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鉄道オタク差別問題

 オタク論について考える最後として、私は鉄道オタクについて考えた。
その途中で私は「鉄道」の対義語を発見した。
今回はその考察の結果を書きたい。

  初めに、私は鉄道オタクではない。ただ、この記事を書くにあたって、鉄道オタクを理解するために去年私は乗り鉄活動として約8本の鉄道路線に乗った。さらに参考文献として以下の本を読んだ。

・『鉄道趣味人の世界 ~ゆりかごから墓場まで~』 池口英司 交通新聞社新書159 2022年
・『鉄道の達人 1~3』 横見浩彦 竹書房文庫 2008,2010,2014年
・『みんなが知りたい!鉄道のすべて 増補改訂版』鉄道のすべて編集室 2024年 厚徳社
・『鉄子の旅』菊池直恵 小学館(IKKI)
・『テツぼん』原作:高橋遠州、作画:永松潔 ビッグコミックオリジナル
 ただし、鉄子の旅・テツぼんは漫画喫茶で半年以上前に読んだ物なので相当記憶はおぼろげだ。その他、『旅と鉄道』と『J train』を流し読みした。

 鉄道オタクは謎が多い。テレビを見ると、NHKの「鉄オタ選手権」「時空鉄道」「10分で巡る日本の廃線」「地球鉄道」「ニッポンぶらり鉄道旅」や日本テレビの「妄想トレイン」のように鉄道だけでなく鉄道オタクをテーマにした番組が毎週数本は放送されている。NHKの職員の中には鉄道オタクが入り込んでいるのだろうか。鉄道オタクは趣味として広く受け入れられているようだ。

 その一方で、インターネットで鉄道オタクに浴びせられる罵倒は激烈だ。例えば低劣な情報源ながらあえて暴言を集める目的として、5ちゃんねるまとめサイトから幾つかピックアップしてみる。

Xのまとめサイト、Togetterではこうなっている。

 Youtubeで「鉄道オタク」と検索すると、撮り鉄が迷惑行為をする動画がワンサカ出てくる。藤田直哉の連載「フェミニズムでは救われない男たちのための男性学」3回目のオタク差別を取り上げた回では、オタク差別に憤るオタクの中でさえ

例えば、今回の「オタク差別」についてXでの議論の中で「鉄オタは仕方ない」などという意見を少なからず見たが、それは「鉄オタ」というカテゴリを創出し、「オタク」という集団の中でミクロに卓越化と差異化を起こしていることの証拠である。

http://s-scrap.com/9981

と書かれている。鉄道オタク叩きはネットの娯楽になっているようだ。
 それはサブカルチャーにまで及んでおり、知るかバカうどんの「嘘もつかない純粋な存在」という漫画では「でんちゃ、でんちゃ」と叫ぶ支援学級の生徒らしい男性まで登場する。この例に至っては偏見を通り越して完全に障害者差別だと思うが、ネットでは「でんちゃ」が完全に差別語として定着している。例えば2024年の東京都知事選に出馬した暇空茜はオタクの味方を自称していたにも関わらず、でんちゃと軍事オタクを攻撃し続け、暇空茜を支持していたオタクやクリエイターも特にそれを問題視していなかった。

 以上の例から、現代のネット環境において鉄道オタクはいわれなきマイナスイメージを持っていて魔女狩り状態になっている。このテレビとネットの温度差は一体何なのだ。これまでの常識では「オールドメディアはオタクに攻撃的・ネットはオタクに親和的」だったはずだ。鉄道オタクは逆転現象が起きている。今回はそれも含めて鉄道オタクの謎を考えていきたい。

・鉄オタ概略
 今回の記事では「鉄道オタクには多種多様な種類があって~」みたいなくどくどしい事は書かない。それは非・鉄オタの自分が書くべき事ではないと思うからだ。なので、本題に入る前に軽く「非・鉄オタの自分が知らなくて驚いた事」を書きたい。

