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前回の失敗でひとつ賢くなったので、次の履歴書にはオウムへ出家とは書かないことにしました。


オウムには厳しい戒律があり、嘘をついてはいけないのですが、もう関係ないので嘘を書くことにしましたよ。


面接では適当に話をあわせ、どうにか採用となりました。



最初はアルバイトですが、「半年頑張れば社員になれるから。」というどこかで聞いたようなセリフにちょっと嫌な感じがしましたね。


まあ、他人の評価はどうだか分からんけど、自分なりには頑張りましたね。


そして、半年が過ぎた頃、上司から「本社へ行ってくれ、取締役が話があるから。」と言われました。



なんだかデジャブのような気がしたけど、履歴書にはちゃんと嘘を書いておいたしオウムだとはばれてないよな、と思いつつ取締役に会ってみると。


いきなり、「君、明日から出てこなくていいから。」と言われました。


「は?」って感じでしたね。



「どういうことですか?」と尋ねると、


「警視庁から君の身分照会があった。地下鉄サリン事件で捜査しているそうだ。」


という答え。



ん?どういうことだ?と思って状況が把握できませんでしたね。


地下鉄サリン事件で捜査しているのなら情報が欲しいはずだから、僕に聞きに来ればいいはずなんだけど、なんで僕のところに来ずに会社にだけ来ているんだ?


そもそも身分照会って何だ?


僕は一連の事件には全く関係がないのに何で警察がやってくるんだ?



とまあ、色々考えたけど、途中で考えるのが面倒くさくなってきましたね。


何のために警察が嫌がらせをやっているのかは意味不明だけど、会社としては警視庁から「お前の会社は地下鉄サリン事件の犯人をかくまいやがって。」と言われたような衝撃があったのだと思う。


まあ、しょうがないかなって感じです。

まあ、なんというか、話が飛んでいるというか、説明が足りないというかのご意見をいただきましたので、補足説明を。


僕が自分で経験したことはそのまま書けるのですが、幹部達の供述についてはかなり端折っています。


で、ご意見に対する答えは全て幹部達の供述によるものです。



どうやってボツリヌスで人体に害を与えるのかということについては、3台のトラックを噴霧車に改造してエアロゾル化したということです。


ガスの様にして噴霧して、人間が呼吸することにより体内に取り込むことになります。


この噴霧車を使い、米軍基地2ヶ所、成田空港、国会議事堂、皇居、創価学会の本部での散布を行っています。



その後も研究は続き、村井と新見が今度はエアロゾルではなく水に混ぜる方法を実行しています。


川に流しているところを見つかり逮捕されましたが、これも事件にはなっていません。



村井はすでに死亡し遠藤は黙秘したままなので他の幹部からの供述しかありませんが、92年を除きボツリヌスを含む生物兵器の研究が続いていたことが確認されています。



サリンと違って事件になっていないので情報が手に入りにくいですが、やはり事実はきちんと知っておくべきだと思います。

94年9月にオウムを離れて最初にやったのは、やはり就職活動でしたね。


出家していると、とりあえずは最低限の住居と食事は保障されていますが、現世に帰るとそれがなくなりますから。



就職情報誌を買って、履歴書を書いているときにふと手が止まりました。


出家していた間はどうしようか?


しばらく考えて、嘘を書くのはよくないからという理由で、そのまんま「オウム真理教に出家」と書きました。



まあ、あの頃は今とは違って随分のんびりした時代でしたから。


面接に行くと、「ほお、出家ですか。若いのにたいしたもんだ。」


とか言われて、まあ、アルバイトなのでとりあえず採用になりました。



「半年頑張ってもらえれば社員になれるから。」ということだったので、自分なりに頑張ってはみましたが、半年後に地下鉄サリン事件が起きてしまいました。


当然のことながら、社員になったらどうだという話はあるはずもなし。



しばらくすると、新人がひとり増えました。


シフト上は必要のない人員のはずだったのですが、それから1ヶ月ほどしてその新人が仕事に慣れてきたころ、上司から「本社へ行ってくれ、取締役が話があるそうだから。」といわれました。


本社へ行ってみると、いきなり「君には今月いっぱいで辞めてもらうから。」と切り出されました。


どういうことですかと一応聞いてみると、「うちも人が余っているからねえ。」という答え。



まあ、当然かなと思いましたね。


正直に履歴書を書いたし、事件当時は「オウムはサリンなんて撒いてないですよ。」とか、「オウムがサリンで攻撃されているんですよ。」とか言ってオウムを擁護してましたから。


