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なぜ3年で転職してはいけないのか

BASE株式会社執行役員の柳川です。金融事業の事業責任者をしています。
私はエンジニア→PdM→事業責任者というキャリアを歩んできました。
現在は事業戦略、プロダクト戦略、組織戦略全ての責任を持ちながら、事業責任者を務めさせていただいています。

さて今回はお便りが来たので回答します。若干センシティブですがメンバーシップ加入者からの質問に答えないわけにはいかない。
当然の如くポジショントークの入った話になること、ご容赦ください。

3年で転職してもいい、戦略があれば

出オチ感ありますが、3年で転職していいです。1年で転職してもいいです。その行動があなたのキャリア戦略の中に組み込まれているのであればなんでもいいです。キャリア戦略として自分なりにロジックが通っていれば何でもいいのです。

キャリア戦略という言葉、大嫌いなんですがあえて使います。
キャリア戦略という言葉は、採用業界のなかでマーケティングの手垢に塗れた言葉になってしまったから。
しかし全てのことにバックキャストで計画して戦略持てよ!と思う中でキャリアにも戦略が必要です、

キャリア戦略は人生の戦略です。人生の戦略、考えられていますか?

転職する時に現職での実績を語れますか?

あなたは現職で何を成し遂げましたか?
新しく何かスキルが身に付きました、とかそういう話じゃないですよ。
あなたは現職で、どのようなビジネス価値を出しましたか?という意味です。そのビジネス価値を出す過程に、どのように主体的に関われましたか?という話でもあります。
これが語れれば、現職で実績が作れたということになり、実績を持って次のチャレンジに望めます。
実績を持って次のチャレンジに望めるというのをもっと具体的にいうと、給与が上がるアップサイドの転職になる可能性が高いですよ!という意味です。少なくとも何かしら積み上がっているので、どこかでコネクティングドットが起こります。

ちょっときつい言い方をします。
転職する時に現職での主体的に動いて成し遂げた実績が語れなければ、現職の経験は社会科見学に近いです。
社会科見学も大事です。実際体感したことは血肉になりますし、キャリアアップにもつながると思います。
しかし個人的見解では、それでいいのはある段階まです。ある段階を超えると行き詰まると思います。具体的な段階としては以下の分類のLv4以上とかかな。年収800万とか超えていきたいくらいの感じかな。

Lv1:具体的に分解されたタスクを遂行できる
Lv2:分解されきっていないやや抽象度の高いタスクを遂行できる
Lv3:抽象的課題の進行過程を開示しながら遂行できる
Lv4:抽象的課題を具体に分解してタスクとして渡し完遂できる
Lv5:事業にとって有用な抽象的課題を発見し設定できる
Lv6:事業を作ることができる

せっかく転職し会社で働くのであれば、しっかり実績を持って帰るべきだと思います。そうしないともったいないですよ。積み上がっていかないから。とにかく何か持って帰ってください!

3年でどこまでできるのか

つまりポイントは、主体的に動いて実績出すことが3年でできるのだろうかということです。3年もあれば十分だという方もいると思います。しっかりバックキャストして計画していれば十分に実績は出せるでしょう。逆に「3年もかかる?3年もかかるのは優秀ではないのでは?」という意見もあるかも。
しかも過去に経験のある仕事であればもっと余裕でしょう。

しかし実際どうですかね?

  • バックキャストして計画していますか?

  • 未経験領域のキャッチアップに1年くらいかかっているんじゃないですか?

  • 信頼貯金の積み上げにどれくらい時間がかかりますか?

  • その場合3年は短いんじゃないですか?

  • もっと時間をかけて大きな成果に取り組むべきじゃないですか?

バックキャストの計画というと例えば

  • 半年: クイックウィンによる信頼獲得、既存の事業や組織の構造をキャッチアップしてボトルネックやチャンスの解像度があがる

  • 1年: インパクトの期待できる企画を仕込めるか?

  • 2年: インパクトある企画を実行し終えるが、一発では当たらない。重要なラーニングを得る。

  • 3年: やらねばならぬことを進行しつつ、いくつかホームランを狙える企画を仕込み、多少の進捗をえる、かも?.