 まず、岩崎・渡辺コレクションもそうだが鉄道オタクの歴史は撮り鉄から派生したという事だ。鉄道オタクが最初にブームになったのは1970年代前半のSLブームからだ。このブームはSLの"撮影"がメインであった。そして早くも撮り鉄達は劣悪なマナーを露呈し始めた。

 "一方で、人が増えてくるとマナーも悪化し、この時時代には趣味人同士の小さないさかいや鉄道趣味人と鉄道現場との衝突、撮影中の事故なども報告されるようになり、マスコミが報道を通じて、ファンのヒートアップぶりに警鐘を鳴らすようにもなった。(中略)いかなる場合でもマナー違反は決して許されるものではない。(中略)これは現在とて同じである。

鉄道趣味人の世界 p29

 "テツの大半は、このようにマナーの悪い撮りテツに対して憤慨しています。もしこれから鉄道写真の撮影を始めようという人は、他人に迷惑をかけてはいけないということを、強く肝にめいじておきましょう。

鉄道の達人2 降りたい駅 乗ってみたい路線 位置NO.1962

 SLは76年に廃止されたが、入れ替わるようにブルートレインブームが起き、国鉄の「いい旅チャレンジ20000km」キャンペーンもあって次第に乗り鉄的価値観も生まれていった。また、撮り鉄・乗り鉄の他の第三勢力として模型鉄がある。この3つが鉄道オタクの3大勢力で、それ以外の音鉄とかスジ鉄とかはマイナー勢力である事を把握しておこう。しかしどの鉄道オタクであっても駅のホームで偶然珍しい編成の列車が来た時にすぐにカメラを取り出して撮影するのは鉄道オタクの嗜みだ。そういう意味では全ての鉄道オタクの心の中の何割かは撮り鉄である。

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牛若號

・鉄オタ四大美徳
 私は鉄道オタクについて考えるうちに、鉄道オタクには四つの美徳があると考えた。
 一つ目は「知識を尊ぶ事」だ。今のオタクは知識よりも推しにどれだけお金を使ったかが偉さを決める基準になっている。それで、漫画オタクであっても特定の作品しか興味が無く、そればかりかその漫画の中の1人のキャラないし特定のカプ以外は一切興味がありませんという人も珍しくない。
 しかし、鉄道オタクのコミュニティであれば「私は新幹線を除く鉄道車両の型式を30種類言えません」とか「モハが何の意味かわかりません」みたいな人は鉄道オタクだと認めてもらえないだろう。私はそうした知識を尊ぶ風習は鉄道オタクの美徳だと思う。自己研鑽や探究を重んじている。

 二つ目は「その知識が実学である事」だ。知識を集めるといっても、「ソシャゲの最強編成」とか「アイドルの好物」みたいな何の役にも立たない趣味ではない。鉄道はそれ自体が交通工学として学問の対象だ。鉄道を学ぶことは地理学・政治学・経営学を学ぶ事につながるし、技術的な事なら電気工学・機械工学・通信工学につながる。鉄オタ個人としても、鉄道を学ぶ事で乗り換えやお得な切符の買い方がわかるようになり、カメラの撮影技術が上がる。

 三つ目は「世代間で知識や記憶の伝承がある」事だ。高校や大学には鉄道研究会があり、そこでは先輩・OBから後輩に知識が伝承されている。その過程で人間関係を学ぶ事もあるだろう。極まった鉄道オタクなら、鉄道車両の保存などの活動に乗り出し、それはそのまま地域の歴史の継承につながる事だ。
 
 四つ目はストイックさだ。「鉄道」と「萌え」を組み合わせたコンテンツには、駅メモ、鉄道むすめ、レヱル・ロマネスクがある。女性向けなら青春鉄道がある。しかし、どれも鉄道オタク界でもオタク界全般でも大ヒットした訳ではない。これは軍事オタク界で萌えミリ作品がブームになった事とは対照的だ。また、アニメやアイドルのように異性への性欲そのものを駆動源にしているジャンルとも全く異なる。この鉄道オタクのストイックさはオタク界全体から見ても特異なことで、称賛に値する。
 以上、4つは鉄道オタクの美点だと思う。

