吾輩はMである

吾輩はMである。名前はフジジ。

札幌道劇ビルの5階にその店、性竜門はある。
その門をくぐると、ごく稀にニャーニャー鳴くオスの姿を見ることがある。あとで聞くと、それはドア開放サービスという、自らの痴情を公開する特殊な遊戯だそうだ。この遊戯を楽しむ者は、普段一般人と何ら変わらない生活をしているという。一般生活とは苦しいもので、その一瞬一瞬において珍坊に血流がたまる感覚に苛まれるが、開放することを許さない。しかし門をくぐった先では、嬢に危害を加えない限り自由を許される。
門をくぐる際、一般という概念は捨てねばならない。これは筆者個人の話になるが、私はその覚悟がなかった。故に嬢から中途半端と吐き捨てられた。屈辱だった。しかしこの屈辱が、残り10分のコールが鳴るのころには、深みを与えるビターな隠し味として効いてきた。だが副作用として事後ずっと頭に靄をかけている。この靄のせいでレビューが遅れた。その点は有限会社歴史の一員として申し訳なく思っている。

話が逸れた。レビューに戻る。
私の相手をした嬢の名はあずさという。29歳。瞳が大きく、高い鼻と厚い唇がバランスよくついている。しかしあずさの最たる特徴は何よりその高身長だろう。事前情報では168cmとあったが、約170cmの私の頭に顎を乗せれそうなほど大きい。実際は180ないし175はあるだろう。そう聞くと高身長女子に虐められたい殿方どもは胸にズキュンとくるものがあるだろう。逆に自分より背の高い女子はちょっと、、、と引く小鹿たちもいるだろうが、安心してほしい。私があずさと初めて会ったとき、彼女は正座していた。その後も基本的に彼女は私より目線の低い位置まで頭を持っていき話してくれた。M性感の女王様にしては意外に思うかもしれないが、あずさは気遣いさんなのだ。というか、そもそも女王様というものは気遣いなしではなりえない職らしい。お店に入り料金を払うとまず問診票というものが渡される。どのようなプレイを求めるかのアンケートである。やってほしいプレイ内容の横にチェックマークを入れるのだが、嬢によってはそもそも選べないものもある。これは何故か。もちろん嬢が「やりたくない」ものもあるが、嬢が「やられたくない」ものもあるらしい。性竜門はM性感ヘルスであり、基本客から嬢へやることはないため、嬢がやられるという表現はおかしくみえる。しかし、これは性竜門という店で徹底していることらしいが、嬢がそのプレイをサービスとして提供するには、逆にそのサービスをいったん受けなければならないらしい。例えば蝋燭プレイを提供する為には、蝋燭を垂らされその痛みと快感を知る必要がある。つまりプロのSになるにはMの気持ちを理解せねばならず、それを踏まえた上での彼女たちの仕事はまさに気遣いの塊といえるだろう。

まだ私が受けたプレイの話をしていなかった。色々とやってもらったが、最も私の心をつかみ、珍坊をスプラッシュさせたのは前立腺マッサージであった。尻穴に指を入れてもらい、直腸越しに前立腺を刺激していただく行為である。聞く人によっては尻穴が縮こまってしまっただろう。筆者である私も、なんだかんだ言ってその恐怖心はあった。しかし筆者の夢の一つに『美人な女性に尻穴を開発されメス堕ちしたい』というものがあるため、M性感ヘルスにきてやらないわけにはいかなかった。
尻穴を開発するようあずさに願った。たぶん、私の声はたどたどしく、震えていたに違いない。あずさは、変態なのねと一言だけ添え、ゴム手袋をはめ、私の臀部にローションを垂らした。余談だが、性竜門のローションは他の風俗と違い水やお湯と混ぜず、そのままを使うらしい。
して、私の尻穴にあずさの指が入る。気持ち悪い感触だ。こちょばしいわけでもなく、熱いわけでもなく、痛いわけでもなく、ただ気持ち悪い。そう、気持ち悪いだけ、痛くないのだ。
痛い以外の感覚には、人間やがて慣れてくる。気持ち悪いは気持ちよいに変わった。それと比例して珍坊にエネルギーがたまる。
人体すべてのエネルギーが珍坊に集まっているのだ。耐えられるはずがない。「爆発しちゃう!!」私は叫んでいた。
叫ぶ私をあざ笑うかのように、あずさの指は止まった。すると珍坊へのエネルギー供給も止まる。「今は耐えられるでしょ」あずさはニヤリと笑った。そして尻穴に指を突っ込んでないほうの手で亀頭を擦った。
こちょばしかった。しかしこれはただのこちょばしいとは違う。あずさの手にはカーゼが握られていた。私の全神経が集中してしまっている珍坊に充てられ、擦れるガーゼに、自然と涙がこぼれ、全身が強張った。のちに聞いた話だが、これで失神する人もいるらしい。
だが、私は気力で精神を保った。もちろん射精も我慢した。私の夢は尻穴でメス堕ちすることだ。ガーゼでだすわけにはいかない。
私は、なんとか絞り出した声で、尻穴をやるよう、あとできるならガーゼをやめるよう、あずさに懇願した。このときのあずさの反応は知らない。そんなの見る余裕はなかった。
再び私の中であずさの指が動き出した。このままだせばいい。しかしギリギリまで我慢する。堪える。人は、あっさり物事を成し遂げても達成感をえれない。困難を乗り越えてこその達成感だ。同じ山を登るにしても、ケーブルカーと徒歩では全く違う。
そう、耐えるのだ、私。頑張れ、私。ギリギリまで耐え、そして果てるのだ。
珍坊は既に臨界点突破、メルトダウン、でも耐えろ。耐えて、耐えて、、、
そうしていると、私の亀頭にガーゼが触れた。そして撫でまわした。
私は叫んだ。泣きわめいた。そして、とんでもない勢いで、珍坊から新たな命の片割れが虚空へと舞った。

終わった。すべて終わった。達成感と虚無感に襲われぐったりした。
しかし、あずさは尻穴から指を抜かなかった。ガーゼも亀頭に触れたままだ。
嫌な予感がした。して、それは的中した。
あずさの指がまた動き出し、ガーゼも亀頭を擦りだした。
私は、目の前に死を感じた。絶叫した。理性が死んだ。足をバタつかせた。やめてとしか言えなかった。
足のバタつきは尻穴に指を突っ込まれている状態でやるのは非常に危険な行為である。自分の直腸を傷つける可能性もあるし、何より嬢にケガを負わせかねない。
あずさは尻穴から指を抜き、ガーゼも亀頭からはなした。

私はその後しばらく動けなかった。考えることもできなかった。たぶん室内にはしばらく静寂が流れていた。
先に口火を切ったのはあずさだった。お疲れ様の一言。それからピロートークが始まった。

以上が私の性竜門での体験である。レビューを書くことは初めてのため、参考になるかわからないが、少なくともここまで付き合ってくれたことに感謝する。

ありがたいありがたい。

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