〜続編〜 家入さん率いるハイパーインターネッツと「neda.ly」を1週間で立ち上げるまでの舞台裏
ちょうど1ヶ月くらい前、家入さん率いるハイパーインターネッツと「チョコくれ!」を1週間で立ち上げるまでの舞台裏というエントリーを書きました。家入さんとコンタクトを取ってチョコくれ!の初版をリリースするまでの1週間を振り返ったエントリーです。開発の裏側を公開したこの内容はとても多くの方に見て頂き、「ホワイトデーバージョンの記事も書いて欲しい!」というメッセージを多数もらっていたので、前回の続編としてまた違った角度でエントリーに記してみようと思います。
メンバー全員が集合したのはわずか2日のみ。
5日でスマートフォン対応まで作り上げたneda.ly開発の舞台裏。
1週間で30ページ分のデザイン&コーディング、プログラムの結合とスマホ対応を実現させるというスケジュール。それが今回のneda.lyをリリースさせるのに要した時間でした。開発メンバー6人全員が集まったのはわずか2日のみで、(また NOMAD NEW’S BASE にお世話になりました)30ページのデザインとコーディングは mino と僕でスマホ対応含め2日、プログラムもアントニオさんと鶴岡くんが4日で調整、そして家入さんと越後くんを含めた最終的な結合作業もアントニオさんと鶴岡くんがまとめてそのままローンチ。いま振り返ると長い様であっという間に終わったサービス開発だった。
2月3日にリリースした前作から考えれば期間的には1ヶ月もあったわけで、決して全体的な時間に余裕が無かったわけではないのだけど、リリース5日前に行われた開発者だけの合宿の中で完成間近だったサイトデザインと戦略をオールリニューアルする事にして、1度組み上げたサイトを全て解体。モバイル含む一連の流れを改めて0からやり直す事にした。今回の目的だけを考えると短期間のものかもしれないけど、neda.lyのゴール(本当はもう少し先のところにneda.lyの理想がある)を見据えるとこれが最良の選択だった。サイト名のneda.lyもこの時正式に決まりました。初版のチョコくれ!も1週間という短期間で作り上げられたサービスだったけど、今回はさらにモバイル対応を含めたリリースを実現させる事が出来ました。
前回のブログを書いたとき、「スピード感がすごい!」というコメントを非常に多くの方々からもらいました。この反応は僕らにとって本当に嬉しい事で、開発者としてのパフォーマンスを褒められるというのはとても気持ちのいいものだった。僕なりにこの1ヶ月を振り返って考えてみると、最短距離でのローンチを実現出来た背景にはスキルだけではない、純粋に「ものづくりが好き」というメンバーが集まっていた事が大きな理由なんだと思う。まるで色んな事に興味を持ち始めた子供の様に新しいサービスの話を聞けばすぐに全員が食いつくし、Facebook上では日々色んな情報が共有されている環境。とにかく日頃から好奇心が尋常じゃなく旺盛なメンバーばかりがそこには集まっていて、いったん集中すると(お酒飲みながら)いつまででもコードを書き続けている。短期間でのリリースによって体力的に苦しみながらも、開発自体を純粋に楽しんでいる姿はとても印象的だった。
話を戻すと今回のneda.lyでは全てが同時進行で動いていって、僕とminoが担当したデザインとコーディングの方はPhotoshopでデザインを作り直す時間もなかったので直接コードを書きながら、リアルタイムでデザインを作り上げていった。デザインの意図を詳しく書こうとすると長くなるので簡易的に表現すると、前回に比べて余分な飾りを減らし、neda.lyが今後進んでいく方向を目指しながらずいぶんと先を見据えたデザインを作った。将来の事なんて何も分からないけど、neda.lyはCAMPFIREと同じ長期的に、より多くの人に触れてもらってこそ活きてくるサービスになっていくと思う。その為には多くの人が違和感を感じないUI、そしてカラーの選択が必要だった。コーディング面では今回もコーダーminoがメインとなって実装し、レッドブルを飲みながら徹夜で仕上げてくれました。
未完成でも形が整えばリリースさせる。そして反応を見ながら後で考える。
新サービスに対する家入さんの考え方。
僕が思うに未完成ながらサービスをローンチさせる人は本当に少なくて、完璧な姿になるまでなかなかローンチさせないという人がほとんどだと思います。リリース後のバグはサービス評価を左右する重要な部分にもなるし、それは開発者の不安を知らない間に強めてしまうというやっかいな性質を持っているというのがその原因なのかも。
その中でハイパーインターネッツのメンバーや家入さんはその真逆をいっていて、とりあえずある程度の操作が出来る状態になればまずはローンチさせ、その後のユーザーの反応を見てサービスの展開を考えたりバグの修正をしていたりする。例えるならユーザーの反応と常に会話しながらサービスを成長させていってる感じ。多くの話題をさらっていたオレポンもデザインよりまずはリリースを優先してユーザーの反応を見ていた。家入さんの言葉を引用すると、「サービスなんてローンチさせてみないと何も分かんないよね。とりあえずリリースして、続きは後で考えれば良いんだよ」という感じ。