これは僕だけでなく、元オウムはみんな同じような状況だったのではないかと思います。



というわけで、再び就職活動をしなければならなくなりました。

90年にオウムが上九に進出し、最初の生物化学兵器の研究・開発を行ったのがボツリヌス菌である。


全てはボツリヌスから始まったのだ。



教団の末期になってテロを起こしたのではなく、90年からずっとテロを起こし続けて失敗し続けていただけである。


サリン散布にしても合計で5回行われており、そのうちの2回だけが成功したということなのだ。


石垣島セミナーのときに、オウムは本気でテロを起こすつもりでいた。


事件にならなかったのは、それが失敗したという理由からだけである。



これは水鉄砲のたとえがまさにピッタリくる。


殺意をもって水鉄砲を人に向けて撃ったとしても、人を殺すことは出来ない。


しかし、殺意はあった。


90年からずっと、オウムはまさにこれだったのだ。



90年から教団の崩壊まで、オウムは繰り返し様々な生物化学兵器の研究・開発を続けてきた。


幹部達はそれを知っており、末端のサマナや信徒たちを騙し続けてきたのだ。


全ては麻原の救済計画を実行するためにである。



教団の末期になって麻原はオウムを潰そうとしたのではない。


麻原は初めから教団を潰すつもりだったのだ。



石垣島セミナーのときにどれだけ本気だったのかは、地下鉄サリン事件と比較してみればよく分かる。


地下鉄サリン事件のときは、動くに動けなかった状況にはあったといえるが、誰にもどこにも避難しろとは指示が出ていない。


なぜなら、サマナも信徒も安全だと判断したからだろうと思う。



ボツリヌスの毒性はサリンの1万倍である。


しかも、地下鉄サリン事件のときのサリンの純度は35%しかない。


つまり、石垣島セミナーのときのボツリヌスの散布計画は、地下鉄サリン事件の少なくとも3万倍の被害を想定していたことになる。


オウムは本気で東京を廃墟にするつもりだったのだ。



オウムが手に入れたと思っていた強力な兵器。


しかしそれは、水鉄砲だったのである。



オースチン彗星に関する説法はやたらと予言のことばかりがクローズアップされているが、その説法で麻原はこう言っている。


「一つだけ言っておこう。君たちの知らないオウム真理教の部分があるということだ。それは君たちがちゃんとこのように修行できるために、その人たちは、日夜、どのようにしたら君たちが本当に修行ができるか、あるいは、多くの魂が修行できるかということを考えている一群があるということだ。そして、その人たちはヴァジラヤーナの道を歩かなきゃなんない。」


どうやら僕はこの一群に選ばれてしまったようなのだ。


もし僕が94年9月に教団を離れることがなかったなら、遠藤や中川、広瀬たちと同じ運命をたどっていたのかもしれない。



麻原はここではっきりとヴァジラヤーナという言葉を使っている。


教団は末期になってヴァジラヤーナになったのではない、少なくとも90年の春にはすでにヴァジラヤーナだったのだ。



教団が支部活動に力を入れたのは生物化学兵器を作り出せる優秀な人材を確保し、金を集めるため。


そして、それを手伝う労働力を供給するためだったのだ。




すべては90年の春、ボツリヌスの培養から始まった。


このことを知っておかなければ、オウムの教義を、なぜ事件が起きたのかを正しく理解することは出来ない。

僕がワークを外された後は、生活班の災難、富士宮異臭事件へと続いていくのだが、直接タッチはしていない。


身に憶えのあるサマナもいれば、あのときのあれがそうかと思うサマナもいるだろう。



僕はといえばしばらく電話番をしていた。


上九の出入り口に近いところにコンテナを置き、そこへ電話線を引き込んでようやく電話が繋がるようになったのだった。



だからといってどこからも電話がかかってくるはずもなく、暇な時間が過ぎていった。


サマナ生活であれほどのんびりしたことはなかったのではないかと思う。



そうこうするうちにようやく電話がかかってきた。


出てみるとそれは麻原だった。


村井から報告が行ったのだろう。



「Rか?」と聞かれたので、「はい。」と答えると、麻原は「だめやないかあ。」と言って笑っていた。


こちらとしては仕方なく「はい。」と答えると、「じゃあ、頑張れよ。」と言って電話は切れた。



これが麻原の持つ魅力というか、魔力なのだと思う。


世間の人たちは何故オウムのサマナたちが麻原の言うことを聞いてしまったのか不思議に思うことだろう。


しかし、サマナにしてみれば、こんな対応をされたら頑張るしかなくなってしまうのだ。