「X」の新透明性機能が暴いた世論操作の実態:アカウント所在地公開が突きつける情報の真偽とSNSの未来

User avatar placeholder
投稿者: Y Kobayashi
スポンサーリンク

2025年11月24日

ソーシャルメディアプラットフォーム「X(旧Twitter)」における情報の「透明性」をめぐる議論が、新たな局面を迎えている。

この機能により、米国では「愛国者」を自称するMAGA(Make America Great Again)系インフルエンサーの多くが、実はロシアやナイジェリアなどの国外から操られていた事実が白日の下に晒された。そして、その衝撃は日本にも直撃している。「日本人女性」を装い過激な他国批判や自国卑下を繰り返していたアカウントが、実は中国や韓国と言った近隣諸国から運用されていたことが次々と発覚し、日本のネット空間は今、疑心暗鬼と「答え合わせ」の興奮に包まれている。

可視化される「正体」:新機能の全貌と意図

まず、今回Xが実装した機能の技術的な詳細とその意図を整理する。

この機能はInstagramが以前から導入していた同様の機能をX向けに最適化したものである。ユーザーは、あらゆるアカウントのプロフィールページにある「登録日」をタップすることで、以下の詳細情報にアクセスできるようになった。

公開される4つの重要データ

  1. アカウントの拠点はどこか(Account location): 国または地域レベルでの推定所在地。
  2. 登録日はいつか(Date joined): アカウントが作成された正確な日付。
  3. ユーザー名の変更履歴(Username changes): 過去に何度、どのようにIDを変更したか。
  4. アプリの入手経路(App source): iPhone(App Store)、Android(Google Play)、またはWebブラウザなど、どの経由でアクセスしているか。

ボットと偽装アカウントへの対抗策

Xのプロダクト責任者であるNikita Bier氏は、この機能の目的を「ユーザーが対話している相手が、本物の人間なのか、それともボットや悪意あるアクターなのかを判断するための材料を提供すること」にあるとしている。

特に注目すべきは「所在地」と「ユーザー名変更履歴」の開示だ。これまでは、プロフィール欄に「テキサス在住」「誇り高きアメリカ人」と記述があれば、多くのユーザーはそれを疑う術を持たなかった。しかし、この機能の実装により、自己申告のプロフィールと、システムが検知した実際のアクセス元の乖離が誰の目にも明らかになる。

また、多くの工作活動アカウントが位置情報を隠すためにVPN(仮想プライベートネットワーク)を使用することが想定されるが、X側はこれに対しても手を打っている。

新仕様では、VPNやプロキシを使用しているとシステムが判断した場合、所在地表示に「!」マークが付記され、「国または地域は正確ではない可能性があります」という警告(免責事項)が表示される仕様となっている。つまり、VPNを使えば国名は隠せるかもしれないが、「何かを隠しているアカウントである」というフラグが明確に立ってしまうのだ。これは工作員にとって、身バレするリスクと同等の「信頼性の毀損」を意味する。

スポンサーリンク

「MAGA」の皮を被った海外勢力:The Guardianの衝撃的報道

この機能がもたらした即時的なインパクトは、政治的な文脈において最も顕著に現れた。The Guardianの報道によれば、機能実装直後から、Donald Trump氏の掲げる「MAGA(Make America Great Again)」運動を支持する著名なアカウントの多くが、実は米国外から運営されていることが次々と発覚した。

暴かれた具体的事例

  • MAGANationX(フォロワー約40万人): プロフィールには「We The People(我ら合衆国人民)のための愛国者の声」とあるが、実際の運営拠点は東欧であった。
  • IvankaNews(フォロワー約100万人): イヴァンカ・トランプ氏のファンアカウントを装い、不法移民やイスラム教に関する過激な投稿を繰り返していたが、拠点はナイジェリアであることが判明した。
  • その他の事例: 「Dark Maga」はタイ、「MAGA Beacon」は南アジア、「MAGA Scope」はナイジェリアから運営されていた。また、Redditユーザーの調査により、テキサス在住を自称する女性アカウントが、実際にはロシアに拠点を置いているケースも報告されている。

彼らの動機は、米国社会の分断を狙う政治的な「影響力工作」と、過激な投稿でインプレッション(閲覧数)を稼ぎ収益を得る「インプレゾンビ」的な経済活動が入り混じっていると分析される。

スポンサーリンク

日本国内の反応と発覚した「なりすまし」の実態

そして、この「透明化の波」は即座に日本のアカウント群にも波及した。日本のユーザーたちは新機能を使い、これまで違和感を抱いていたアカウントの「答え合わせ」を開始している。

事例A:社会分断を煽る「なりすまし」の露呈

日本の政治や社会問題に対して過激な発言を繰り返していたアカウントの「中の人」が、日本国外にいる事例が複数確認されている。

  • 「日本人女性」を装う日本批判アカウント: プロフィールで日本人女性を自称し、「日本は安全ではない」「性犯罪大国だ」と英語と日本語で執拗に日本社会を批判していたアカウントが、新機能により「韓国(Republic of Korea)」拠点であることが表示された。
    • その後の動き: この事実が拡散されると、該当アカウントは設定を変更したのか、拠点が「UNKNOWN(不明)」へと切り替わった。これに対し日本のユーザーからは、「やはりそうだったのか」「都合が悪くなると隠すのか」といった冷ややかな反応が相次いでいる。
  • 「琉球独立」等の政治的アジテーション:
    沖縄の独立論や基地問題について過激な投稿を繰り返すアカウント群を調査したところ、その多くが中国からのアクセスであったとの報告がSNS上で拡散されている。

