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地下鉄サリン事件の被害者の尿からエタノールが検出された理由について、中川はサリン生成時に使用したDEA中にエタノールが混入していた可能性があると答えている。

 

DEAはアニリンとエタノールを高温加圧下で反応させて得られる。

教団に納品されたDEAは、教団が何十トンか業者に特注し、業者が特別に合成したものだった。

200Lのドラム缶に充填されており、実験室で使用するような純度ではなかった。

このドラム缶の上部から少量の内容物を抜き取り、サリンが合成された。

エタノールの方がDEAより比重が小さいため、ドラム缶の上部には不純物であるエタノールが比較的多く含まれていた可能性が高い。

 

 

やっぱり中川は凄い。

 

いわゆる専門家と言われる人たちの意見に対して、これ以上ないほど完璧な答えを出してきた。

 

しかも、十分な資料が手元にないと思われる、拘置所の中からだ。

 

 

それにしても、面白いものだ。

 

こういったものを実際に作るとなると、教科書通りにはいかないものだなと思う。

 

 

これが土谷が行ったような実験室レベルなら、合成されたDEAは上からではなく下から抜き取られるのではないかと思う。

 

合成後に一定時間放置した後で、どのくらいの残量になるまで抜き取ると、純度100%に近いDEAが全体の何%取れる。

 

こういった事がマニュアル化されているのだろう。

サリンの原料や副生成物、さらにその分解物の中にはエタノールはない。

 

しかし、タブンの製造においてはエタノールが使われている。

 

そして、タブンが分解され無毒化する過程で、エタノールが生成される。

 

タブンは検出されていないがエタノールは検出されている。

 

なので、「多分、それはタブン。」としか言いようのない話である。(笑)

 

 

1994年4月、土谷はソマン、タブン、シクロサリン各20gの合成に成功している。

 

しかし、これらは事件に使用されていないため、警察は詳しい内容を調書に残していない。

 

したがって、土谷がどうやってタブンを合成したのかは分からない。

 

警察もまた、地下鉄サリン事件において、タブンは使用されていないという見解だということになる。

 

まあ、ここでも土谷の手記が読みたいなあという話になる。

 

 

タブンは、塩化ホスホリルを出発物質として、エタノールや三塩化リンなどを加える4段階の反応を経て合成される。

 

ただ、出発物質の塩化ホスホリルが、三塩化リンと酸素を反応させて生成されているので、結局サリンと同じ5段階の反応と考えていいと思う。

 

 

ここで使われている塩化ホスホリルは、タブンだけでなくサリンやエチルサリンの製造にも用いられているものである。

 

エタノール、三塩化リンと順次反応させていくとその生成物は、DCとほとんど構造が同じで、メチル基がエチル基に置き換わっただけである。

 

これはDCがメタノールを使っているのに対して、タブンがエタノールを使っているという違いによるものである。

 

したがって、被害者の尿からメタノールが検出されれば、使用された毒ガスはサリン。

 

被害者の尿からエタノールが検出されれば、使用された毒ガスはタブン。

 

そう考えることが出来る。

 

 

で、土谷がどのようにしてタブンの合成に成功したのかということについて、僕の推測を書いておこう。

 

まあ、実際にはどうだったのかは、土谷に聞いてもらうしかないのだが。(笑)

 

 

第1段階

三塩化リンとエタノールを反応させる。

ここで酸が発生するので、中和するためにジエチルアニリンを使う。

 

第2段階

ヨウ素を触媒として、酸素の二重結合を作る。

 

第3段階

5塩化リンを使って、エチル基を塩素に置き換える。

 

第4段階と第5段階は、一般的な方法と同じである。

 

ということになる。

質問2

地下鉄サリン事件でサリンに加えてタブンが使われたのではないか?

 

 

中川は地下鉄サリン事件において、サリンの他にタブンやエチルサリンが使われたのではないかという疑問に答えているのだが、その答えが凄い。

 

何と言えばいいのだろうか、本だけ読んで知識を増やしているだけの学者と、実際に殺人ガスを作ってしまった者との決定的な差のようなものを感じる。

 

まるで仏教学者と修行者のようなものという気がするが、その両者には、圧倒的な能力の違いがある。

 

もちろん、仏教学者はただの素人なのだが、中川のこの質問に対する答えだけでも、到底立ち読みで済ませるレベルではなく、買って帰ってじっくり読み、自分でも調べてみる必要がある。

 

 

サリンだけでなくタブンが使われたのではないかと考えられている理由は、タブンが検出されたからというわけではない。

 

サリンは検出され、タブンは検出されていないのだが、ただ、被害者の尿からエタノールが検出されているという事である。

 

 

中川はこの疑問に対して、自分は実行犯との接点がまったくなかったので、と前置きしてから自分の考えを述べている。

 

まあ、いかにも中川らしい謙虚な考え方だが、当然と言えば当然かもしれない。

 

 

中川の関与なしに、オウム内の他の部署で毒ガスを製造することは、絶対にないと言ってもいいと思うが、オウムの外にいる一般人にとっては絶対とは言い切れないと感じるだろう。

 

もうひとつの可能性は、外部からの調達である。

 

例えばロシアから買うといったような事であるのだが、実際にはオウムは何でも手作りである。

 

したがって、外部から調達することは、これも絶対にないと言ってもいいと思うが、一般人にとっては同じく絶対とは言い切れないと感じるだろう。

 

まあ、いずれにせよ、絶対とは言い切れないに、何の根拠もないんだろうけど。(笑)

後半は中川が質問に答える形式になっている。

 

質問は全部で五つ。

 

 

質問1

地下鉄サリン事件の原料DFを保管していたのは誰か?

 

中川と井上の供述が異なる場合、教団内である程度の地位にいた者達の選択肢は、中川を信じるか井上を疑うか、どちらかしかない。(笑)

 

井上を信じるのは、末端のサマナか信徒、ようするに素人さんだけだろう。

 

 

中川は逮捕拘留されているために外の様子は分からない。

 

井上がDFと一緒にVXを持っていたために、VX事件の発覚を恐れて自分が持っていたことにしたというのは話に矛盾が無い。

 

井上がDFを持っていたと正直に話せば、オウムがVXを持っていたことが明らかになってしまうが、中川が自分でDFを持っていたことにすればVXの存在を隠すことが出来る。

 

まあ、結果的にこの行為は無意味だったのだが。

 

 

それにしても、ここで弁護士は鋭い指摘をしている。

 

それまでDCとDFを反応させてサリンを製造していたのに、DCを処分してDFだけをサリン製造のために残すのは不自然である。

 

 

この弁護士は、相当化学の勉強をしたのではないだろうか。

 

あの当時、松本サリン事件と地下鉄サリン事件ではサリンの製造方法が違うという事を正確に理解していた者は数が少なかったのではないかと思うが、その努力には頭が下がる。