今になって、「当時ならどうしたかのか?」という質問は、まさに仮定の話には答えられないという事になりそうだ。
なので、とりあえず先に、答えられる質問について考えてみよう。
その質問とは、「今、サリンを撒けと言われたら、どうするのか?」というものである。
これなら、現時点における質問なので、しっかり答えることが出来るはずである。
しかし、残念ながらこの質問もまた、仮定の話になってしまっている。
なぜなら、今の麻原には指示を出せる能力がないからである。
絶対に起こりえないことを前提とした質問は無意味である。
麻原が指示を出すことが出来ないだけでなく、そもそもオウムには、というよりも日本にはサリンが存在していないはずである。
指示も出ない、存在もしていない、そんなものをどうやって撒くというのだろうか。
完全な妄想、空想の世界の出来事であるはずなのに、恐怖という感情があたかもそれがあるかのように錯覚させてしまうのだろう。
なのだが、ここで実際に起こる可能性のある事が、実はあるにはあるのである。(笑)
それは、末端の信者に向かって、上の者が、麻原の指示だと言ってやらせようとする場合である。
その可能性は否定出来ない。
元々オウムには、魔境と呼ばれる連中が多数存在していた。
ケロヨンクラブがまさにそれで、こういったオウム分派と呼ばれる集団は、最初からオウムといえるものではない。
麻原は、それが魔境であろうとなんであろうと、布施をする・入信をさせる、そういったとにかく教団に対して役に立つなら、それを利用するという方針でいた。
まじめな修行者から見れば、そんな連中と一緒にされることは、甚だ迷惑でしかない。
ついでに書いておこう。
元・現役を問わず、オウム信者に「サリンを撒けと言われたら、どうしますか?」と聞くことにはほとんど意味がない。
なぜなら、それは答えを見てから試験を受けるようなものだからだ。
末端の信者にとっては、幹部たちの行動はそれこそ模範解答と言っていい。
それは当然、いい点数を取ろうとする事になる。
これは質問の仕方が間違っているためにそうなるのであり、正しい質問をする必要がある。
なぜなら、上祐正大師や野田正悟師のような大物、つまりメディアで最高幹部と言われるような者達は教団がサリンを製造していることを知っていたが、普通のサマナ達はそんな事は知るはずもなかったからである。
あの当時のサマナ達は、教団がサリンを製造していることを知らない、教団が松本サリン事件を起こしたことを知らない、教団が坂本弁護士事件を起こしたことを知らない。
その他にも知らない事がたくさんある。
その状況で、サリンを撒けと言われたらどうしたか?と聞くのでなければ意味がないのだ。
しかし、実際にはもうすでにその事を知ってしまっているのであり、何も知らない状況を再現することは不可能である。
したがって、質問に対する正確な答えを期待することは出来ない。