・鉄道オタク批判
 鉄道オタクはなぜ嫌われるのか。それは公共物をオモチャにしているからだ。 根本的に鉄道やバスという物は乗客のためにある。それは学生が学校に通うためであったり、会社員が出勤のために使う物であったり、老人が通院のために使う物である。一般人にとって鉄道とは仕方なく乗る物だ。JRは当然そうだし私鉄は鉄道会社の所有物ではあるけど、鉄道は社会の共有財産なのだ。だからこそできるだけ安い運賃で走らせている。そこに鉄道オタクが我が物顔で乗り込んでくるから鉄道オタクは嫌われるのだ。

 公共物をオモチャにする最たる物が撮り鉄だ。罵声を叫ぶ、駅に密集する、勝手に木を斬ったり田んぼに水を入れたりする、雪塊を置いてラッセル車を止める、車を使うからそもそも電車を使わないし迷惑駐車する、物を盗む。犯罪者集団そのもので迷惑行為は数えきれない。そしてその写真自体さえ芸術的に優れている訳では無く、撮り鉄独自のルール(車両が見切れてないか、前に物が映っていないか等)に従う事が優先されている。最低限のエクスキューズさえ無い。撮り鉄のような悪質な鉄道オタクのせいで乗り鉄のような他の鉄道オタクまでイメージが下がる。特に模型鉄は限りなく無害なのに一緒にイメージが下がってしまい可哀想である。

 また、葬式鉄は廃止になる鉄道路線にハイエナのように集まって駅員に迷惑をかける。お金が落ちたりグッズを買ってくれる以上、葬式鉄の存在は有難いんだろうけど、廃止になったからわざわざ来るというのは何となく地域住民にとっては不快だろう。

 あたり前だけどアニメオタクだってアイドルオタク(ピンチケ)だって、軍事オタクや格闘技オタクだって迷惑な奴はある程度いるだろう。みんなオタク界というタコ壺に入って活動をする以上、その性格は一般人よりもねじ曲がっているかもしれない。ただ、鉄道オタクはそれが公共の場にしゃしゃり出てくるから目立つ。軍事オタクも鉄道オタクも同じ穴のムジナだとは思うが、軍事オタクは公共の場には出てこないからあまり注目されない。

 また、オタク界ではここ10年ぐらいで「公式に迷惑をかけてはいけない」がマナーになった(それまではアニメ作品の悪口とかみんな平気で言っていた)。私は"推し活"はプラス面とマイナス面どちらも大きいと考えているけども、推し活の普及によって「推し対象や周囲に迷惑をかけてはいけない」「推しを人間扱いしなければいけない」というマナーが普及した事は素晴らしい事だと思う。しかし鉄道オタクは駅員に罵声を浴びて、周囲に迷惑かけまくりだ。その姿はクレーマーとかぶる。そこも嫌われる原因だろう。公共の場にしゃしゃり出てくるんだから、一般人から罵倒を受けるのは仕方がない。しかしもちろん鉄道オタク全体やマナーを守って写真を撮っている人を馬鹿にしたり、まして「でんちゃ、でんちゃ」と言って障害者差別的単語を使うのは言語道断である。

 鉄道オタクの中には石破茂総理大臣や前原誠司・斉藤鉄夫議員のように政治家の鉄道オタクも沢山いる。慶応大学の鉄研三田会のように一流企業で活躍する鉄道オタクも沢山いるし、中川家礼二ら鉄道BIG4や木村文乃、藤井聡太、庵野秀明、岸田繁のように鉄道オタクの有名人も沢山いる。鉄道オタクで、いや鉄道オタク"だからこそ"現実世界で活躍している人は大勢いる。それには先述の実学傾向が影響しているのかもしれない。そもそも旅費や高価なカメラ代はある程度の収入が無ければ成り立たない。鉄道オタク=人格破綻者・泥棒・アスペルガー障害のような決めつけは偏見そのものなので厳に慎みたい。

