闇の王がファミリアに入ってもいいじゃない、『元』人間だもの   作:大豆万歳

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あけましておめでとうございます。今年も本作を宜しくお願いします。






FGO福袋ガチャの結果
ブヒイイイイイ!
私以外のセイバー全員殺す!


第39話

翌朝。

 

グレイ・モナーク

Lv.1

力:H178

耐久:H170

器用:H155

敏捷:H171

魔力:H196

《魔法》

【魔術】【奇跡】【呪術】

《スキル》

呪いの証(ダークリング)】【ソウルの秘術】【残り火】

 

「(まぁ、そうなるよな)『発火』」

 

更新された内容を確認し、右手に『呪術の火』を灯して灰にする。

18階層から地上に帰還しての更新はベルの体調が回復した5日前、そして2度目は『神の宴』から帰ってきた今日。

 

「全く、アポロンめ。よくも抜け抜けと戦争遊戯(ウォーゲーム)なんかっ……」

 

一方でバイトの準備を進めるヘスティア様は、ぶつぶつと悪態をついている。昨夜から機嫌が悪い。

 

「ベル君、グレイ君、気をつけてくれよ。流石に昨日の今日で何かしてくるってことはないと思うけど、アポロン達がこじつけてちょっかいをかけてくるかもしれない」

 

迷宮探索をしていないにもかかわらず【ステイタス】を更新したのも、ベルを奪うために様々な画策をしていた【アポロン・ファミリア】を警戒してのことだ。

 

「何かあったら相手にしようと考えず、直ぐに逃げるんだ。移動するときも1人にならないように、人が大勢いるところを行くんだ」

「わかりました」

「ダンジョンへ潜る時も、暫く命君達と行動をともにした方が良いかもしれない。タケも事情をわかってくれている筈だから、パーティーの申請も受け入れてくれるだろう」

 

他派閥の闇討ちやダンジョン内での犯罪に巻き込まれないよう、ヘスティア様は更に助言を続ける。

 

「ベル君、グレイ君、出るのが一緒なんだ、どうせだから摩天楼施設(バベル)まで3人で行こうぜ?」

「はい、いいですよ」

 

隠し部屋である地下室を出て、階段を上っていく。

 

「……?」

 

礼拝堂であったかもしれない広い室内を歩いている途中、朧気だが、魔力のようなものを感じた。ベルも同じく感じ取ったのか、周囲をキョロキョロ見渡す。

地下室からヘスティア様が出てきたところで、

 

「……(ここで)。……(静かに)。……(待て)」

 

床のタイルを指差し、人差し指を唇にあてる。そして、最後に手のひらを上げる。

ベルとヘスティア様は察したのか、うんうんと頷いた。

『霧の指輪』と『静かに佇む竜印の指輪』を嵌め、姿を消す。

 

「「ッ!?」」

 

そして、ベルとヘスティア様がお互いの口を手で塞ぐ。

扉のない教会玄関口。そこまで来たところで、俺は『遠眼鏡』で周囲を見渡す。

 

「(……なるほど)」

 

俺は『遠眼鏡』をしまい。ベル達の近くで『霧の指輪』と『静かに佇む竜印の指輪』を外す。

 

「【アポロン・ファミリア】に囲まれています。おそらく、裏手にも何名か待ち伏せしているでしょう」

「っ!?」

「以前グレイ君が感じた視線は、やっぱり【アポロン・ファミリア】か。【ヘスティア・ファミリア(ボクら)】の本拠地(ホーム)を見つけるために……っ!」

 

ぎり、と歯軋りをするヘスティア様は拳を握りしめる。

 

「か、神様!どうしましょう!?」

「……グレイ君」

 

しばしの思案の後、ヘスティア様が顔を上げる。

 

「なんでしょう」

「2手に別れて行動して、やつらの戦力を分散させる。ボクはベル君と、ギルドに向かう。その間、グレイ君は囮役をしてほしい」

「っ!?」

 

ヘスティア様の告げた言葉に、ベルが息を呑む。

 

「……言いたくはないけど、ボクとベル君が一緒にいると、グレイ君の足を引っ張るかもしれない」

 

