闇の王がファミリアに入ってもいいじゃない、『元』人間だもの   作:大豆万歳

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神の宴にあの方々が出席します


第4話

翌日。バベル地下1階、ダンジョン入り口。

 

「さて、ベル」

「はい」

「キミの目標は?」

「アイズ・ヴァレンシュタインさんに釣り合う冒険者に……いいえ、僕はあの人より強くなる!」

 

昨日の一件から、俺とベルはダンジョンに入る前に、目標確認を行うことにした。

 

「よし!そのためには?」

「ダンジョンでモンスターを片っ端から倒して、経験値を稼ぐ!」

 

俺とベルはダンジョンの入り口に立つ。

 

「じゃあ……行こうか!」

「はい!」

 

 

 

 

その日の夜。

 

ベル・クラネル

Lv.1

力:H171→G221

耐久:I72→H101

器用:H187→G232

敏捷:G275→F313

魔力:I0

《魔法》

【】

《スキル》

【】

 

グレイ・モナーク

Lv.1

力:I13→I19

耐久:I11→I21

器用:I13→I18

敏捷:I12→I17

魔力:I18→I24

《魔法》

【魔術】【奇跡】【呪術】

《スキル》

呪いの証(ダークリング)】【ソウルの秘術】【残り火】

 

「今日もまた随分伸びたね」

「ですね」

 

【ステイタス】の書かれた用紙を見て会話する俺とベル。

 

「えーと、これは……バイトの通達書だ。これは……ビラ」

 

一方、神様は食器棚の引き出しを漁っている。何か探し物かな?

 

「……お、あったあった。──ふー、見つけたのが前日でよかった」

 

目的のものと思われる封筒を確認すると、胸を撫で下ろした。

 

「ベルくん、グレイくん、ボクは明日の夜……いや、もしかしたら何日か部屋を留守にするけど、構わないかな?」

「えっ?わ、わかりました」

「何かあるんですか?」

「うん。行く気はなかったんだけど、友人の開くパーティーに顔を出そうかと思ってね。久しぶりに皆の顔を見たくなったんだ」

「だったら遠慮なく行ってきてください」

「友達は大事ですから」

 

俺とベルは了承し、笑顔で勧めるとヘスティアがありがとうと頷く。

 

「そうそう、ボクがいない間もキミたちはダンジョンに行くだろうけど。ちゃんと引き際は考えておくんだよ?」

 

「特にグレイくん」と、神様が俺に指差ししてくる。

 

「スキルを試しに使って自爆なんてシャレにならないことはしないでくれよ?」

「肝に銘じておきます」

「ベルくんも、強くなりたいからって無茶しないでくれよ?」

「はい、神様」

 

 

 

 

そして、当日の夜。

ヘスティアが顔を出すと言っていたパーティー……『神の宴inガネーシャ・ファミリア』の会場。

 

「やかましいわぁああああああ!ボケェえええええええ!!」

「ふみゅぐぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」

『おっ、始まったぞ』

『いいぞー、やれやれー』

『ロリ巨乳vsロキ無乳か』

 

涙目になってヘスティアの柔らかい頬を両手でつまみ、引っ張る女性──神ロキと、同じく涙目で手足を振って抵抗するも、短さゆえにことごとくが空を切っているヘスティア。そして、見物だ見物だと取り巻きだす神々一同。

もともと、神ロキと神ヘスティアは以前から大した親交もなく、初めて出会ってからまだ100年も経っていないにもかかわらず、顔を合わせるたびにおちょくってくるのだ。

今回もいつも通り、『貧乏神』だの『豆粒』だのとおちょくりに来た神ロキ。対する神ヘスティアは『貧乏かどうかは今後の努力でどうにかなるさ』『小柄なおかげでバイト先ではマスコット的な人気があるんだよ』と反論、『まな板』だの『どうあがいても絶壁』だのと言い返すとロキがヘスティアに掴みかかり、今に至る。

