日本語試験に3度不合格、追い詰められ利用した「替え玉受験」に16万円…SNSでビジネス化する実態
外国人労働者向けの在留資格「特定技能」の取得に必要な日本語試験で替え玉受験に関わったベトナム人が相次いで摘発された。「日本語をほとんど話せないまま月給が倍増した」「バレそうになったことはない。顔が自分と似ている人だけを選んだ」……。当事者に取材をすると、依頼する側も、替え玉を引き受ける側も、不正への感覚がまひしているかのような証言が聞かれた。大阪府警の捜査では、替え玉受験がSNSを介して「ビジネス化」している実態も浮かぶ。日本語試験の現場で、何が起きているのか。 【コラージュ】替え玉受験の手口
■「長く住みたい」…日本語試験で3度不合格に
「家族のために日本に長く住み、お金を稼ぎたかった」。ベトナム国籍のレー・タイン・チャンさん(34)(女性、仮名)は母国に強制送還される直前の7月半ば、収容されていた大阪出入国在留管理局内で、通訳と訪れた読売新聞の記者にベトナム語で明かした。
チャンさんは、ベトナム北部フート省出身。2019年に結婚した後は電子部品工場に勤めたが、その収入だけでは生活は難しかった。結婚後まもなく生まれた娘には脳に障害があり、治療費や薬代で毎月5万円以上かかった。夫には約600万円の借金もあった。
24年1月、技能実習生として来日。千葉県内のクリーニング店で働き始め、月14万~18万円の収入の半分を家族に仕送りした。「もっと長く住みたいし、より高い給料もほしい」。在留期間が短い技能実習から、最長5年間の滞在が可能な在留資格「特定技能1号」に切り替えようと思った。
技能実習生として約3年間の実務経験を重ねることで特定技能に移行できる「技能実習ルート」を待たず、日本語試験と技能試験に合格して取得する「試験ルート」を選択したが、甘くはなかった。技能試験には合格したが、独立行政法人・国際交流基金の「日本語基礎テスト」に昨秋、3度続けて不合格になった。
■追い詰められ替え玉依頼 スマホ一つで受験は「合格」
合格できなければ、在留期限が切れて帰国しなければならない――。知人のベトナム人に紹介された女性にビデオ通話で連絡を取ると、こう聞かれた。「16万円で替え玉受験をするか」。追い詰められていたチャンさんは、迷うことなくうなずいた。