反論しようとしたベルに手をかざして制し、更に続ける。

 

「お願いだ」

「……わかりました」

 

【ファミリア】の規模、人員といった彼我の差を考慮してのヘスティア様の決断に、俺は同意する。ベルも自分の無力さに歯軋りしながら、頷いた。

 

「……行きます」

 

俺が教会玄関口から一歩出て朝日を浴びると、待ち伏せていた冒険者達が武器を構える。

小隊長と思しき襟巻きで口元を覆い隠すエルフ、彼が片手を上げた瞬間──俺は反転し、礼拝堂の奥に駆け込む。

俺が礼拝堂の奥に着くと同時に、大爆発は起こった。

 

 

 

 

魔法と爆薬の結わえられた矢が着弾し、破壊された教会。

それによって立ち込める砂煙を利用して敵を巻き、土地勘を頼りにギルドへ向かうベル。

 

「……神様っ!グレイさんは?」

「大丈夫だ!グレイ君があの程度の敵にやられるような男じゃないことは、君も知っているだろう?」

「そうですけど……」

 

ちら、と。崩れ落ちた教会と、グレイの逃げた方向に目を向ける。

自分の心配は、彼の無事ではなく、敵の生死(・・・・)だとは言えない。

念の為、神様は殺してはいけないと釘を刺していた。

しかし、死んだほうが良いほどに痛めつけられた【アポロン・ファミリア】の団員と、その中心に立つグレイの姿が脳裏を過って止まない。それは、リリと自分が初めて会ったあの日彼が放った凄まじい殺気を知っているからだ。

 

 

 

 

「ディオニュソス様。【ヘスティア・ファミリア】が【アポロン・ファミリア】に襲われているそうです」

 

【ディオニュソス・ファミリア】本拠地(ホーム)

街に出て情報を集めてきたフィルヴィスが、主神の部屋に駆け込む。

 

「ありがとう、フィルヴィス。そうか……やはり、アポロンは動き出したか」

 

報告を受けたディオニュソスは、窓の外から響く派手な音と、煙が立ち込める第七区画に目を向ける。

ディオニュソスとアポロンは天界では所謂ご近所さんであったため、彼のことは熟知していた。そのため、今回の抗争も別段驚きはしない。

 

「わかっているかもしれないが、介入は駄目だ。団長である君が出れば、こちらも巻き込まれるからね」

「……はい」

 

主神の命令に俯いて答えるフィルヴィスだが、彼女の手は小さく震えていた。

極彩色の魔石のモンスター、24階層での冒険者依頼(クエスト)、レフィーヤの並行詠唱の特訓と、グレイとはそれなりに交流がある。故に、彼の危機とあれば助太刀しようと思うわずにはいられなかった。

しかし、それを理由に介入することは立場上許されない。フィルヴィス自身、それを重々承知して今の立場にあるのだから。

 

「……フィルヴィス。私は賑やかなのは好きだが、騒がしいのは嫌いだ。特に、こういった関係のない者(第三者)が巻き添えを食う抗争の類はね」

「ッ!?」

 

ふとディオニュソスの口から漏れた言葉に驚愕し、フィルヴィスは思わず顔を上げる。

 

「すまない、今のは私の独り言だ。気にしないでくれ。ただ……」

 

ちらり、とディオニュソスの目がフィルヴィスを捉える。

 

「どう受け取るかは、君の自由だよ」

 

 

 

 

一方。ベル達とは逆方向に逃げていたグレイ。

 

「ふん!」

「がっ!?」

 

数えるのも嫌になる数の敵。そのうちの1人の攻撃を『パリングダガー』で受け流し、『ショーテル』で斬り伏せる。

屋根の上から弓やら魔法やらを放つ冒険者は真っ先に潰したから幾分か戦うのが楽とは言え、この数は流石に面倒くさい。

 

「(いっそのこと、【残り火】を使うか?……いや、それは余計に事態がややこしくなるから駄目だ。それに、血と脂で武器の斬れ味も落ちてきている。他の武器に変えねば)」

「もら、があっ!?」

 

背後から飛びかかってきた冒険者の攻撃を往なし、右手の武器を『トゲの直剣』に変えて腹部に突き刺す。

 

「ん?」

 

剣を引き抜き、冒険者を横にすると、エンブレムが見えた。だが、それは【アポロン・ファミリア】の太陽と弓矢ではなく、三日月と杯だった。他の【ファミリア】と手を組んでいるのか?

