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道路から「丸見え」の露天風呂、公然わいせつ罪では?のぞき見た人の刑事責任は #エキスパートトピ

前田恒彦元特捜部主任検事
写真:イメージマート

熊本県南小国町の満願寺温泉にある「川湯」と呼ばれる混浴の露天風呂が話題となっています。道路に面した川沿いに設置されているものの、柵など視界を遮るものがなく、対岸の道路から丸見えの状態だからです。しかも、タオルなしで入るのが当たり前になっているようです。「公然わいせつ罪」に問われないでしょうか。また、のぞき見た人の刑事責任はどうなるでしょうか。こうした開放的な露天風呂を巡る法的問題について、理解の参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

公然わいせつ罪については、(中略)不特定または多数の人が『見る可能性』があれば、犯罪が成立するとされています
出典:弁護士ドットコムニュース 2015/6/26(金)

「最低限のマナーというか、公道に面しているので、おおっぴらにさらけ出すじゃないけど、そういうのは控えてもらいたい」
出典:RKK熊本放送 2025/12/5(金)

県道から丸見えでも「タオルなし」“日本一恥ずかしい露天風呂” の正体
出典:TBS NEWS DIG

「何の作為もしないのに、自然に又は偶然に見えてしまったような場合」は「のぞき」には当たりません
出典:弁護士法人泉総合法律事務所 2018/3/6(火)

エキスパートの補足・見解

外から露天風呂にいる裸の人が容易に見える構造だった場合、公然わいせつ罪の「公然」性が認められるでしょう。ただ、裸になって体を洗ったりすることは通常の入浴方法であり、「わいせつな行為」には当たらないと考えられます。

しかし、あえて外の人に陰部を見せつけたり、それこそ性的行為に及んだりしたら、通常の入浴の範囲を超えるものであり、「わいせつな行為」に当たると判断されます。現に公然わいせつ罪に問われた例も存在します。

では、のぞいた人の刑事責任はどうなるでしょうか。写真や動画を撮影した場合、性的姿態撮影等処罰法の撮影罪に問われるのは当然です。問題は単にのぞき見ただけのケースですが、通常、のぞき行為は迷惑防止条例や軽犯罪法などで処罰されています。

しかし、対岸の道路から丸見えの状態だと、否が応でも視界に入ってしまいます。入浴している人も、ある程度までは覚悟の上ではないでしょうか。そうすると、見ていた場所やその時の状態、時間の長さ、程度、方法、経緯、意図などを踏まえ、条例などが規定する「正当な理由」があったといえるか否かによって、その刑事責任の有無が判断されることになるでしょう。(了)

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ありがとうございます。
元特捜部主任検事

ベスト エキスパート受賞

2025

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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