などと考えていくと3年は短い気がするのです。

顕在課題に挑むのか潜在課題に挑むのかによっても変わる

ここまでの話は潜在課題に向き合う場合の話です。
潜在課題に挑む場合もあれば、難易度の高い顕在課題に挑むミッションもあります。
顕在課題の例えばの例でいうと、エンジニアが難易度の高い顕在ミッションを職人のように解決していく場面が考えられます。それであれば3年もあれば余裕で、場合によっては1年で実績出せるかもしれません。
とにかく課題やボトルネックなど、解くべき課題が明確な時に、明確に力を発揮するという成果の出し方も存在すると思います。

期間を定めて成果を出すのはそれはそれでプロっぽくてかっこいいですし、純粋に価値のあることだと思います。

なので期間は問題の本質ではありません。大事なのは成果を自分のものとして持って帰ることです。

転職したら絶対にロスは起きる

どんなに経験者だったとしても、転職後の会社のコンテキストをつかむには時間がかかります。そのコンテキストをつかむまでの時間はシンプルに時間のロスです。その時間をロスしたとしても、転職する方が良いのか、冷静に考えた方がいいです。

信頼貯金を積み上げるのにも、膨大な時間とコストが掛かります。信頼貯金がなければチャレンジは出来ません。今ある信頼貯金を使ってできることまだあるんじゃないですか?使ったほうが良くないですか?

このように現職でもうひと頑張りした方がコスパがいい可能性もあります。もったいないです。冷静に考えましょう。

「もうこの場所では成長できない」はテイカーの思考なのでは

もうこの場所では成長できないとか、刺激がなくなったとか、慣れてしまったとか、自分よりできる人がいないとか。これらは場合によってはテイカー的な発想になる可能性があると考えます。
ギバーであれば、あなたが刺激を作り出すんです。それが成長につながるのです。自分で違いを作ることが成長につながります。場に対してギバーになれると最高だと思います。どこでも活躍できます。

情熱プログラマー超好きな本なんですが、「一番の下手くそでいよう」はあんまり納得できないのですよね。個人的には。じゃあ誰が後進を育てるのだろうかと思ってしまう。

与えられる環境や仕事でパフォーマンスやモチベーションが変わるようでは、まだまだ一人前ではないと思います。ギブされているだけです。

変えられることと、変えられないことは確かにあります。コスパで考えると、自らの力で会社を変えることが割に合わないこともあると思います。そういう判断を下すのも全然いいと思います。
言いたいことはただ一つ。それを繰り返していると、若さという資源が枯渇します。

新しい会社や新しい仕事に向き合った時に、そのコンテキストをつかむまでの時間を成長だと感じてしまう人は、いつまで経っても何も成し遂げることはできず、本質的な成長はありません。それこそただの器用貧乏になってしまいます。

コンテキストをつかんだりスキルを身につけるのは手段であり、その手段を使って結果を出すために試行錯誤できなければ、成長はありません。

どんなスキルがあるかではなく、何を考え何を成し遂げたかが大事なのです。それこそが自分主語で価値を出す力そのものです。
スキルを持って使われるのではなく、自分主語で価値を出しましょう。

いつまでも使われる側なのは嫌じゃないですか。
この純粋な向上心の話を。「資本家にいいように使われている」みたいな捉え方になる人とは世界観が合わないかも。(マルクスは好きですよ)

転職も「何を投資して何を得るか」という考え方が大事

若さという資源が枯渇しますという言葉を使いました。僕たちはキャリアを積む中で何かを投資し、その結果何かを得ています。この解像度をあげましょう。
新卒で未経験のうちは何もないです。あるのはポテンシャルであり、若さであり、可能性です。その資源を使い、何かしらの資産を得る必要があるます。何を得るのでしょうか。それはスキルであり、それを活用した先の実績です。
実績は資産です。資産はお金だけの話ではないんです。資産は積み上がり始めれば複利的に効いてきます。資産を持つ人がさらに資産を持つのは構造上仕方のないことです。

ただ使われるだけじゃダメなんです。単純な労働力やスキルだけ切り売りしていたら、資産は積み上がっていきません。それではずっと資本家と労働者の関係を引きずります。それは辛いって。

これは一方的なものではありません。会社も僕たちも相互に投資し合っています。会社も若さという可能性に投資し、何かしらのアウトカムを得ようとしています。その構造を活用して、我々個々人は個々人として実績という資産を積み上げるのです。
そうすれば対等になります。いや人手不足時代、我々個々人の方が力を持つ可能性の方が高いです。

あなたが若さと引き換えてきたものは、資産になっていますか?
突っ込んだ分は奪い返しましょう。与えてもらうじゃないです、奪いましょう。

転職する時に考えておきたいことリスト

一つ一つそれぞれの項目についてめちゃくちゃ語れてしまうんですが、一旦箇条書きで失礼致します。ご要望あればそれぞれ加筆するかもしれない。

  • 今までのキャリアに関して軸の通った説明できる?

  • 仕事に求めることの優先順位を、項目の切り方から含めて話せる?

  • 現職の信頼貯金どれくらい貯まってる?

  • 現職で得たものは何?

  • そもそも何で転職するの?

  • 転職してどうしたいの?

  • 転職してしたいことは今の環境ではできないの?

  • 現職に転職した際の仮説であってたことと間違ってたことは?

  • 転職理由を現職のビジネスモデルに紐付けて整理できる?

  • 転職先候補をどういうロジックで選んだ?

