投稿が遅くなってしまい誠に申し訳御座いません…暫く仕事がかなり忙しかったことやポリクローム集めに躍起になっていたので、執筆に手が付けられていませんでした…改めて申し訳御座いません…
1ヶ月以内にはなるべく次話を投稿できるよう努めて参りますので、よろしくお願い致します!
かなりハイスピードで執筆しましたので内容が薄いと思いますが、読者の皆様にはご納得頂けますと幸いです…
それではどうぞ
"ホロウレイダー"
ホロウ内のエーテル資源を違法に採掘・取引するならず者達を指す言葉であり、ホロウの管理者たる調査協会が長年頭を抱えている悩みの種だ。
身内を養うため犯罪者になることを承知の上でその行為を働く者もいれば、個人の一儲けのためにエーテル資源を違法採掘し、それを邪魔する人・ボンプの命を見境なく奪う極悪人などが存在する。そういった者達の対処は主に治安局が行うが、協会の調査員でも一応逮捕できる権利がある。
勿論、調査員として勤める生真面目な性格の星見 鄙はその職務を従順に遂行していた。
たとえ相手が致し方ない事情であっても、私情を持ち込まず粛々と対応していたのが今までの自分だった。しかし今、調査員という身分を暫しの間手放し、同じ盃を交わしてきたホロウレイダーの親友のために動いている。
アキラ『三人とも、僕の声は聞こえているかい?』
鄙「あぁ、通信状態は良好だ」
猫又「同じく問題ないぞ」
場所はデッドエンドホロウ内部の放棄された鉄道基地、そこに三人の姿はあった。
リン『こっちも大丈夫だよお兄ちゃん。時間が惜しいけど、確実な成功を目指して計画をもう一度簡単におさらいしておかない?』
各々が通信感度の確認を終えた後、リンの出した提案に全員が同意を示す。
猫又「ヴィジョンの無人列車は自動運転モードでコンピューターが操作しているから進行上に障害物を置けば強制的にルートをトンネルの方に変えられる。列車が減速したらその隙に私達がボンブを列車の上に投げる!」
鄙「そして、リンが列車のメンテナンスハッチから内部に侵入し、アキラの支援の元これを停止させる。その隙を活用してニコ達を救出という流れだったな」
アキラ『その通り。それとデッドエンドブッチャーの現在地に関しては、依然として不明のままだから気をつけてくれ』
鄙「あぁ。要警戒エーテリアスと刃を交えたことが一度あるが、自分でも苦戦するかなりの強敵だ。もし仮に遭遇した場合は全速力で退避することに専念してくれ」
過去の経験を踏まえて皆に注意を促す。他に戦闘できそうな者が猫又1人だけである以上、遭遇は絶対に避けるべきである。
鄙「今回の作戦は時間との勝負だ。僅か数秒の遅れがニコ達の命に直結すると思ってくれ」
猫又「りょーかい!」
鄙「よし…では行動を開始する」
その言葉を合図に地面を大きく蹴り上げ、パエトーン兄妹の案内のもと最初の目的地、制御室のある建物に向かって走り出す。
◇◇ 1人の狐と猫、ボンプ(人)移動中… ◇◇
とうの前に日は完全に沈み込み、眩い月光がエーテル結晶や建築物の瓦礫によって荒れ果てた廃駅を明るく照らす。
そこには当然のごとくエーテリアスが徘徊しているが、三人は素早く掻い潜り見つからないよう努める。
鄙「ハァ……ハァ……」
数分の距離を走った頃、鄙の息遣いに僅かな乱れが生じ、額から大粒の汗が滴り落ちる。
その原因は、歩幅合わせのため抱えていたイアスもといリンであった。
リン『藤木さん大丈夫?重くない?』
鄙「あ、あぁ。平気だ」
彼女に心配の声をかけられ、その問いに作り笑いで応える。
一般的なボンプの重量はおよそ33kgと、標準的なメロン33個分。鄙はこれを片手で担ぎながら凹凸の激しい道を全速に近い速さで走っているのだから、その疲労度は計り知れない。
猫又「…ところで入る前から気になっていたんだけど、列車がなんで急に運行を再開したんだ?線路の修復が終わるのは来週だったはずだぞ?」
そんな中、ふと猫又が作戦を実行することになった根源について疑問を感じる。
アキラ『どうやら調査員の支援を受けたヴィジョンが急ピッチで復旧を押し進めたことによって予定に変更が生じたらしい。しかも周囲のエーテリアスを掃討してしまったから、さしたる妨害もなくスムーズに作業が進んだそうだ』
猫又「それは本当か!?もしそうなら、そのヴィジョンを手伝った調査員に強烈な猫パンチを食らわせてやりたいぞ!!」
鄙「………」
その件、100%自分だな…
まさか間接的に妨害していたとは露知らず、星見家の者として生涯の恥…穴があれば入りたい…
いずれ時が来るまで、この件は深淵の底に閉まっておこうと思う鄙であった。
ヒュゥゥゥゥゥゥ
鄙「…ッ!!止まれ猫又!!」
猫又「んにゃ?どうし―」
ガッシャァァァァン!!!!
