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松本零士の、ものづくりに携わる人々へのリスペクトを感じる一遍

【第25話「鋼鉄天使」あらすじ】999は次の停車駅「マスプロン」に到着。ここは宇宙中のあらゆる工業製品を製造している工場だらけの星で、その大気は濃い煤煙に包まれている。鉄郎の些細な発言を発端に、クローマリアという女にホテルを爆破されてしまう二人。当局に逮捕されたクローマリアは即座に銃殺刑に処されることになると聞き、鉄郎たちは処刑場に向かう。

▶️「なんにもしないで文句を言ったり、
不平ばっかり言ってる人より、一生懸命働いて
ものをつくってる人が好きだよ」

星の環境汚染も顧みず、工業製品を大量に作り続けているマスプロンの人たち。全宇宙を取引先に持つほどの技術と生産力が誇りの住民たちにとって、「今の在り方を見直せ」と警鐘を鳴らし、過激な活動をするクローマリアたちは星の信頼を失墜させ、商売の邪魔をする異端分子でした。

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今回のゲスト、クローマリアは何年も体制側と戦っている組織のメンバー

路傍の少年が「10円で水爆をつくるよ」と言っているのを聞いて鉄郎は思わず「凄い星だ。褒めてやりたいくらいだ」と口にするのですが、偶然それを耳にしたクローマリアは、憤慨して鉄郎たちの泊まったホテルを爆破してしまいます(やることが極端すぎる。テロだテロ💦)

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ホテルは根元から倒壊! 鉄郎たちもよくこれで生き残ったもんです

クローマリアはその場で逮捕されますが、彼女が公開銃殺刑されると住民から聴いたメーテルは「あの人は助けなきゃだめ!」と、なぜか熱く鉄郎を説得します。駆けつけた処刑場では、クローマリアが見物の観衆に向かって涙を流しながら叫んでいました。

クローマリア「みんなお聞き!ぺこぺこ四方八方に遠慮して、頭を下げて、
  宇宙全体で力を合わせて処理しなけりゃならない廃棄物やゴミまで、
  この小さな惑星に背負い込んで"汚い星の人間"と嫌味を言われて、
  なんでその上、ものをつくり続ける必要があるのさ!」

クローマリアのセリフより

彼女のこのセリフで思い出したのは、近年クローズアップされた海外へのゴミ輸出問題でした。例えば今もタイのような東南アジアの国々は、クローマリアのような人がいるのかもしれません。

被害者とされていた鉄郎たちが申告したおかげで、クローマリアは銃殺刑を免れるものの、ホテル破壊の罪で連行されてしまいます。999に戻った鉄郎が車窓の外のどんよりした風景を見ながらボヤくのですが、それが結構いいセリフなんですよね。

鉄郎「ものをつくんのも、技術が優秀なのもいいけど、もっと人間を大事にしてもらいたいよ」

鉄郎のセリフより

鉄郎「・・・この暗い空の下で何百万という人たちが、ものをつくり続けてんだね。でも僕はなんにもしないで文句を言ったり、不平ばっかり言ってる人より、一生懸命働いてものをつくってる人が好きだよ。オイルの匂いも好きだよ!メーテルは?」

鉄郎のセリフより
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クローマリアと握手した鉄郎の手にはオイルがこびりつた。が鉄郎は嬉しそう

クローマリアたちの運命がどうなるか、最後までハラハラしましたが、ハッピーエンドでほっとした余韻に浸れるエピソードでした。

アニメ放送当時は日本も公害問題に対して社会の取り組みが進み、産業型の公害は改善されつつあった時代ですが、都市部では交通騒音や生活排水、一般廃棄物などの「生活由来の公害」がクローズアップされ始めた頃でもあります。オゾン層破壊や大規模森林伐採などの課題が世界中でも議論され、放送のあった1979年には「長距離越境大気汚染条約」が国連で採択されたりもしました。

そんな世の中の動きに対して「自然を守ることは大事。でもそれで人間の営みやものづくりを停滞させるのは間違っているのではないか」という松本零士の想いが投影されているように感じるエピソードです。

どうしても両極論になって対立・分断に陥りがちなのは今の社会も変わりません。0か100かや、右か左か、そういう安易な対話にしないことが、人が正しく前に進むために大切だと感じますね。

ちなみにマスプロンという星の名は、おそらく"大量生産"や"量産"を意味するマスプロダクションからきていて、ゲストキャラ、クローマリアは"鉄"を意味するクローム+マリア。ネーミングが実に零士ワールドで素敵。

メーテルの謎⑨

ものづくりの新天地を目指して無理矢理999に乗り込んできクローマリアと仲間たちは、銀河鉄道の規則によって強制排除されそうになりますが、メーテルが用意していた回数券によって乗車の権利を手に入れました。これだけの回数券を携帯しているメーテル・・・。これまでも似たような境遇の人たち(ヌルーバの兄妹や彗星図書館の親子など)がいたのに、その時は出してくれなかったんですよねー・・・情けを施す基準が良くわからないけど、クローマリアたちには、社会のために役に立つ可能性と志を感じたからなのかもしれません。特に今回はメーテルが積極的に、そして感情的に事件に関わっていたのが印象的。女心はフクザツです。

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漫画原作では回数券ではなく鉄郎らが持つのと同様のパスポートでしたから、もっと高価・・・

エンディングナレーション

人間がつくったものは、果てしなく宇宙に広がってゆく。
きらめく星の中で、持ち主を励まし助け、ともに喜び、悲しみ、
そしていつか壊れていく。
しかし鉄郎は、働いてものをつくる人がとても好きだ。


次回予告ナレーション

男の胸を冷たい風が吹き抜ける。
風が啼いている、踏みにじられた愛を。
風が叫んでいる、裏切られた恨みを。
男の胸の風穴は、心が受けた傷の痕。
次回の『銀河鉄道999』は「白骨の歌」に、停まります。


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