勝利の女神:NIKKE<名も無き傭兵> 作:100日後に死ぬ傭兵
周りはまさに地獄だった。
炎が燃え盛り、コンクリートや建築物の破片は黒く焦げ、鉄や火薬が焼けた嫌な臭いが充満する地獄。そんな光景がヘルメット越しに見えた。
しかし、そんな事は気にせず、右足のペダルを踏み、自身が乗っている人型兵器《ARMORED CORE》の脚部、背部ブースターを吹かし、直進した。
ACの足元には真っ黒焦げのナニカがゴロゴロと転がっていた。
目の前には100体以上はいるであろう
どうするか。
心の中で呟く。
レーダーを見ても表示されるのは途方もない数の敵反応。味方は既に消えていた。
雇われの身ながら逃げたか。それとも奴らに殺されたのか。おそらくは後者だろう。
ACの右腕にはバトルライフル、左腕にはガトリングガンが装備されていた。
しかし、長い戦闘で弾丸も残り少ない。
それでも、命ある限りは戦う。
それが雇われの猟犬───傭兵だ。
<メインシステム 戦闘モード>
無機質な機械音と共に、両手の重火器を構え、未確認兵器の群れへとブースターを吹かし、特攻した。
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戦闘が終わる。
左腕はウェポンハンガーごと吹き飛んだ。脚部も損壊が酷い。何よりブースターも使えなければ、ジェネレーターが破損したせいで出力が上がらず、身動きが取れない。
戦闘が終わったとはいえ、今も戦場のど真ん中という事に変わりは無い。いつ第2波が押し寄せてくるか分からない状況。少しだけ死という考えが頭をよぎった。
『聞こえますか?聞こえるのなら応答願います』
右斜め上の小さい画面が点滅しながら光り、スピーカーから女性の声が聞こえた。オペレーターだ。
大丈夫だ。機体以外問題ない。
そう返そうとするが、声が出ない。衝撃で体を打った時肺か喉をやったか、それとも疲労からか。
どちらにせよ声が出ないため、機体以外大丈夫だとモールス信号を打った。
『そうですか、無事で何よりです』
そういうと、オペレーターは黙り込む。
どうしたんだとモールス信号を送ると、オペレーターは深呼吸をし、覚悟を決めたように話し始めた。
『……あなたには2つの選択があります。1つはこのままACに乗り、戦場で未確認兵器───呼称《ラプチャー》と戦い続ける。もう1つはコールドスリープでラプチャーとの戦いが安定、または沈静化するまで眠るか。その2択です』
普通なら考え込むか後者を選ぶ選択。
しかし、そのような考えは頭にはなく、1つの理念に従った考えのみが頭にあった。
答えは決まってただ1つ。金になる方だ。
『やはりそうですか……。どれだけ貯めていようと、死んでしまえば無意味なのに……、私には理解し難いです。今の仕事の方が大金を稼げますが、未来的に見ればコールドスリープの方が稼げるかと』
ならばコールドスリープの方がいいだろうが、これまで貯めた
『あなたって人はどこまで行っても……。おそらく、残ってるでしょう。6割程度の確率で』
残りの4割は?
その質問に返された答えは上の奴らに取られているとの事だ。
その答えに少し呆れながらコールドスリープを選んだ。理由は五分ではない。つまり確率が高いからだ。
『……相変わらず、くだらない答えですね。そちらに輸送ヘリを向かわせています。輸送ヘリが着く前に敵に襲われたら……そちらで対応を。それでは』
そういい、オペレーターは問答無用で通信を切る。いつもの塩対応。ここまで来ると安心感すら湧く。
そう心の中で思いながら、背もたれに倒れ、真っ暗なACのコックピットの中、目を瞑った。
とりあえずラプチャーという単語以外メガニケと関係なさそうなAC色9割のプロローグでした。
次回、かなり飛んで急展開です。