「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」による連続強盗事件で、警視庁などの合同捜査本部は指示役4人を初めて摘発した。秘匿性の高い通信アプリを使うなどし、実態がつかみにくいとされる組織の中心人物を浮かび上がらせたのは、実行役らから押収した約750台のスマートフォンから得た断片情報をつなぎ合わせる、地域の垣根を越えた丹念な捜査だった。
凶暴性に危機感
一連の強盗事件は昨年8~11月に東京、千葉、埼玉、神奈川で18件発生。特に9月以降は、民家に押し入り、住人に激しい暴行を加えるなど凶悪さが際立っていた。
昨年10月には、横浜市の民家で住人の後藤寛治さん=当時(75)=が死亡。遺体は手足を粘着テープで縛られ、複数の骨が折れていた。危機感を強めた警察は同月、合同捜査本部を設置。グループ壊滅に向けた捜査を本格化させた。
防犯カメラ捜査などで摘発された実行役ら51人は、ほとんどがSNSなどを通じて集められた「闇バイト」の応募者。合同捜査本部は、現場には近づかず、スマホの通信アプリで犯行を指示していた首謀者の特定に力を注いだ。
捜査で大きな障壁となったのが、グループが使用する通信アプリ「シグナル」の高い秘匿性だ。シグナルは通信内容をサーバーに保管せずに、互いのスマホで情報を直接やりとりする「エンドツーエンド」方式。個々のスマホの解析で得られる情報は断片的で、発信元特定は困難だった。