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詳細不明のミニ列車

・鉄道趣味とノスタルジー
 上の段落の一般的な理由で鉄道オタクが嫌われる理由はさておき、個人的に私が鉄道オタクに対して不快に思っているのは「古い物を有難がる」所だ。鉄道オタクはSLを有難がるのはまあわかるが、ことさらに地方の木造駅舎やド田舎を走るボロボロの客車を有難がる傾向にある。その一方で大都会の通勤電車の209型を"走ルンです"と蔑称する。地方のローカル線が廃止されると葬式鉄が殺到してことさらに残念がる。
 はっきり言って地方に済む私にとっては不愉快だ。そもそも明治に蒸気機関車を敷設した事だって、その当時の蒸気機関車は現代のドローンやAI並みの未来技術だろうがと思う。そんなに古い交通手段が好きなら中途半端に古い国鉄客車じゃなくて駕籠や牛車にでも乗ってろと思う。

 2時間に1本しか来ないローカル線なんて存在しないのと同じ。そんな路線が鉄道オタクの鉄道残せアピールで無理に残って、赤字を垂れ流したり税金が投入されたりするのは最悪だ。地方民だって新しい駅舎に新しい電車の方が良い。バスを代行するのも最近の人手不足で難しい所とは思うが、だからこそ未来志向で無人バスの開発を目指してほしい。老人や子供のような交通弱者だって、2時間に1本の電車よりも無人バスが15分に1本来るようになった方が遥かに嬉しいだろう。鉄道という交通機関が優れているのは通勤ラッシュの満員電車のように大量輸送ができるからだ。逆に言えば、地方の過疎地域に鉄道は設備過多だ。鉄道ではなく21世紀の新しい交通機関を模索していくべきだ。鉄道は鉄道オタクが乗るための遊園地のアトラクションじゃない!

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末広橋梁

・鉄道の対義語
 以上、書いたように鉄道オタクには良いところもあれば嫌われる部分もあるのだが、それにしても嫌われ方が尋常でないように思う。現在のネットの鉄オタ叩きはちょっと異常だ。アイドル・ソシャゲの萌えキャラ・メイド喫茶なんかが好きなら「スケベ」「ロリコン」といった(いわれなき)マイナスイメージが着くこともまだわかるが、鉄道のようにほとんどの日本人が利用するものを愛好するだけでこれほど嫌われるのは理不尽すぎる。

 私は今回その理由を一つ発見した。それは日本人男性の大部分が「無自覚な車オタク(エンスー)」だからだ。「車オタク」の世界が一般人=車オタクにとってあまりにも当たり前すぎて、自分が車オタクだという事すらわからないのだ。ただ、車にはバスやタクシーも含まれるので若干鉄道との差が曖昧になってしまう。バスオタクは鉄道オタクよりもディープなマニアの集まりだ。なので私が発見したより純粋な"鉄道の対義語"と比較するのがわかりやすいだろう。

それはバイクだ。

鉄道は沢山の人が乗る。
バイクは一人しか乗れない(タンデムやサイドカーは一応ある)
鉄道は所有できない。
バイクは所有できる。
鉄道は運転できない。
バイクは運転できる。
鉄道は改造できない。
バイクは改造できる。
鉄道は公共交通機関である。
バイクは趣味の乗物である。
鉄道は(乗るだけなら)安価。
バイクは(趣味の乗物としては)高価。
鉄道は極めて安全である。
バイクは極めて危険である。
鉄道はダイヤに従って走る規則性の象徴である。
バイクは自由の象徴である。
鉄道は老人・子供・障碍者など交通弱者のために存在する。
バイクは強さの象徴である。
鉄道はレールの上を走る。
バイクはどこにだって行ける。

