶ前にアレンジした曲だったので、音色に気をつけてレコーディングした。新しさをだすだめに
「晴れた終わり」
柴崎さん:個人的には去年はこの曲ばっかりやってたな(笑)神々しい雰囲気は欲しいなと思ってたし、
弦を入れたのは間違ってなかった。100%以上のビジョンを持って作った曲だけあって、今聴いても
すごく心が動く曲
「Tough Luck」
上杉さん:休憩っていうか、ちょっと息抜きできる曲が欲しいねってことで作ったのを覚えてる。わりと濃い曲が
多いんで、お茶でもすすりながら、ホッとしたいなと
柴崎さん:気楽な感じというよりも、ラフっていうか、音数を少なくしようと思った。上杉が歌いにくると
2時間前にスタジオに行ってギターを録り終えたのを覚えてる
「TOI$!」
上杉さん:骨格をだしたかった
柴崎さん:al.ni.coの一発目だから、ストレートにぶつけようと思って作った曲ですね。
「Suicide Solution」
上杉さん:かなり前に作った曲。その頃、自分の中でビートルズブームがあって、ビートルズっぽいものばかり
作ってた。そうしてるうちにオアシスがブレイクしてしまってですね、発表しづらくなってしまったという(笑)
「Blindman's Buff」
上杉さん:これも相当古い。ふたりでユニットとしてやりだして最初の方の曲ですね。
柴崎さん:これが出来た時は相当喜びましたね。コードがたった2コでも素晴らしいものが出来るんだって
上杉に教わりました。
「Living For Myself」
柴崎さん:この曲があるから、al.ni.coがあると言っても過言ではない曲。どんどんやれそうな気がした。
「Player」
上杉さん:こうやってさり気なく終わる方がカッコいいかなと思って最後にしました。