忘年会の幹事をしてくれた同期がいた。
仕事の合間に出欠を集めて、店を探して、人数変更に追われながらメニューまで全部ひとりで整えてくれた。ほんとうに、誰よりも動いていた。
当日、みんなが「ありがとう」と声をかける中で、ひとりだけ、こんなことを言った人がいた。
「もっと広い店が良かったかも。料理も微妙だったし。」
その瞬間、同期の表情がほんの一瞬だけ曇った。でも誰も気づかないふりをした。
帰り道、彼女はぽつんとつぶやいた。
「もう二度と幹事やらない。」
その時は軽く流してしまった。
でも翌年、本当に誰も幹事をやると言い出さなかった。
結果、私が幹事をやることになった。
そしてやってみて初めて理解した。
・人数調整は地獄
・急なキャンセルで店に頭を下げる
・直前で席が埋まる
・料理の好みは全員違う
・誰も手伝ってくれない
その全部を抱えているところに、たった一言の不満が刺さると、心が折れるのは当然だった。
不思議だけど、
いちばん何もしない人ほど、いちばん文句を言う。
やってくれたことを評価するんじゃなくて、
足りないところを探すためだけに目ざとくなる。
でも、こういう人が職場にいると
静かに、そして確実に やってくれる人が消えていく。
去年の同期も、きっと同じだったんだと思う。
幹事だけじゃない。
資料づくり、雑務、調整役…。
誰かが「やるよ」と手を挙げてくれる組織は、ほんとうはそれだけで恵まれている。
「不満」はたった一言で、
善意の持ち主から真っ先に去っていく。
そして結局、一番困るのは残された全員。
来年もし誰かが幹事をしてくれたら、
私は一番に「ありがとう」を伝えようと思う。
幹事は、スキルじゃなくて
感謝でしか続かない仕事だと、ようやく理解したから。