「経済的衰退」「文明の消滅」「アイデンティティーと自信の喪失」――。5日までに公表されたトランプ米政権の安全保障政策の指針となる「国家安全保障戦略」(NSS)では、欧州に厳しい文言が並んだ。ロシアとウクライナの停戦を巡っても、ロシア寄りと指摘される米国とウクライナを支援する欧州の主張の隔たりが顕著で、両者の不信感は広がっている。
第2次トランプ政権、とりわけバンス米副大統領が欧州の主要政党に対して、極右政党との連携を拒否していると批判してきた。
極右政党は排外主義的な主張を持ち、移民の規制などでトランプ政権と立場が近い。バンス氏は2月にドイツ南部ミュンヘンであった安全保障会議では「最も懸念する欧州への脅威は中国やロシアなどの外部勢力ではない。内部にある」と断言し、欧州には衝撃が広がった。
米国の被害者意識
「米国第一主義」を掲げるトランプ政権にはかねて「米国は同盟国に利用されてきた」との認識があり、その矛先は欧州にも強く向く。安全保障で米国から巨額の補助や支援を受ける一方で、貿易面では関税や非関税障壁によって米国から「搾取」してきたという考えがあるためだ。欧州のリベラルな価値観への反発もある。
今回のNSSもこうした路線を踏襲したものだ。欧州の少数与党が「反対勢力を抑圧するために、民主主義の基本原則を踏みにじっている」と批判した。現在の傾向が続けば、…
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