あの日、青山の東京総本部道場の前は大勢の人でごった返していた。
入口の前に立つ大勢のサマナ達。
少し離れて周りを取り囲むようにさらに多くの報道陣がいた。
その中でテレビカメラは不審な動きをする男の姿を捉えていた。
村井の発言により、オウムがサリンを製造している事が間違いないものとなってしまった、その数日後に本部道場の前に現れた不審な男。
一目見て堅気の人間ではない。
もしかしたらテレビは、何かが起こる事を期待していたのかもしれない。
豊田商事の時のように。
当時を知らない人には信じられないだろう。
この時の様子はリアルタイムで放送され続けたのだ。
テレビ画面を見ながら、なんだか嫌な予感がした。
そこへ村井がやって来た。
それはもちろん、麻原にそう指示されたからである。
村井はもうテレビ出演をしなくなっており、東京にいる必要はなくなっていたのだから。