事例B:商業的な「ステマ」アカウントの正体

政治的な文脈以外でも、マーケティングにおける「なりすまし」が露見している。

  • 美容・整形垢の正体:
    「日本の美容クリニックで失敗した」「韓国の整形が最高」といった情報を発信する、一見すると一般の日本人女性のアカウントの多くが、実際には韓国から運営されていることが判明した。これらは、日本の患者を海外クリニックへ誘導するための組織的なアフィリエイト、あるいはステルスマーケティングであった可能性が高い。

日本のユーザーの反応:驚きと「納得感」

この一連の騒動に対し、日本のXユーザーからは以下のような反応が見られる。

  1. 「答え合わせ」への納得感:
    「日本語が微妙に不自然だった理由がわかった」「なぜ深夜3時に活発になるのか謎だったが、時差だったのか」といった、過去の違和感が解消されたという声が多い。
  2. 恐怖と警戒感:
    「ここまで組織的に入り込んでいたとは」「AI翻訳の進化で、もはや文章だけでは日本人と区別がつかない」という、技術的進化に対する脅威論も高まっている。
  3. 「UNKNOWN」への疑念:
    所在地が「UNKNOWN」やVPN警告付きになったアカウントに対し、「やましいことがある証拠」と見なす新しいリテラシーが形成されつつある。
スポンサーリンク

なぜ彼らは「日本人」を演じるのか?

海外勢力が日本人になりすます背景には、明確な構造的要因が存在する。

言語の壁の崩壊とAIの悪用

かつて日本語は習得が難しく、それが天然のファイアウォールとして機能していた。しかし、DeepLやChatGPTなどの生成AIの登場により、海外の工作員がネイティブレベルの日本語(さらには若者言葉やネットスラング)を操ることが容易になった。今回の所在地公開は、「言語による国籍判定」がもはや機能しない時代において、プラットフォーム側が提示した「最後の砦」とも言える。

目的の多様化

  • 世論工作: 日本国内の世論を分断させ、特定の政治的アジェンダ(日米同盟の弱体化、近隣諸国への親近感醸成、あるいはその逆の嫌悪感煽動)を遂行する。
  • 経済的利益: インプレッション収益稼ぎや、特定商品・サービス(美容整形、暗号資産、詐欺サイト)への誘導。

「デジタル性善説」の終焉と新たなリテラシー

Xの今回のアップデートは、SNSにおける「信頼」の定義を根本から変える転換点となるだろう。

これまで我々は、アイコンやプロフィール、そして投稿される言語だけで相手を「隣人」だと信じ込んでいた。しかし、「アカウントの所在地」機能は、その画面の向こう側にいるのが、遠く離れた異国のビルの一室でキーボードを叩く工作員である可能性を冷徹に突きつけた。

VPNによる回避や「UNKNOWN」表示への逃避など、イタチごっこは続くだろう。しかし、少なくとも「煽動的なアカウントを見たら、まず所在地を確認する」という新しい習慣が定着することは、情報のパンデミックを防ぐ上で極めて有効なワクチンとなる。

日本のアカウントが韓国や中国、あるいはその他の国から操作されていたという事実は、我々に重い課題を突きつけている。それは、目の前の情報を感情的に拡散する前に、「誰が、どこから、何のために発信しているのか」を一呼吸置いて考える、高度なメディアリテラシー(あるいは「健全な猜疑心」)を持つことである。


Sources

この記事が面白かったら是非シェアをお願いします!
スポンサーリンク

Follow Me !

\ この記事が気に入ったら是非フォローを! /

フォローする
Image placeholder

Y Kobayashi

XenoSpectrum管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり、色々と情報を集めている。2児の父であり、健康や教育の話題も最近は収集中。

「「X」の新透明性機能が暴いた世論操作の実態:アカウント所在地公開が突きつける情報の真偽とSNSの未来」への7件のフィードバック

  1. ピンバック: 「X」の新透明性機能が暴いた世論操作 色々ヤバすぎることが暴露される | おもしろニュースピックアップ
  2. ピンバック: 「X」の新透明性機能が暴いた世論操作 色々ヤバすぎることが暴露される
  3. ピンバック: 【衝撃】MAGA支持著名アカウントの多くが米国外から運営 「X」の所在地公開機能が暴いた世論操作の実態 - 202X
  4. ピンバック: 【工作員】「X」のアカウント所在地公開機能が暴いた世論操作の実態 MAGA支持著名アカウントの多くが米国外から運営 日本にも波及 | News Everyday
  5. ピンバック: 匿名
  6. ピンバック: 【工作員】「X」のアカウント所在地公開機能が暴いた世論操作の実態 MAGA支持著名アカウントの多くが米国外から運営 日本にも波及 | おもしろニュースピックアップ
  7. ピンバック: 【工作員】「X」のアカウント所在地公開機能が暴いた世論操作の実態 MAGA支持著名アカウントの多くが米国外から運営 日本にも波及|ニュース・噂話まとめ

コメントする


XFacebookThreadsHatenaBlueskyRedditLineCopy Link共有