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菅井が羽生を倒して王位を奪取した時、新戦法を連発したらしい。

 

まだ誰も見たことがない戦法に羽生は対応できずに、ずるずると連敗してしまった。

 

そこ結果は、菅井の4勝1敗。

 

圧勝だった。

 

 

この話を聞いたときに、ふと、大山名人の事を思い出した。

 

大山名人が中原に名人の座を奪われ、50歳を既に過ぎていた頃の話だ。

 

 

その当時、佐藤大五郎という名のA級棋士がいた。

 

薪割流と呼ばれる、豪快な気風で人気だった。

 

 

その佐藤大五郎も菅井と同じ事を考えた。

 

何か月もかけて新戦法を生みだし、必勝パターンを作り上げた。

 

その新戦法を他の棋士に使えば、10や20の勝ち星は楽に稼げる。

 

しかし、そんな事よりも、何よりも大山に勝ちたかった。

 

 

大山にとってはぶっつけ本番、まだ誰も見たことがない戦法が思惑通りに手順が進んでいた。

 

10数手進んだところ、あと数手で必勝態勢が整う。

 

その態勢が整えば、誰が相手でも、それが大山であっても勝てる。

 

そう佐藤が思っていた時、大山が何気なく、歩をひとつ突いた。

 

 

他の棋士が見れば、誰の目にも、ただの平凡な手にしか見えない。

 

だが、佐藤には、その手の意味が痛いほどよく分かっていた。

 

たった一つの歩。

 

その歩が邪魔になり、佐藤が何か月もかけて作り上げた、新戦法の攻撃を全て防いでいた。

 

 

大山名人はその戦法を知らないはずである。

 

にもかかわらず、初顔合わせで未然に防いでしまった。

 

これぞ大山将棋の真骨頂、攻められる前に、先回りして受ける。

 

そして、痺れるほどの名言を残している。

 

「平凡は、妙手に勝る。」

 

 

普通の人達はどう感じているのか分からないが、羽生の将棋は理屈が分かる。

 

ああ、なるほどなと思う。

 

しかし、大山将棋は底が知れない。

 

どうしたら、あんな将棋が指せるのやら、見当がつかない。