第46回では、蔦重と、歌麿を中心とした絵師チーム、そして戯作チームで力を結集させた写楽絵が完成しました。
浮世絵指導の向井大祐さん・松原亜実さんに伺った制作秘話をご紹介します!
📺ついに「写楽」お披露目!ドラマはこちらから見られます
※配信期限12月7日(日)午後8:44
絵師たちの力を結集して完成する写楽絵
今週放送した第46回では、いよいよ絵師たちのコラボレーションが描かれました。浮世絵指導としてこの回での大きな役割は、架空の絵を台本や登場人物に沿って創作し、それを史実で残っている実際の写楽絵に着地させるという挑戦。ゼロから作り上げた絵師たちの絵は、どのように生まれたのでしょうか。
べらぼうでの写楽絵は歌麿の絵をベースにしていますが、組み合わせていくそれぞれの絵に、違った特徴を組み込んでいます。
まず歌麿は、人相見を描いていたときからの道のりがあるため、人相っぽく表情にシワを入れています。加えて、手の部分が完成形よりはしっかりしていなかったり、顎(あご)のラインがまだ優しかったり。歌麿の絵だけでは写楽絵は完成しません。
▲歌麿の絵
ここから絵師たちの部位を組み合わせていくパズルが始まります。
目が写楽絵に採用される政美の場合は、目は江戸兵衛の目そのものですが、ほかの部位は優しく描いてあり、一目でぱっと見たとき、目の部分に視線がいくよう、ほかを引き算するというかたちで調整していきました。
▲政美の絵
絵師たちの描き分けにあたっては、それぞれの来歴もふまえて工夫しています。
例えば重政の場合、重政自身は役者絵をあまり描いていませんが、勝川春章が盟友ということもあり、重政の中で「役者絵といえば春章だ」という思いがあるのではと考えました。
そこで、重政が描く役者絵はいつも“春章っぽさ”というのが一つのキーになっているんです!
江戸兵衛の絵では、重政が描く顎の部分を採用しますが、ほかの部分は春章のほどよい似顔絵風で描かれています(ちなみに向井さんは春章の研究をしているので、春章の話になるととてもアツくなります)。
▲重政の絵
そして春朗の持ち味は遠近法。手前の手は大きく、奥の手は小さく描かれており、これは春朗の特徴をドラマの中でかなり誇張して、源内先生の描いた蘭画らしさを感じさせる工夫です。
▲春朗の絵
本編には入りませんでしたが、ほかにも一九は、逆に落書きのようなラフさが特徴。かわいらしい江戸兵衛が描かれています。
▲一九の絵
このように、写楽絵に採用される部位以外は、指導の先生が考えるそれぞれの絵師の特徴を踏襲した絵になっています。
そんなこだわりを詰め込み、絵師たちの絵を組み合わせて完成した写楽絵がこちら!
それぞれのキャラクターらしさを感じながら、魅力の詰まった写楽絵が出来上がりました。
残すところ2話となったべらぼう。
絵にも注目しながら、もう一度見返してみるのはいかがでしょうか?
最終回まで引き続きお楽しみいただければ幸いです。