自分の気持ちをタイミングよく、
相手の顔色を窺いながら、
相手に音で伝えてみる。
その音を否定的に受け止められて
何も言えなくなってしまう。
ということが人生よくあった。
それは今もある。時々ある。

何も言えなくなった時期がある。
その頃の私は無味無臭の人間だったなと思う。
人と出会って、触れ合って
別れて、出会ってを繰り返して
私は誰かの隣に座ってもいいのだろうかと。
場所を探している日々だった。

戦友が選ぶ言葉を教えてくれて
友が私を変えるきっかけをくれた。

今の私にとって会話とは
今しがた発言したこの音が
誰かを傷つけないだろうかという
不安と心配のラインを押し隠しながら
対話をしようと心みる。

失敗した時は自己嫌悪。
成功した時は心から安堵する
というのは日常なのだ。

一生懸命考えた言葉が、気持ちが。

相手にとってナイフにしか
ならないのだと理解した時、

また、私は何も言えない人間になる。
その繰り返しなのだと思う。

それでもいいか。
どうせ相手も聴く気のない音なのだ。
私もそういう時があってもいいだろう。
雑な会話は雑に返すことも増えた。
返事をしない時もよくある。

そんな生き物でも
「海汐さん」を「好き」という気持ちで
聞いてくれる人達がいる。
話をしてくれる人達がいる。

それで充分、幸せなんだと
受け止めてみる。
ことにしよう。