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いつもの径行とは違うルートを通って山道を行く。


距離は5kmぐらいだろうか。


岐部の「声出せ。声を~。」を聞いて、いやいやながら掛け声を出す。

はからずも、まさに「富士山麓にオウム鳴く。」になってしまっていた。(笑)



しかし、まあ、田舎だもんだから車が通らないねえ。


と思っていたら、後ろのほうから「わーわー。」とはしゃぐような声が聞こえてきた。

その騒ぎ声がだんだん近づいてくるので、なんだろうと思ってチラっと後ろを見ると、若者たちが箱乗りしているように見えた。


なんだあ?昼真っから暴走族かあ?

と思っていたら、後ろから追い抜いていったのはジープだった。


しかも、車体の前側には機関銃が乗っている。


って、自衛隊かよ!



そう言えば、近くに自衛隊の演習場があったはずだが、それにしても何なんだ、こいつらの馬鹿騒ぎは。

この時は、正直本気で日本の将来が心配になったものだ。



ロードワークから戻ったら、しばらくは自由時間。


3階のシールドルームの空いている部屋をどれでも好きなように使ってくれということだった。


シャワーもいつでも好きなときに使える。



結構のんきなものだ。

荷物を部屋に運び込んで、毛布を1枚調達。


午後からの武術訓練に備えて、横になって休む。

警備班の拠点はビクトリー棟。


生卵とプロテイン饅頭が箱のまま置かれており、警備班のサマナは食べ放題だということだった。


この頃、お供物はだんだん量が少なくなってきていたので、豪勢なものだ。



そういえば、警備班のサマナ達は上半身は半袖のシャツ1枚という姿だったが、腕の筋肉がもりもりしていた。


しかし、春先とはいえ標高の高い場所にある上九だ、寒くないのだろうかとも思った。


さらに驚いたのは、ドアも窓も開けっぱなしだったことだ。



おいおい、大丈夫なのか?


毒ガス攻撃されているんじゃなかったのかよ、とは聞くまい。(笑)



警備班の責任者は新見だったのだが、普段は麻原と行動を共にすることが多いので、実質的なリーダーは岐部だった。


デザインの専門家が警備なんかやらされて、一体何をしでかしたんだよと思ったが、これも聞くまい。



岐部というのはかなりクセの強い男である。


村井のナチュラルな超人という感じと違って、一生懸命自分に鞭打って頑張っている感じが痛々しいと思うのは、僕だけだろうか?


まあ、本人は、頑張っている自分が好きなタイプなのかもしれないが。



とりあえず、全員で丸く輪になって準備運動。


その後、突きや蹴りの稽古。


ひとりずつ順番に10まで数え、それ以外は「セイ!」とか「セイヤ!」とか、まあ、割合自由に掛け声をかける。



それが終わったら、次は腕立てやスクワットなどの筋トレ。


そこから、富士山麓へのロードワークへと続く。

第六サティアンに到着。


とりあえずアンプルを遠藤と中川に渡す。


ふたりは無言で顔を見合わせていたが、当然それが何なのかは知っているのだろう。


まあ、隣は何をする人ぞ、だ。



続いて麻原に帰国の挨拶と報告に行く。


第六サティアンの出入り口は道路側には無い。


反対側の向かって右端にサマナ用の出入り口があるが、そこからは麻原の住まいには行けない構造になっている。



左側の端の麻原と家族用の出入り口から中へ入る。


1階が麻原と家族用のスペースだ。


麻原は無事に任務が終了したことにご機嫌だった。


そして、「これからはこういう事が必要になるんだよ。」と言っていた。


まったくいつもの事だけど、麻原の言うことには具体性がない。


「こういう事」とは、一体何のことなのやら。


何でも好きなもの食べていいってことじゃないよね。(笑)



問題はこの後。


オウムは今後ますますヴァジラヤーナの活動を推進していく事になるが、そのことに依存はないなという確認と、自分の意思でヴァジラヤーナの活動を行いますという宣誓をさせられた。


