怪獣映画が受賞した翌週。
自ら地獄に向かっていくイグニハイドに、新劇バージョンの汎用人型決戦兵器の記憶を提供し、ちょいちょい直しを入れ、キャストの会議をしたりして過ごしていた。
「かーんとーくせーいさん(*^^*)」
「出たなゼニゲバガラス」
「仮にも学園長にたいして酷くないですか?
まあ、優しいので?許しますけど?」
「で、何のようですか?」
この時期にクロウリーの来訪など、嫌な予感しかしない。
無茶振りしかしてこないのがこいつの本能だ、と監督生は認識している。
「アナタ、イグニハイドと何か作ってますよね?」
「ええまあ。で?」
「公開する場所を提供しようと思いまして!」
「ネットでするんで結構です」
触らぬカラスになんとやら。
監督生は原画の確認があるからと踵を返す。
「待って!どうせなら映画館で観てほしいのでは?
ワタシなら、同程度の設備を御用意できますよ!」
「くっ・・・音響とは、オタクの弱いところを
いいでしょう。一度持ち帰って検討するので、条件をどうぞ」
「ありがとうございます。提供するのはこのカレッジ。
勿論、魔法をフル活用して完璧な環境にします。
IMAX?でも4D?でもお任せください!」
「で、カラスに対する見返りは」
「クロウリーって名乗ってますよね?ま、いいでしょう。見返りは作品数と期限。三ヶ月後の三日間カレッジで開かれる映画祭で公開する映画を六作品、発注します。内容はお任せしますから。どうです?」
「なんでまた映画祭」
「別にロイヤルソードに対抗できる行事増やしたいとかそんなことないですよ?」
「三ヵ月後ってのは」
「ロイヤルソードと都合が合うのがその三日間なので。あ、他の学校も出してくれるそうです」
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「三ヶ月で六作!?何考えてるのあのバカ!」
「さすがにイグニハイドも死ぬって」
「仰るとおりです。でも、環境は捨てがたい。それに勝ち負け関係ない行事の方が若者がのびのび作って出しやすいかなって。二校限定じゃないみたいで」
「なるほどね。あの学園長のことだから、映画関係者の招待くらいするでしょうし」
「監督生氏の映画で学生映画も此処までできるって盛り上がってますしな」
うーん、と頭を悩ませるのは 最高責任者の監督生、ヴィル、イデアの三人。
全員映像作品経験者、愛好者として現場の地獄もある程度は理解している。
特に実際に働いているヴィルがあのカラスが如何に無茶を言っているのか分かるから腸煮えくり返る気分である。
でも同時に、環境の大切さも分かる。
最高の音響、閉ざされた空間で観る感動と、家でだらだら観ての感動では明らかに差がある。
そして若者が目立つことがどんなに困難であるかも。
才能の発掘はなかなか難しい、と思う。どんな天才でも公開せねば埋もれるわけで。
「今進行してるのは?」
「監督生に頼んで教えてもらってる、アニメ三作を同時進行。
開始して一週間、すでに死人が出そうですぞ。リテイク多すぎ。」
「それにしても、あと三作・・・監督生、ネタは?」
「あるにはあるのですが・・・今メールで条件が追加されました」
「「あ?」」
「一作は、ロイヤルソードの学生と作るように」
「外注とかさせませんけど?」
「ネージュね?」
「はい・・・で、どうします?」
「「監督生の残り三作のあらすじ見てから決める」」
「あ、はい。ところで、アニメと実写、どちらにします?」
「そうね、三作アニメなら三作実写がいいかもしれないわ。
イグニハイドが生き残るためにも」
「なるほど。アニメ原作でもいいですか?」
「それは構わないわ。だってワンダーランドのアタシたちは本物を見たことないんだもの。関係ないことよ」
「あーそっか。じゃあ」
「・・・・ごめん監督生氏、実写、四作に出来ないかな」
「え!?」
「あのアニメは一気に見せたい。だから、最後の一日はアニメ三作、前の二日で実写を二作ずつ」
「アンタ、映画研究会を殺す気?」
「ロイヤルソードも使えば行けるでしょ」
「・・・確かに、あれは単独がいいかもしれないです。実写をロケ撮影にすればイグニハイドの作業も減らせる・・・ゼニゲバガラスと話し合ってきます!
場所と予算を勝ち取るぜ!」
「仕方ないわね、まったく。貸し一つよイデア」
「ふひっ。すぐに感動という形で返しますぞ」
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「というわけで、カレッジの行事としてやる以上、予算とロケ場所の提供を求む。入場料とか取るんですよね7・3で寄越せ。こっちが7な。あと作品一つ増やさしてください」
「えー、予算はちょっと。だって学生の自主制作映画じゃないですか~」
「貴様それあの渾身の怪獣映画見ていえるか?」
「すいません言えません。わかりました!ある程度の予算は出します!入場料はこちらも設営頑張るんだから6・4で!それで、場所というのは?
賢者の島でロケでもするんですか?それともカレッジで?」
「このカレッジの寮って、ぶっちゃけ亜空間に作られてますよね?」
「あーそうですね。多次元宇宙論だかなんだかと想像力をぶつけて創立者が作ってますがそれが?」
「つまり、イマジネーションは無限大な空間であると」
「そ、そうですね?」
「一個鏡、増やしてもらいましょう?」
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「そうして増やしてもらったのがこの『ロケ地』の鏡です!NYに行きたいかー!」
「「おー!!」」
「完成すれば天国!製作過程は地獄!
時の運なぞ投げ捨てて!知力!体力!根性かけて頑張るぞー!」
「「おー!!!」」
鏡舎に集ったイグニハイド寮と映画研究会のロケハン隊。
熱気でイグニハイド生の眼鏡が真っ白になっている。
機材も多く持ち込んで、普通に寮から出てきた生徒はドン引きして通り過ぎていく。
「すごいわね。アタシ、あんなに興奮している研究会初めてみるわ」
「拙者も、あんなに血色の良い寮生初めてですぞ」
普段相容れないヴィルとイデアは珍しく同調し、興奮した団体の最後尾で鏡をくぐった。
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「なにここ」
「街何個分作ったの?」
鏡を抜けた先は山頂だった。後ろを振り向くと巨大なくぼ地が広がっている。
おそらくここも映画のロケ地になるのだろう。
そして眼下には人気のない街が広がっている。
「とりあえずNY、ロンドン、東京と飛騨、昔の東京、アニメ班のための第3新東京市と月面を作りました!新東京市はNERV地下施設から兵装ビルまで完備し操作可能!
はい!製作チームごとに分かれて調査開始してください!!」
「「「「「「「うおおおおおお!!!!」」」」」」」
興奮して散っていくオタクたちを見送り、監督生はぽかんとしているヴィルとイデアをどこからか準備した椅子に座らせた。
「自分たちはキャスト決定会議でもしてましょう。
主要キャストなんですけど、私の知り合いで固めてもいいですか?」
「前回もそれで成功しているし、いいわよ」
「そうですな。個性も濃いし、賛成ですぞ」
「ありがとうございます。で、アニメの声優にロイヤルソードの学園長も巻き込みたいのですが、何か案ありません?」
「それなら、普通にネージュを使うわよ」
「あとはカラスも」
「それなら、メインキャラって言えば飛びつくと思いますぞ」
「あ、そっか。じゃあそんな感じで。台本が出来次第、配布しますね」
「楽しみにしてるわ」
「全裸待機しておきますぞ」
「それは駄目です」
続く
前回書いたりキャスト考えるの楽しかったので続けることにしました!
ご都合設定もあるけど見逃してくださいね!
誤字脱字があったらごめんなさい!