ハイパーインターネッツのインターン鶴岡くんとカフェで会っていたときにも、@yurikokaiさんと「どんな小さなサービスでも良いから週に1つサービスをローンチさせる様にしてるんです」というのを当たり前の様に言っていたのがすごく印象的で、自分たちのスピード感や考え方とは全く違うとこにいるんだなととても刺激を受けた。実際に鶴岡くんはチョコくれ後の短期間でいくつもサービスをローンチさせていて、その中にはリリースされる前から注目されるもの(ventureli.st)もあったり。サービスなんてリリースしないとどんな反応があるか全く分からない。
※ちょうど昨日、この鶴岡君と3.11 REBORN…というサイトを立ち上げました
この考え方は今の僕にとってとても重要なものになっていて、独自でリリースしているサービスも必ずフェード分けを行う様に意識しはじめている。「最初の段階はこの機能だけで良いから、とりあえずリリースした後にこの機能を追加しよう」という流れが少しずつ出来上がってきていて、ムダな空論はなるべく避ける様にした。この差は想像以上に大きいもので、今までサービスのローンチをすごく難しく考えていたのに今では次々にリリース間際の状態まで持って来れる。小さなものから中くらいのものまでとりあえずローンチさせてみて、反応を見ながらサービスの選定だったり改善をしていこうと思ってる。思いがけず流行ったサービスは改良を加えて、少しずつ大きなサービスに成長させていけばいい。
チョコくれ!とneda.lyのソーシャルマーケティング。
SNSを中心に、裏の裏の裏の情報ソースまで持ってくる。
リリースしてから数時間、おかげさまでneda.lyは多くの人に楽しんでもらえて、Yahoo!ニュースやねとらぼなどのメディアにも取り上げられた。1回大きなバズを起こしたサービスなので前回よりは反応が少ないかと思っていたのだけど、リリースしてからは良い意味で予想を裏切ってくれたみたいでほっとしたのを覚えている。時間が経つにつれて情報の拡散スピードも上がっていき、現在でもバズが起こり続けています。
この裏側ではメンバーが様々なソースを元に情報をかき集めていて、FacebookのグループやSkypeで共有、それを皆であの手この手で拡散し、1人でも多くの人に情報が届く様に工夫していた。やってる事自体はとても普通の事かもしれないけど、一般的なメディアはもちろんTwittreの検索結果を含め非常に多くのパターン、そして細かい内容を共有している事が特徴的だったかもしれない。誰もが見るであろう大きなメディアの情報を拡散するのは簡単なことだけど、「チョコくれ デザイン」とかの検索だったり、「neda.ly バグ」とかの検索だったり、その他のとても深い場所にある情報ソースを辿っていくのは予想以上に難しいもので、全員合わせると100通りくらいの情報ソースをタイムラインで追いかけていたと思う。そこから有力な情報と拡散効果を生むTweetの選択はスピードと正確さを求められるし、何より発信するタイミングが難しい。ロングテールを目指すサービスであれば短時間でここまでする必要は無いけれど、今回リリースしたホワイトデーバージョンのサービスコンセプトは長くても2週間という短期間の内容だったので、その特性を考えると一気に拡散させてバズを起こす事が重要だった。
年齢なんて関係ない、全員がチームとして対等な関係。
同じ世界にいる仲間でしょっていう感覚。
家入さんを中心として、周囲にいる人たちはみんな暖かかった。そこには年齢や過去の実績で差別するなんていう風習は全くなくて、全員が対等に意見を言えるしそれを聞き入れる空間がある。会社にいた頃は味わえなかったその感覚をすごく新鮮に思った事を覚えています。何気ない会話の中でも色んなアイデアが頻繁に飛び交っていて、それに対し皆が反応してその場で意見をかぶせる事がよくあった。これは単純な議論では絶対に出来ないと僕は思っていて、関わっている皆が日常的に情報収集やアイデアを考えているからこそ出来る特殊な会話なんだと思ってる。だからみんな考える事もせず自然と言葉が出てくるし、知らない事があればその場で検索しながら会話が途切れる事無く永遠に続いていく。
打ち合わせという概念も全くなくて、そういった話し合いのほとんどはFacebook上やSMSでリアルタイムに行われているので、あとは開発しながら疑問点をその都度洗い出していくだけ。とにかく無駄な打ち合わせも無いし偏見もない。関わる人全てが対等という感覚で一連の作業が流れ続けていった。1つのサービス開発に年齢や上下関係はあまり意味を持たないはずなのに、一般的な会社ではその状態が当たり前の様に続いてる気がする。僕はその環境に馴染めなかった1人だった。
そういった環境でサービス開発をやってみて分かったのは、色んな角度や価値観からの意見を聞く事はとても重要だったという事と、気を使わずノビノビと作業出来る空間でこそ本来の力が出し尽くせるという事。意見やアイデアはとにかく出てくれば出てくるほどサービスをより良くしてくれるし、その意見を集める為には皆が積極的に意見を言える環境が必要になる。この2つは一見違う様に見えてとても関連性の深いものなんだと最近になって分かったみたいで、改めてgoogleの働き方なんかを見ていてそんな環境が整ってるんだなと感じている。ディスカッションが日常的に成り立って、色んな意見をまずは聞いてみる、面白そうならすぐに取り入れるという開発メンバーの姿勢が、今回のチョコくれ!からneda.lyの変化を自然と生んでいたのかもしれません。