ということで、麻原がその次に言い出したのは、こんな事だった。



これからのヴァジラヤーナの活動に向けて、軍事訓練を参考にして警備のワークについて鍛えておけという話だった。


元の部署(僕の場合は支部活動なのだが)に戻りたい者は、一応希望を出すことは出来るが、戻れる保証ははないとのこと。



さあ、大変な事になってきたなあ、と思って憂鬱な気分になった。

泣くほどのこともあるまいとは思うのだが、よっぽど脅されていたのかもしれない。


たしかに、おやっさんを怒らせると怖いからなあ。


まあ、端本の真面目さがこんなところにも表れているのだろうと思う。



何はともあれ、謎の機械と謎のアンプルは、ロシア軍施設から日本国内へ持ち込まれてしまった。


もしかしたら、日常的に世界中のあらゆるものが日本に持ち込まれているのかもしれない。


しかし、それを防ぐ方法は見つかっていないのだろう。



さて、迎えのバスに乗り、上九へと向かう。


一仕事終えた後で、皆のんびりと談笑していた。


雪が降るようなロシアとは違って日本はすでに暖かくなり始めており、窓から入り込んでくる風が心地よい。



その時、少し離れた上空をヘリコプターが飛んでいた。


何気な~く、そのヘリコプターを眺めていると、突然ヴァンギーサが大声を出した。


「窓を閉めろ!」


「毒ガス攻撃だ!」



はい?


何の話だ、まったく。


と思っていたら、Vが「あんなに遠くなんだから、関係ないでしょう。」


と反論をした。



これは当然だと思う。


あの距離から毒ガスを撒いたとしたら、我々に届く前に一般市民が巻き添えを食って死んでしまう。



が、しかし、ヴァンギーサは素早くこれに応えた。


「それは無知だよ。」


まあ、偉い幹部の方がそう仰っているのだから、従うより他にない。



渋々窓を閉めながら、正直、大丈夫かなと思った。


今、一体、上九で何が起きているのだろうという思いとともに、もしかしたらオウムはもう終わりなのかもしれないなという思いが湧き上がってきた。

成田空港到着。


ここでも、もはや当たり前の様に止められてしまう。


行きはよいよい、帰りは怖いとはよく言ったものだ。



それぞれ数人ずつ分かれているにも関わらず、そのグループごとに一塊になってゲートの前で待たされている。


まあ、しょうがないかもしれない。


明らかに怪しい連中だから。



例の怪しい機械も分解されてただの部品になってしまっているのだが、ボディーチェックをされるというようなことはない。


インドツアーのときは、搭乗前にボディーチェックがあり直接触られたが、入国の場合はそこまでする根拠がないのだろう。


ボディーチェックされたら、スーツのポケットに入っているアンプルは簡単に見つかるのではないかと思ったが、全員スルー。



しばらく待たされた後、責任者なのかどうかは分からないが、それらしき男性職員がやって来た。


で、その時に、こんな事を言った。


「皆さんが同じ団体の方たちであることは分かっています。」


「だからといって、あなた方をここに留めておく権限は、我々にはない。」


そんな内容だったと思う。



この時、ロシアツアー参加者の全員が、ほっと胸をなでおろしたのだろうと思う。


一礼してゲートへと向かう。


他の連中もそれぞれゲートへと向かっていた。



歩いたのは20メートルぐらいの距離だったと思う。


しばらく待たされたものだから、オウム以外は誰も歩いていない。


ああ、これで終わったんだなと思いながら、横を見ると5メートルぐらい離れたところを端本が歩いていた。


最初はやや緊張したような面持ちだったのが、ゲートが近づくにつれてなんだかうるうるしてきていた。(笑)



ゲートの手前で、小さく「やった。やった」と呟いている。


そしてそれが、外へ出た途端、はっきりとした「やった。やったあ。」という声に変わる。


もう涙ぐんでしまっている端本に向かって歩きながら「やったなあ、おい。」


と声をかける。


「やった、やった。」といいながら駆け寄ってくる端本をがっちり受け止めて、男ふたりで熱き抱擁。(笑)


もはやスポコンドラマのようになってしまっていた。