 何から何まで鉄道とバイクは正反対だ。鉄道とバイクの共通点なんて「どちらも川崎重工が作っている」ぐらいしか思い浮かばない。そして、それこそが鉄道オタクがバカにされる理由なのだ。
 別にバイクが好きな訳ではない。私はバイクを持っていないし二輪免許も無い。バイク乗りは交通ルールを守らないし、夜中に違法改造バイクの音で起こされた時はバイカーなんて全員逮捕しろと思ってしまう。そういう訳で私はバイクは嫌いなんだが、その一方で何故かバイクを格好いいと思う自分もいる。それは存在自体に力強さを感じるからだ。爆音を撒き散らしながら生身で100km/hを出して走り回るなんて、バイク乗りなんか全員不良で悪人で命知らずの馬鹿野郎共だ。だから格好良く感じる。(後関係ないけど、実際そんな人は見た事は無いがライダースーツを着た女性も好き)

 自動車の場合もニュアンスは薄まるがそれに近い。自動車なんて通勤・買い物・送迎の足として普通に使う物だけど、やっぱり「俺の車」という愛着心はある。単なる通勤手段として考えるならば、田舎でボロい軽自動車に乗って通勤している人よりも満員電車に乗って都心の一流企業に通勤するエリートサラリーマンの方が偉いに決まっている。でも、マニアが一生費やす趣味として考えた時、鉄道は楽しめる部分があまりにも少なくて不利だ。鉄道は所有できない。鉄道は運転できない。鉄道は改造できない。鉄道は競争できない。乗るか、写真取るか、模型のレイアウトを作る事しかできない!

 だから、幼児の頃は電車が好きでも大人になると車に興味を持つようになる。鉄道には「鉄道=幼児の趣味」というニュアンスがあるのだ。
 日本人男性の多くが無自覚に「自分たちのオタク派閥に加わらない者たち」として鉄道オタクを攻撃する。そして大多数の鉄道オタクが善良でしっかりとした社会人なのに、攻撃者は鉄道オタクに「幼児・社会不適合者・アスペルガー」のような悪意のレッテル行為をしていじめ倒す。それは80年代から続くオタク差別をまだ続けているような物だ。

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SUZUKI KATANA (GT79B?)

・鉄道オタクが理解されない根源的理由
 非・鉄道オタクはなぜ鉄道オタクを嫌うのか。非・鉄道オタクの立場から回答する。もちろん撮り鉄の迷惑行為とかオタク全体に対する偏見とかはあるんだけど、より根本的な気持ちとして、我々には鉄道オタクが「鉄道を崇拝する宗教の信者」のように見えている。
 鉄道オタクの理解不能な所として、鉄道が好きにもかかわらず鉄道会社従業員に対して罵声を浴びせたりする点がある。そのような悪質行為をするのは一部の撮り鉄だけだが、鉄道オタク全体に漂う雰囲気として、鉄道マンを空気のように扱う・切符を安く買いたがる・大回り乗車をする・駅舎で寝る等、鉄道会社にとってマイナスになる事を気にしないように見える。そうした鉄道オタクを見ていると、鉄道オタクは鉄道マンや鉄道会社が好きなんじゃなくて、「鉄道という抽象的な概念」そのものを崇拝しているんじゃないかと思う。その理想鉄道はSLや国鉄寝台車のような昔の鉄道である。なので無味乾燥な通勤電車なんかには散々罵倒をする。鉄道オタクは鉄道会社を敵だと思ってるんじゃないか?そうした姿が非テツにとって不気味に見える。
 鉄道オタクは「この新幹線がカッコいい」とかではなく、モーター音とかダイヤグラムとか良い鉄道写真とか、とにかく難解な方へ難解な方へ進んでいく声質がある。その感性は一般人からも鉄道オタク以外のオタクからもかけ離れている。そうした鉄道オタクの「鉄道概念崇拝」が、SNS時代によって非・鉄道オタクと摩擦を生む原因では無いかと私は考えた。

