裁量トレーダー向けの生きた投資本リスト
「勝つ」ことにフォーカスした、裁量トレーダー派による裁量トレーダー派のための選書。読んで賢くなるより、読んで生き残る本を集めました
はじめに
このリストは、巷にあふれる「とりあえず読んどけ」的な投資本とは一線を画します。バフェットもリンチも出てきません。代わりに登場するのは、國宗、ソロス、タレブ、ミネルヴィニといった、相場を実際に殴り合ってきたトレーダーたちの言葉です。ここにある本は、すべて私が実際に読んで、トレードに活かせた/何かを変えてくれたと感じたものばかりです。
※筆者はオプショントレーダー寄りの視点で選書しています。そのため、インデックスやファンダ重視の方には合わないかもしれません、「米国市場で稼ぐ」という観点で本当に役立った本だけを厳選しています。
殿堂入り
『ミネルヴィニの成長株投資法』マーク・ミネルヴィニ
対象者:トレード初心者向け
レベル:初心者〜上級者
用途:基礎から勉強したいときに
コメント:モメンタムの王者ミネルヴィニの著作。初心者ならまず一読すべき。ミネルヴィニといえばモメンタムであるが、判断の論拠となるファンダメンタルズやテクニカルに関しても細部まで本当に仔細に書かれて参考になる。初心者はまずはここから始めることを推奨。
『オニールの空売り練習帳』ウィリアム・J・オニール
対象者:空売り初心者
レベル:中級者~
用途:ショート入門書
コメント:空売りのコツとは需給と市場心理であると喝破。ショートの練習し始めた頃に読み需給とはなにかと考えるきっかけをくれた本。チャートを中心に解説されており、現代米国市場において多大な影響を与えているオプションの解説が一切ない。本当に空売りの本なのにガンマのガの字もない。おまけにかなり定性的でこの本自体は応用しにくい。あくまでこの本はサポートとし、これとオプション理論と合わせてガンマを見つつ、この本を参考にしていくやり方がおすすめ
『実践日経平均トレーディング』國宗利広
対象者:フロー読む人、先物トレーダーの人
レベル:上級者
用途:需給を知りたいときに
コメント:今回紹介する中でも最も需給について詳しく書かれている本。日経平均先物が題材だが米国株市場でも基本的な仕組みは似通ってるため米国株をトレードする際も大変役に立つ。需給を考えてトレードするならもってこいの一冊。
『日経平均オプション入門』國宗利広
対象者:オプショントレーダー
レベル:上級者
用途:オプションでプロを目指す人
コメント:日本語で書かれた本で最もレベルが高いオプションの本。かつ最も実務的で実践的な本でもある。ある程度理論を理解していて実際にデモトレなどで触ったことがある、あるいは既にオプショントレーダーとして動いてる人向け。プロを目指すならぜひとも読みたい一冊
『ソロスの錬金術』ジョージ・ソロス
対象者:市場心理に興味がある人
レベル:上級者
用途:モメンタムやオプションへの理解を深めたいとき
コメント:再帰性理論について記述されたソロスの名著。ソロスがマーケットと哲学を再帰性理論そのもので両方とも説明しようと試みたため、理論の骨子が哲学ベースになっており読みにくい。投資本と言うよりかは哲学書に近い。哲学書を読んでる人間なら苦にならない(実際私は面白く読んだ)が哲学に興味がない人間には読みにくいこと請け合い。再帰性理論については別の本でも記述があるので無理にこの本を読む必要はない、がソロスの実際のポジションが本人直々に解説されており、心理にフォーカスしたソロス自身の考え方が独特で面白いため興味があるならぜひとも一読をおすすめしたい一冊。また現代米国市場並びに米国オプション市場を考えるうえでも大変有用な一冊でもある。ソロスファンに限らず米国株でトレーディングしているならぜひとも読んでおきたい
『まぐれ』ナシーム・ニコラス・タレブ
対象者:ハイレバトレーダー、(自称)上級者
レベル:中級者~上級者
用途:勝ち続けて調子乗ってきた自分にぶつける冷や水
コメント:お前の勝ち、ただの運かもな?って突きつけてくる本。勝ちが続いている最中に読むと、メンタルを破壊してくる危険物。しかし絶対に読んだほうがいい一冊であることは間違いない。勝ってるときにこそ読むべき逆張り書と呼べる本。ある程度メンタルが落ち着いてるときに読むべき
『マーケットの魔術師』ジャック・D・シュワッガー
対象者:全てのトレーダー
レベル:中級者~上級者
用途:伸び悩んだときに開く本
コメント:時代を超えて愛される圧倒的名著。様々なマーケットのトレーダーへのインタビューを通して普遍的なトレーダーの心理やマーケットで勝ち続ける方法論を浮き彫りにした本。絶対に読むべき一冊。
『トレーダーの精神分析』ブレット・N・スティーンバーガー
対象者:全てのトレーダー
レベル:初心者〜上級者
用途:伸び悩んだときに読む本
コメント:初心者にぜひともおすすめしたい一冊。トレードとは才能ではなく、徹底したトレーニングとメンタルコントロールの賜物だと教えてくれる一冊