 

『ロリ巨乳が勝つに1万ヴァリス』

『無乳が最後の最後でうっかりを発動させるにエリクサー10個』

『打ちひしがれたロキたんを俺が全力で慰めるに星の欠片(スターチップ)全部』

 

賭けにならない賭けを男性陣がし始めた頃……

 

「まったく、ガネーシャが宴を開くって言うから来てみれば……」

「まだまだ子供ね?」

『!?』

 

その瞬間、会場の視線がヘスティア(巨乳)ロキ(無乳)から、声のしたステージに移る。そして、そこにいた2匹の猫(・・・・)を見て驚く。ロキも声の主を見て驚いたのか、ヘスティアの頬から手を離す。

片方は獅子のような巨体に銀の毛並み、そして金色の瞳の猫。名を『アルヴィナ』。

もう片方は白と焦げ茶色の毛並みに水色の瞳の猫。名を『シャラゴア』。

 

「ガネーシャ様!」

 

すると、【ガネーシャ・ファミリア】の団員がステージに駆け込んできた。

 

「申し訳ありません!会場の入り口に2匹の奇妙な猫が──」

「いや、いい。彼女たちは特別だ」

 

下がっていいぞと手で促すと、ガネーシャは2匹の猫に視線を移す。

 

「久しぶりだな、アルヴィナ、シャラゴア。相変わらずのモフモフ具合だな」

「ええ、ガネーシャ。あんたも、相変わらず暑苦しい格好してるのね」

 

アルヴィナの返答にでかい笑い声をすると、「もっと見ろ」とでも言わんばかりに肉体を強調するポージング(サイドチェスト)をとるガネーシャ。

 

「ねえ、ヘファイストス、あの猫って何者なんだい?いきなりステージに現れたと思ったらガネーシャのことを『あんた』って呼んだんだけど……」

「あんた、アルヴィナとシャラゴアのこと知らないの?」

「うん。ほら、ボクってオラリオに来たの最近だろ?それに……キミの【ファミリア】のホームから追い出されるまで殆ど引きニート生活を送ってたし」

 

申し訳なさそうに言うと、右目に大きな眼帯をした麗人──ヘファイストスは友好的ではない目つきでヘスティアを見る。

 

「あっちの銀色の猫が『アルヴィナ』、隣の白と焦げ茶色の猫は『シャラゴア』よ。彼女たち、神々が降りてくる前からここ(オラリオ)にいたんですって」

「はぁ!?じゃ、じゃあ、あの2匹の猫は齢1000年を超える化け猫ってことかい!?」

「そうね。しかも、1000年前から人の言葉を話していたそうよ?」

 

親友からそう聞いて唖然とするヘスティア。そこに──

 

「化け猫だなんて、失礼ね」

「おぉう!?」

 

いつの間にか足元に現れたシャラゴアに驚き、神友の背後に隠れるヘスティア。

 

「私達はちょっと長生きしているだけの、ただの猫よ」

「……1000年は『ちょっと』の範疇に収まらないんだけど?」

 

「そうかもしれないわね」と微笑むとシャラゴアは前足を舐めて顔を洗う。

 

「久しぶりね、シャラゴア」

 

美に魅入られた女神──フレイヤはしゃがむと、シャラゴアの頭や顎を撫でる。

シャラゴアのほうも気持ちよさそうに目を細める。

 

「ええ、フレイヤ。……何度も言うけど、私とアルヴィナにソレ(魅了)は効かないわよ?」

 

「残念」と小声で呟くと姿勢を戻すフレイヤ。

 

チョンチョン

 

「どうしてあなたたちに私とイシュタルの『魅了』は効かないのかしら?下界の子供達や他の神々には効いたのに」

「それは、私達が猫だからよ」

 

チョンチョン

 

猫であることを強調するシャラゴアを見て、ヘスティアの脳裏にある言葉がよぎる。

 

