存続かけて“走る医師”都立病院の改革に密着 全国の病院“7割以上が赤字”
DX導入で“一目瞭然”
入院患者に配られた1枚のお知らせ。強く打ち出したのは“早期退院・早期転院”です。入院日数は病院の収入に大きく影響しています。例えば75歳、肺炎の場合。入院から1週間までは定額3万3000円ほど。その期間を超えると段階的に収入が減り、病院の経営にはマイナスです。これは必要以上に長い入院を防ぐために国が決めたルールで、患者をどんどん受け入れ、適した期間に退院できるよう治療することが求められています。ただ、その期間は病気によって異なります。患者ごとに、状態を照らし合わせ、決められた日数を割り出す必要があります。 東京都立墨東病院 看護部長 上野真弓副院長 「“直腸がん”だけでも38種類。ここから探し出さなきゃいけなかった。でも忙しい中でそこまでできない」 そこで導入したのが、壁を覆いつくす大型モニター。患者の退院日が一目で分かります。今年からこのシステムを取り入れ、関係するスタッフ全員が共有できるようにしました。ただ、回復のスピードは人それぞれ。数字だけでは割り切れないのが医療です。 東京都立墨東病院 呼吸器内科部長 小林正芳医師 「僕ら1対1で、とにかく医療をやるので、いかに平均と平均でない人に1人ずつ向き合うか現場では大事。医者であると、ずっと最後までみていきたいところもある。落ち着いた患者さんは他の病院に任すということも大事なことなのかなと」
求められる病院の“役割分担”
治療が難しい“重症患者”を受け入れる墨東病院。ここで容体を立て直し、再び地域の適した病院へ送り出します。この循環が生まれて初めて、医療としても経営としても成り立つ仕組みになっています。ただ、送り先がなければ続きません。小林医師は、こういった患者の受け入れ先も営業し、連携病院を増やしていました。 福井クリニック 福井光文院長 「墨東病院から送られて来た患者さんに関しては、なるべくスムーズに回していくという形も作っているので、お互いそこをやれば患者さんとウィンウィンな関係になると」 患者とも直接向き合う小林医師。求められる“数字”と“診療”のバランスについてどう感じているのでしょうか。 東京都立墨東病院 呼吸器内科部長 小林正芳医師 「医療者側が、ここまではしっかりと医療の提供をしたいという信念みたいなものが必要なのかなと。その中でどこまで数字を合わせることができるのか。そこをしっかり僕らから提示できるような、医療の質を落とさずやっていくことが大事」
テレビ朝日