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カバ電車

・鉄道オタクとオタク
 鉄道オタクを見ると、かつてオタクという物は世間からこのように扱われていたのではないかと思う。オタクは大の大人にも関わらずアニメ・特撮・マンガを読んでいて、その作品も世間一般からは何が面白いのかわからない内容で、だっさい服を着て、怪しい同人誌を作って専門用語で会話する。一言で言えばオタクは「こども大人」だ。だからオタクは差別してもいいと世間から思われていたんだろう。むしろその当時は鉄道が身近だったから鉄道オタクの方が過ごしやすかったかもしれない。
 鉄道オタクというものは今でも80年代以前のオタクの在り方を伝承しているのだろう。その一方でアニメやマンガはクリエイターらの努力によって世界中で人気のコンテンツになった。テレビ局も政治家もアニメ・マンガに足を向けて寝られない状態になり、完全に世間に受け入れられた。そうしてオタクも80年代型→萌え・インターネットオタク→アイドルオタ・徐々に女性が前面に→若い女性による男性有名人の推し活とどんどん変容していった。その一方で鉄道オタクは何も変わらなかった。常に鉄道のみを愛し、知を貴び、80年代型オタクの態度を変えなかった。一般オタクと鉄道オタクは同じ祖先から違う進化をした生物のようだ。
 鉄道も変化しなかった。いや、廃線・SLやブルートレインの廃止・運行状況の悪化のようにむしろ退化の30年だった。鉄道は何も進化しなかったし、赤字ローカル線・満員電車・開かずの踏切など、一般人は鉄道に苛立ちとあきらめをつのらせるばかりで、鉄道オタクの地位も向上しなかった。

 だからこそ、この記事を書いて改めて思い知ったのだが、鉄道オタクを差別しないでほしい。鉄道オタクは40年前の男性オタク自身の姿だ。我々アニメオタクは完全に社会に受け入れられた。かつていじめられていた人たちが、オタクの中で線をつくって「鉄道オタクはいじめていいオタク」という事にして笑いものにする。そういう事は良くない。改めて言うが、鉄道オタクの中にも社会的成功者は大勢いるし殆どが善良な人である。かつてはオタク達全体が差別されていたのに、今はアニメが認められたからといって鉄道オタク叩きを娯楽にするのは見苦しい。

 悪質な撮り鉄に対しては監視カメラの増量などの手段でどんどん逮捕してほしい。鉄道オタク側も「俺たちの活動はどうせ一般人にはわからない」という態度を取らない方が良い。鉄道オタクは「お客様」なので鉄道会社から厳しく叱られないという事に甘えている。その甘えが苛烈な鉄道オタク差別につながっている。結局、鉄道オタクが差別されるのは、「鉄道オタクの喜び」と「鉄道会社・鉄道会社勤務者・地域住民のメリット」が相反するからだ。そこを直さない限り鉄道オタクが愛される日は来ない。

 その方法については非・鉄道オタクの私が考えるのは難しい。しかし、突破口としては、鉄道オタクが鉄道という概念を崇拝するのを辞めるのが良いと思う。鉄道オタクがカメラ・模型・鉄道雑誌のような物に大金を使うのをやめて、鉄道そのもの・鉄道会社勤務者そのものにお金が流れるような仕組みが作れないものかと思う。それがイメージアップの鍵だ。
 
 ただ、それはそれとして、今後は日本の人口減少によって急激に日本国内の鉄道輸送は縮小していくだろう。それを考えると、鉄道趣味の未来が悲観的なものとなるのは避けがたい。そうした中で、今後の鉄道趣味人としての人生をどう実りあるものにするのか、それが鉄道オタクにとっての人生をかけた難問だ。

・あとがき
 私はアニメや漫画やゲームに興味を失いました。なので、実を言うと去年私はアニメオタクから鉄道オタクに転身しようかと思ったのです。しかし無理でした。その理由はどうしても鉄道に興味を持てなかったからです。でも、鉄道には興味を持てませんでしたが鉄道旅行は面白かったです。そうして鉄道を体験するうちに、自分はどちらかというと貨物列車とローカル私鉄が好きな事や、地理やメカのような周辺的な事には興味が持てる事がわかりました。