neda.lyの開発メンバーと仕事をする事で大きく変わった環境。
僕が後先考えず動き続けた事で変化したもの。
この1ヶ月、僕は本当にいろんな経験をした。それは長い人生の中でも何回と味わえないだろう素晴らしく貴重な体験で、とても思い出深い出来事の連続だった。neda.ly(チョコくれ!)の開発をきっかけに家入さんと会い、ハイパーインターネッツやwarusouチームのとても刺激的なメンバーと会い、同じ86世代の勢いあるスタートアップ経営者と会い、小さな記事だけど個人的に取材も受け、講演もやり、新しいサービスもローンチさせ、個人的にも様々な打ち合わせ先で注目を浴びた1ヶ月。長い人生の中で考えたらほんの一瞬の時間なのかもしれないけれど、この30日は僕にとって本当に素晴らしい日々となって、同時に身の周りの環境や自分の価値観が想像を絶するほど変わっていった様に思う。
先日Twitterでこんな言葉が話題になっていて、それはとても印象に残るものだった。「したい人、10,000人。始める人、100人。続ける人、1人。」まさにその言葉通りだと思う。まだ会社に勤めていた頃もそうだったし、今でも同じ様に感じてる。分かりやすく表現すれば「そのうち飲みに行きましょう」って言ってる2人が一生飲みにいく事が無いのと同じで、表面上の言葉と実際に動くのは全く違うと思ってる。1ヶ月前の話を少しすると、僕が家入さんと出会ったのはTwitterの一言が全てのキッカケだった。家入さんがつぶやいた「デザイン&コーディングしてくれる人募集」という何気ないTweetに対してすぐにコンタクトを取って会いに行った結果として今がある。そのTweetを見てアクションしなかったら今の環境は無かったんだろうなと思うと無謀な挑戦をして良かったと思うし、過去を振り返って分かるのはそういうチャンスはいくらでも転がっていたという事。
たった1つの選択肢の違いだったけど、今回のアクションをきっかけに色んな出会いがあって、同時にいくつかのプロジェクトにも参加させてもらっている。刺激的で好奇心に溢れた世界は想像以上に面白い。そしてそういった環境に触れていく事で新しい価値観が生まれたり、スキルが上がったり、意識が変わったり、良い意味で自分自身の変化を感じる事が出来ている毎日。もしかしたら家入さんみたいな著名人に対してアクションを起こす事が恐いとか、見えない壁があるとか思っている人がいるかもしれないけど、その世界に少しでも魅力を感じているのであれば思い切ってコンタクトを取ってみればいいと思います。恐い事なんて何も無い。仮に返信が無かったとしても失うものは何もないし、誰かにバカにされる事もない。考え方を変えればノーリスクハイリターンなのがSNS上のアクションなんじゃないかと。一緒に仕事しましょうとかそうったカッコいいものじゃなく、1歩踏み出せばすごく面白い出来事が待っているかもしれないよっていうのが個人的なメッセージとして伝わればいいなと思います。
webクリエイター集団、MONOspace。
僕らMONOspaceというチームは、変態プログラマー2名と鬼畜コーダー、そして唯一まともな僕(スイマセン嘘です)で構成される4名のクリエイティブ集団です。普段はweb制作などのクライアントワークをメインに日々仕事をしていますが、今回のチョコくれ!やneda.lyの様に新しいサービス開発だったり、様々なチームと組んで作り上げるプロジェクトだったり、とにかく枠に捕われず色んな事に挑戦をしているチームです。もしMONOspaceに興味を持ってくれる人やチームがいれば、いつでも下記のアドレスに連絡して下さい。これからも色んな人と関わって、多くのサービス立ち上げをしてきたいと思っています。
Satoru_ItabashI [at] gmail.com
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僕らはスタートアップと言われる有名なベンチャーではないけれど、事業の軸を絞っていない分様々な分野のプロジェクトに関わっていける柔軟性と好奇心があると思ってる。たぶんここからが改めてスタートラインなんだと思います。プロジェクトに年齢や性別なんて関係ないっていう考え方なので、小学生や中学生のエンジニア、大学生や女性クリエイターとか全く抵抗はありません。というより同じクリエイターとして興味の方が強かったりします。純粋にものづくりが好きなエンジニア、ものづくりに興味があるチーム、一緒にご飯でも食べに行きたいです。
MONOspace代表 板橋聡
ここ1週間で立ち上げたサイト
neda.ly at chocokure white day ver.
家入さんの立ち上げたスタートアップファクトリー | partyfactory Inc. HP
震災関連サイト | 0311 REBORN… あれから1年。今だから言える、心のメッセージ。
注目のスタートアップschooが仕掛ける新企画 | schoo-LAB file.1