「係長の仕事でしょ」部下からも圧迫…自死 遺族側の訴え認める判決
福岡県直方市職員だった男性(当時44)が2015年に自死したのは、職場でのいじめや非協力的な言動が原因だったとして、妻(58)が「公務外災害」の認定取り消しを求めた訴訟の判決が5日、福岡地裁であった。中辻雄一朗裁判長は「業務の質的過重性は強度だった」として、認定を取り消す判決を言い渡した。
被告の地方公務員災害補償基金は「判決の内容を精査し、今後の対応について検討して参りたい」としている。
判決によると、男性は15年6月、これまで未経験だった課の係長に異動し、9月末ごろにはうつ病を発症。翌月に自殺した。
原告側は、自死は公務に起因したものだとして翌年、民間の「労災」にあたる「公務災害」を申請。だが地方公務員災害補償基金の県支部は「公務外」とした。
判決は、男性が業務に必要な知識や経験のある部下や上司から協力が得られず、部下の係員から「それは係長の仕事でしょう」「今ですか」などと反抗的で突き放すような態度を取られ、上司の課長からも人前で「お前はそんなこともわからないのか」「係長も勉強が必要だ」などと言われた点などに着目。部下と上司の両方から「パワーハラスメントに完全には該当しないまでも不適切と認められる言動や精神的圧迫を受けた」と認めた。
3人の部下から距離を置かれ「疎外感・孤立感を深め、強迫観念にかられて資料などを自宅に持ち帰り勉強や作業をせざるを得ないほど精神的に追い詰められていったことが認められる」とも指摘し、うつ病の発症や自殺は公務に起因すると結論づけた。
慣れない部署への異動は妥当?
原告側は、男性が慣れない業…