『年経た猫は魔力を得て「別の何か」になる』

 

何時何処で聞いたのか、或いは目にした言葉なのかは覚えていない。だが、目の前にいるシャラゴアは正に『別の何か』に見えて──

 

チョンチョン

 

「あー、もう誰だい?さっきからボク──おわぁあああああ!?いいいいつの間に!?」

「驚いてくれてありがとう。他の神々はもう驚いてくれないから、そういう反応は嬉しくてねぇ」

 

背後を振り返るヘスティア。その目と鼻の先にはアルヴィナがいた。ヘスティアの反応に口の端を吊り上げて嬉しそうに微笑むアルヴィナ。ヘスティアからすれば心臓に悪いからやめてほしいことなのだが。

 

「大丈夫?ヘスティア」

「ごめん、ヘファイストス、ちょっとここに座ってていいかい?腰が抜けちゃって上手く立てないんだ……」

「いいわよ」

 

神友の脚を背もたれがわりにその場に座り、驚きの連続で動悸の激しくなった心臓を落ち着かせようと深呼吸をするヘスティア。

アルヴィナのほうも罪悪感を感じたのか、耳が若干萎れる。

 

「ごめんなさいね、お嬢ちゃん。今度あなたのホームにお邪魔した時に私を枕代わりにしていいから、それで許してちょうだい?」

 

アルヴィナを枕代わりにする。それがどんな感じなのか、ヘスティアは頭の中でイメージする。

 

「(モフモフの毛並み……ライオンほどの大きさ……)」

 

そして、そこに自分とベル、グレイの3人で川の字に寝るイメージを足す。……おっと、涎が。

 

「……うん、わかった。それで──あれ?」

 

視線をアルヴィナに戻すが、何時の間にか消えていた。

シャラゴアのいた場所を振り返るが、シャラゴアはそこにいなかった。ヘファイストスに視線をやると、ロキとフレイヤを交えた3人で各々の【ファミリア】の団員について話をしていた。

 

「ねえ、ヘファイストス。アルヴィナとシャラゴアは?」

「ああ、アルヴィナとシャラゴアが急にいなくなるのはいつものことよ。彼女たち、超のつくほど神出鬼没だから」

「そ、そうなんだ……」

 

慣れたような反応を返すヘファイストス。

 

「(あれ?ホームにお邪魔するって言ってたけど、ボクのホームが何処にあるか教えてなかったんだけどな……)」

「そういえばヘスティア。あなたの【ファミリア】に入った子がいるって噂を聞いたんだけど、本当?」

「うん、そうだよ」

「ほーう?ドチビの【ファミリア】に入るなんて、物好きな子がおるもんやなぁ?」

「それってベルっていう子のこと?白髪で赤い目をした兎みたいなヒューマンの男の子。【ファミリア】ができたってあんたが報告に来た時は驚いたなぁ……」

「ああ、実は少し前にもう1人【ファミリア】に入ってくれた子がいるんだよ。グレイって子なんだけどね?(ベルくんほどじゃないけど)この子がまた良い子でさ──」

 

 

 

 

『神の宴inガネーシャ・ファミリア』会場の外。

 

「……つまり、『彼』はあのお嬢ちゃんのところにいるのね?」

「ええ。あんたも感じたでしょう?彼女の体から漂っていた、あの匂い(・・・・)()()の入り混じった……『アイツ』の匂いを」

「確か、彼女は炉の女神だったわね。それを考えると、納得がいくわ」

「そうね。で?これから会いに行くの?あの嬢ちゃんの匂いを辿れば着くのだけど」

「……いいえ、『彼』に会うのはもう少し後でもいいでしょう」

 

それだけ言うと、アルヴィナとシャラゴアは夜の闇に溶け込んでいった。




ベルのステイタスの上昇幅ですが、原作よりもダンジョンに潜る時間が短いのでそれにあわせて少し抑え気味にしました。
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