『オプションボラリティティ売買入門』シェルダン・ネイテンバーグ
対象者:全てのトレーダー
レベル:初心者
用途:オプション理論を中級まで勉強する本
コメント:オプション理論中級までを解説してる本。やや理論寄りで実務的ではない。あと文面が堅い。上記の日経平均オプション入門と一緒に合わせて読むと理解が深まる。この本の内容を完璧に理解してようやくオプション理論の中級といったところである。これ以上のオプション理論書は日本語でてておらず、自分で英語の文献をあたるか洋書を読むことになる。とはいえこの本を理解していれば普通の裁量トレーダーにおいては理論に困ることはあまりない(あくまで中級なので深く入ると困ること自体は結構ある)
『ヘッジファンドのアクティブ投資戦略: 効率的に非効率な市場』ラッセ・ヘジェペデルセン』
対象者:需給分析する人、裁定取引がしたい人
レベル:初心者
用途:需給分析、HFの戦略をパクりたいとき
コメント:実際のヘッジファンドがどのような戦略を取っているのか?という側面にフォーカスした変わり種の本。お値段もなかなか高い。一般的なバリュー投資からクオンツやグローバルマクロ、転換社債のアービトラージ、イベントドリブンまで解説されてる。一見個人投資家には役に立たないようには見えるが現在の米国市場は魑魅魍魎が跋扈するカオスな空間なのでこの本の知識はフロー解析ツールなどと合わせると大変重宝する。特に需給分析する際に大変有用。フロートレーダー向けのイチオシの一冊。
Tier2
ここより先は著者本人が読み終わってないけどこれ面白いと思ったもの、殿堂入りするレベルではないがおすすめの本。更に独学で深堀りしたいという方へのおすすめという本の一覧です。あくまで仮のラインナップなので仔細な解説は省きます。
『ブラック・スワン』
『反脆弱性』
対象者:全てのトレーダー
レベル:全てのトレーダー
用途:リスクについて考えたいとき
タレブの大名著。今や常識となったブラックスワンはここから。反脆弱性はブラックスワンの実践的立ち位置。反脆い(アンチフラジャイル)という概念についての本。
『ウォール街のモメンタムウォーカー』
対象者:モメンタムトレーダー、オプショントレーダー
レベル:中級以降
用途:モメンタム追求用
学術的的に書かれたモメンタムの本。内容はインデックス投資しつつモメンタムを追いかけるというもの。
『高速取引』
対象者:HFTを知りたい人向け
レベル:初心者
用途:マーケット構造を知りたいとき
HFTとはなにか書かれている一冊。新書なので大して厚みもなく1時間ほどでサクッと読める。上述の日経平均トレーディング入門のほうが詳しいので持ってる人は無理に読まなくても良いです。
『イベントドリブントレード入門』
対象者:イベントドリブン、オプショントレーダー
レベル:中級以降
用途:イベンドドリブン入門
イベントドリブン入門書。大体織り込まれてるのであまり役に立たないが考え方の基礎にどうぞ
『行動経済学入門』
対象者:全てのトレーダー
レベル:全てのトレーダー
用途:マーケット心理分析
初心者の頃いわゆる握力を鍛えるうえで非常に役に立った本。メンタルアカウンティングやプロスペクト理論などなど有名な効果を一通り網羅してあります。とりあえず初心者はこれ1冊目を通しておくだけでも違うはず。上級者は無理に読まなくても可
対象者:全てのトレーダー
レベル:全てのトレーダー
用途:マーケットにおける行動分析
ゲーム理論の基礎。ゴリゴリ数式を使うわけではないがやや読みにくい。しかしマーケットにおけるマーケットメイカーやCTAの強制行動はそのままゲーム理論に落とし込めるので知っておくに越したことなし。
『アノマリー投資』
対象者:全てのトレーダー
レベル:中級者以後
用途:アノマリー分析
非常に緻密にマーケットの歴史を分析し統計的にアノマリーを扱った本。アノマリーと書いてありますがとにかく歴史的な部分に割いてあるのでアノマリー以外の部分でも勉強になります。
対象者:全てのトレーダー
レベル:全てのトレーダー
用途:メンタル面を深堀りしたいとき
トレードにおける心構えとかルールとか、マーケットの魔術師と被る部分も多いので無理に読まなくて良し。個人的にはわりと好き。
まとめ
マーケットに絶対はなく、本もただの道具にすぎません。
大事なのは、どんな本を読んだかではなく、どう戦い、何を考え、どう検証し続けたか。結局のところ、きちんとPDCAを回すことがすべてだと思っています。このリストが、皆さんがマーケットで装備を整える手助けになればと思います。
今後も定期的に更新していきますので、ブックマークやフォローをしておいていただけると嬉しいです。
――我々はただ1つのことを念頭において本書を執筆した。それは、読者が錆びたナイフ1つで銃撃戦に参加しないようにすることである。(オリバーベレス/グレッグカプラ著『デイトレード』より引用)



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