【プレイバック’04】「首切り映像」の衝撃…イラク日本人青年殺害で被害者遺族を追い詰めたもの
子を惨殺された被害者家族が謝罪する「異常」
自国民の命が脅かされていたときに結婚式に出席したことをメディアから問いただされた小泉首相は「じゃあ、首相公邸で何もせずずっと籠っていればよかったのか」と〝逆ギレ〟したという。思えば事件発生当初から、小泉首相はAさんに対してあまりに冷淡だった。
《拉致発覚の直後、躊躇もなく、即座に「自衛隊撤退はしない」と断言した。その後、政府がやったのはAさんの「人定作業」。政府はまずAさんを、「左翼、市民活動家ではないか」調査したという。救出作業は米軍頼みで何もしない一方、誘拐された自国民が「テロリストと繋がっているのでは」と疑っていたのだ。》
また、政府はAさん殺害の世論への影響を怖れて、11月1日に起きたイラク・サマワの自衛隊駐屯地への砲撃事件を19時間も「隠蔽」していた。さらに「ネット監視」をしていた形跡もあった。
《人質への同情、政府批判が高まると、即座に反論を掲示板などに書き込み、批判を封印する。「誘拐された人間の自業自得」という世論誘導を行うためだ。その影響か、福岡県にあるAさんの実家には嫌がらせが相次いだ。その「異常さ」は、Aさんの遺体発見後の両親のコメントに表れている。
「支えていただいた多くの方々には、大変な心痛をおかけし、お詫び申し上げたい。感謝の気持ちでいっぱいです」
最愛のわが子を惨殺された両親が、なぜお詫びをしなければならないのか。誰に感謝しなければならないというのか。》
Aさんの行動は無謀だったのかもしれない。しかし、遺族が悲嘆にくれる本心をさらけ出すこともできない異常な空気が、このときの日本には漂っていたのだ。