 

「【一掃せよ、破邪の聖杖(いかずち)】【ディオ・テュルソス】!」

 

不意に聞いたことのある詠唱が響いた。俺が咄嗟に屈むと頭上を雷が通り過ぎ、【アポロン・ファミリア】の冒険者を黒焦げにした。

 

「無事か?手を貸そう」

「ありがたい。流石にこの数は鬱陶しかったのでね」

 

魔法を放ったのは、【ディオニュソス・ファミリア】のフィルヴィス・シャリアだった。

 

「【白巫女(マイナデス)】!」

「我々に楯突くつもりか!フィルヴィス・シャリア!」

「当然だ。朝から抗争(馬鹿騒ぎ)を起こす馬鹿共を潰しに来たのだからな」

 

【アポロン・ファミリア】の冒険者達の声を罵倒で返し、睨み返した。

 

「そうだ。こいつのエンブレムは何処の【ファミリア】のものか教えてくれないか」

 

俺は足元に転がる冒険者の襟首を掴み、エンブレムが見えやすいように突き出す。

 

「それは【ソーマ・ファミリア】のエンブレムだ。大方、アポロン側が大金で雇ったのだろう。あそこの冒険者は金に汚いことで有名だからな」

「なるほど」

 

【ソーマ・ファミリア】の冒険者を投げ捨て、フィルヴィスと背中合わせになる形で冒険者達と相対する。

【ソーマ・ファミリア】ということは、リリのことが向こうにバレてしまったか。ベルが有名になってしまった影響か?

【アポロン・ファミリア】はベルが欲しい。【ソーマ・ファミリア】は死んだはずの団員(リリ)を【ヘスティア・ファミリア(おれたち)】から取り返したい。そういう意味では、お互いの利害(思惑)が一致したのだろう。

 

「一時だが、貴公に背中を任せよう。グレイ・モナーク」

「グレイで良いさ。フィルヴィス・シャリア」

「私もフィルヴィスで構わんよ、グレイ」

 

左手の武器を『トゲの盾』に変更しながら返すと、フィルヴィスの声音は若干嬉しそうだった気がした。

 

「怯むな!数はこちらが上だ!」

「囲んで叩き潰せぇ!」

 

冒険者達が襲いくると同時に、俺とフィルヴィスは静かに構え、迎撃した。

 

「旦那!旦那ぁ!」

 

そして敵の9割を無力化し、次が来ないか否か構えていた頃。ヴェルフが現れた。

 

「どうした?」

「ヘスティア様が、アポロンの戦争遊戯(ウォーゲーム)申し込みに合意した。ベルは鍛錬に向かった。……リリスケが【ソーマ・ファミリア】の連中に連れて行かれた」

 

息を整えたヴェルフは、俺がここで戦っている間に起きた事を報告した。

 

「ヘスティア様から伝言だ。リリスケは自分たちが救出する。旦那は戦争遊戯(ウォーゲーム)への備えを進めておいてくれ。だそうだ」

「……わかった。リリのことは頼んだ」

「おう、任せろ。それはそれとして……」

 

そう言ったヴェルフは、何故か俺の肩を叩き、耳打ちしてきた。

 

「なんで【白巫女(マイナデス)】が旦那に加勢してたんだ?」

「……俺も色々あるんだよ」

「……わかった」

 

 

 

 

崩壊した【ヘスティア・ファミリア】本拠地(ホーム)跡地。

 

「さて、と」

 

瓦礫の山をどかしてできる限り平坦にし、座り込んで目を閉じて瞑想する。

そして、時間とともに俺の意識が薄れていき……ふっと意識を失った瞬間。

 

「ギャオオオオオオオオン!!」

 

竜の咆哮が、木霊した。




リリの救出や戦争遊戯の規則・形式決めの会議はほぼ原作通りですのでカットします
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