  • 転職後3年後までのマイルストーンを1年単位で話せる?

自分にもっと向き合って!!

自分にもっと向き合いましょう。世の中がどうとか、市況がどうとかどうでもいい瑣末なことです。この業界がこれから盛り上がるとか、この職種の価値が上がるとか、本当にどうでもいいことでノイズです。
転職エージェントとではなく、本当の意味でのキャリアアドバイザーと話しましょう。あなたのことを客観的にみて本音でアドバイスをくれる人と話しましょう。

誤解を恐れず言いますと、転職エージェントはあなたのことを在庫としか思ってませんよ!そりゃそうでしょう、そういうビシネスモデルですもん。
転職エージェントにお金を払っているのは、採用している企業です。その際にどういう条件で、いくらぐらい企業が費用を支払っているか知っていますか?その辺り知った上で転職エージェントや転職サービスを活用しましょう。

勘違いしないで欲しいのですが、転職エージェントや転職サービスは素晴らしいものです。お世話になっています。いつもありがとうございます。
素晴らしいものですが、どんなに素晴らしいものでもビジネス構造には抗えないので、ビジネス構造を知った上で付き合いましょう。それが大人の付き合いというものです。
本音と建前を把握した上で、さらにもう一歩、本音に入り込むのが大人の付き合いです。この表現伝わりますかね。
それぞれの立場に立ち、それぞれにメリットがあるように、気持ち良くお付き合いしましょうということです。「どんな行動原理で動いているかなんて、わざわざ言わせんな、察してうまく使え」ということです。

自分の軸を持ち自分がどういうアウトカムが出せるのか。それはどの職種を経験したとか、どの業界にいたとか、そんな表面的なことじゃないんです。
とにかく独力もしくはリードしてアウトカムまで持っていける力が大事です。社会科見学じゃダメです。

別にあなただけを責めているわけではない

過度な自責思考を促すことはこの文章において本意ではありません。
あなただけでどうにもならないこともたくさんあります。チームで会社で働いている以上は、さまざまな関係性ゆえにうまくいかないこともあるでしょう。
もう少し具体的に言いますと、上司のマネジメントスキルが低いゆえにうまくいかないこともあるでしょう。会社の組織方針や考え方がアンマッチゆえんにどうしようもない時もあるでしょう。そんなことまで全て自分でひっくり返せとは言いません。
仮にひっくり返せたとしたららすごいスペシャルスキルが身についたことにはなりますが。

ただし冷静に、どういうことが起きたかは分析と把握をした上で次に進みましょう。そうすることで糧になります。

メンタル最優先

ここまでいろいろ書いてきましたが、メンタル壊してまで現職で頑張れとは言いません。メンタルが最優先です。
あなた個人に対してのリスペクトを感じない会社や現場からは、即刻立ち去るべきです。
そこで絶対に無理をしないで下さい。

この記事は職種を問わない話です

エンジニアでもデザイナーでもPdMでも営業でも事業責任者でもマーケでもCSでもコーポレートでも。職種を問わない話です。

答えは持っていないけど壁打ちはできるよ

キャリアの棚卸しのための壁打ちは、得意領域です。
今世の中にどんな会社のどんな募集があって、給与レンジがいくらで、とかは微塵も知りません。
でももっと大切な、あなたの人生の軸の話は結構できます。実は引き出すの上手です。あなたの人生の軸はあなたしか知らないので引き出します。

ガチで壁打ちしたい方はこちらどうぞ。

偉そうに言っているお前はどうなの

僕は1社目2年で辞めてますし、2社目は1年で辞めて言います。
現職こそ8年ほど働かせていただいておりますが、過去たくさんご迷惑をおかけしてきました。
ゆえにですよ、ゆえにこういうことが話せるのです。
ということにしておいてください。

自分の経歴からもわかるように、僕は転職反対派ではないです。転職で人生を変えてきました。
それゆえに意味のある転職をした方がいいなーとは考えています。

僕もそれぞれの選択の際自分なりに考えましたし、その度に少しずつ環境を変化させ、結果として現職で一定成果を出しながら長く働けています。運が良かった部分も大いにありますが、僕なりに戦略を立てて進んできました。
というような経験を元に、本記事書かせていただいております。

要るするに、「何となく3年で転職するはやめよ?何らかしらのマーケティング戦略に乗っけられちゃってない?」ということなんですが、それをもう少し解像度上げて書きました。

あまりにも短期転職を繰り返すのは、若さという資源を垂れ流しているだけだけなので、そこだけは本当に気をつけて欲しい。老婆心ながら。

ここまで読んで、ただ長く働くのが偉いと言っていると解釈されてしまったとしたら、僕の文章力不足なので精進します。
何も考えずにただただ長くいるのもそれはそれで課題ありと思いますよ。

こんなのも書いたなー

メンバーシップ向け



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