 なので、これからの自分は「1年のうち3日間だけテツ」になって、また新しい路線に乗ってみようかと思っています。とりあえず次のターゲットは樽見鉄道・近江鉄道・近鉄田原本線・貨物鉄道博物館あたり。それでは素晴らしい?鉄道の世界に出会えた事に感謝。

・オマケ
 漫画オタク&ミリタリーオタクから鉄道オタクへ1冊漫画をおすすめするなら。鉄道オタクがチェックしなさそうな漫画として、私は「国境のエミーリャ」(池田邦彦)を挙げます。絵を見れば理由がわかるはず。

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黄色い電車

コメント

7
アンチラ
アンチラ

撮り鉄自体健常者をパン人と言ったり障害者式写真、略称S式という言葉を使う差別主義者なのでセーフ

ETHAN
ETHAN

私は鉄道マニア兼二次元コンテンツのオタクです。4つの美徳の存在は否定しませんが、鉄道マニアには細かい専門分野があり、車両の形式以外にも路線や駅、時刻表やダイヤグラム、車両の走行機器など様々です。駅を専門とし、車両形式をあまり把握していない人も鉄道マニアと見なされていますので、1つ目の美徳に関しては語弊があると思います。
終盤では、人口減少によって日本の鉄道輸送は縮小し、鉄道趣味の未来は悲観的なものになると述べていますね。確かにその通りで、国鉄分割民営化と同時に多くの地方路線が廃線となりましたし、北海道や東北の山間部、中国山地といった過疎地域では多くの路線が廃止の危機にあります。ローカル線は地域の観光資源に成り得る反面、経済的な負担が大きいですし、大量輸送機関としての役目を果たせるとはとても言えません。ですので、私はどちらかといえば不採算路線のバス転換には賛成の立場です。(続く→)

ETHAN
ETHAN

では今後鉄道趣味をどうやって充実させようかと考えるわけで、これが難問であると述べていますね。その問題に対する私なりの答えとして、日本国外の鉄道に目を向けるというのがあります。私の場合、特に関心を抱いているのが中国の鉄道です。魅力は何といっても巨大な路線網です。高速鉄道の総延長は日本の15倍の約5万km、在来線には運行距離が1000km~4000km以上に及ぶ寝台列車があり、縦横無尽に大陸を駆け巡っています。高速鉄道の運賃は新幹線の半分ほどで、円安の現状でも航空券は比較的手頃ですし、北京と上海の中心部を除いて物価は安いです。言葉の壁に関しても、翻訳機があれば必要最低限の会話はこなせますし、同じ漢字文化圏ですから地名などは覚えやすいです。
以前は鉄道の写真撮影が制限されていましたが、近年は寛容になりつつあり、駅で自分が乗る列車を撮ったり、車窓を多少撮る程度であれば特に問題はないようです。とは言え、街中の雑居ビルが軍事施設だったり、突然軍の貨物列車が現れる可能性もあるので、撮影には一定の注意が必要です。(続く→)

ETHAN
ETHAN

中国には鉄道マニアがいないだとか、中国の鉄道に興味を持つ人なんていないとか思う人もいるでしょうが、実際のところ中国の大手動画サイトbilibili動画にはマニアたちが撮った動画が大量に存在します。(URL↓)
https://search.bilibili.com/all?vt=24133009&keyword=%E9%93%81%E8%B7%AF%E6%8B%8D%E8%BD%A6&from_source=webtop_search&spm_id_from=333.1007&search_source=2

あと、日本人が立ち上げた「中国鉄道時刻研究会」なる同人サークルがあり、10年以上に渡って中国国鉄の日本語版時刻表を刊行し続けています。(URL:https://shikebiao.info/)

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鉄道オタク差別問題|元オタクが語るオタクの歴史
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