次の瞬間、目の前に何かが落下し尋常ではない量の砂埃を上げる。
猫又「ふにゃあ!?な、何が起こったんだ!?」
鄙「ふぅ…間一髪だった。まさか
舞い上がった砂埃が次第に晴れてくると、自分達の通る予定だった通路に大破した列車が道を塞ぐ形で姿を現した。そして、ものすごい強力な力で掴み取ったような跡があり、このような芸当ができるのは奴しかいない。
鄙「恐らくデッドエンドブッチャーだ。噂通りとんでもない怪力だな」
猫又「ひぇーおっかない…あと数歩いってたら猫のサンドイッチが出来上がるところだった…」
リン『でも道が塞がれちゃったね…迂回する?』
鄙「…いや、ここを切り開く」
抱えていたリンを降ろすと、ゆっくりと鞘から刃を引き抜き、外気と接触した刀身はやがて赤黒い炎が纏わりつく。鋭い自身の眼光は列車の一部分を真っ直ぐ見据えている。
少し力業すぎると思われてしまうが、先程の落下音で恐らく付近のエーテリアスが全て近寄ってくることを考慮すると、強引に突破した方が良案である。
鄙「二人とも離れていてくれ。自分が列車を断ち切―」
いざ両断せしめんと骸狩りを構えた直後、列車の向こう側から声が聞こえてくる。
「え、えっと、あの…」
猫又「んにゃぁ!?な、なんか列車が喋ったぞ!?しかも女の子の可愛い声で!!」
鄙「(いや…どうしてそうなる…)」
誤った解釈をしてしまっている猫又に対し、そうじゃないと頭を抱える。
猫又「ちょっと列車さん。私達はすごーく急いでいるから、デッドエンドブッチャーに壊されたばかりで悪いけど、そこをどいてくれない?」
リン『猫又ったら、列車は知能構造体みたいに喋らないよ。この向こう側に誰かが居るんでしょ』
リンが呆れた様子で、自身が思っていたことをそのまま代弁して嗜めてくれる。
鄙「すいません、我々は調査協会の者です。そちらの状況としては迷子でしょうか?」
「は、はい…!危険なエーテリアスを避けて通っていたのですが、同行していた皆さんとはぐれてしまったんです…」
やはり案の定、迷子だった。
「あの…もしよろしければ、皆様と一緒に着いていってもよろしいでしょうか?私はキャロットのデータを所持していなく…調査員様なら脱出ルールをご存知だと思いまして」
鄙「…分かりました。ホロウ遭難者救助法要項第2目に則り、脱出まで貴方を責任もって一時保護します」
刻一刻を争う任務中だが、戦闘救難室としては勿論の事、1人の人間として要救助者を見捨てることはできない。少々負担が増えてしまうが1名程度なら許容範囲である。
「ありがとう御座います!
鄙「えぇ、分かりましt……ん?」
聞き返す暇もなく、次の瞬間には耳障りな機械音が辺りに響き始め、そして鋭い刃物で鋼板を切断するような音がこちらへと少しずつ近づいてくる。
しばらくして静寂が訪れたが…直後、回転する刃が列車の車体を突き破る。
猫又「うにゃぁぁ!?し、死んじゃぅ!!」
運悪く電車の側で聞き耳を立てていた猫又が右往左往に動き回る回転刃に巻き込まれそうになりながらも、持ち前の反射神経で何とか無事に済む。
そして刃が正方形状に鋼板を断ち終えると、切断箇所が地に落下し埃が舞い上がる。
「んしょ…うん、どこも破れていない…」
そして現れたメイド服姿の少女。くすんだ緑色の髪をツインテールで結び、施されたメイクアップや装飾品からダウナーな印象を受ける。そしてその手には自身の体格にそぐわない、かなりのサイズがある電動丸ノコを所持している。
猫又「び、ビックリしたぁ…いきなり刃が目の前に…」
「はわわ…!驚かせるつもりはなく…!お怪我は御座いませんか?」
慌ただしく焦った様子を見せ、地面にへたり込む猫又に心配の言葉をかける。そして、彼女は自身を見つめる鄙とリン(ボンプ)の姿にも気づいた。
カリン「も、申し遅れました…!私はカリン、家事代行会社の従業員です。星座は双子座、血液型はRh-、好きなことはお掃除です」
鄙「あっ、どうもはじめまして。ホロウ調査協会調査員の藤木です。星座は蟹座、血液型はA型Rh-、好きなことは真のメロンの探求。えっと確か市民ナンバーは…」
リン『藤木さん…ご丁寧に自己紹介で返さなくても…』
変な所でも律儀な鄙に思わず突っ込みを入れる。
リン『それにしても、本当に家事代行会社の関係者なの?家事ならそのチェンソーは必要ない気がするんだけど…』
カリン「えっと、その…弊社は幅広い分野でビジネスを展開していまして、私達はホロウ関連の業務も行うことがあるんです…」
家事代行会社がホロウ業務…?今時のメイドは色んなことをやっているんだな。
カリン「調査員様の皆様にはご迷惑をおかけしますが、脱出までお世話になります!何かお手伝いできることがあれば何でも仰って下さい。こう見えて力仕事も得意なんです」
鄙「それは頼もしいです。それなら脱出までに自分達の任務を終えたいのですが、その支援をお願いできますか?」
カリン「もちろんです!カリン頑張ります!!」
こうして、予期せず協力者を1人確保することができた。
猫又「余計なお話をしている暇は無いぞ!こうしている間にも列車は走っているし、早くしないと―」
『Garuuuuuuu!!!!』
苦言を言い終えるまでに、親の声より聞いた鳴き声が周囲を木霊する。それを機に、辺りの残骸の物陰からエーテリアスが続々と現れる。
アキラ『エーテリアスだ!それも数がかなり多い…!!』
猫又「ほらぁ言わんこっちゃない!!」
カリン「はわわ…あんなにエーテリアスが沢山…ど、どうしましょう…!?」
鄙「…こうなってしまっては仕方ない。面倒だが、素早く片付けるぞ」
前屈みの姿勢になると誰よりも速く、迫りくるエーテリアスの群れに向かって突撃を敢行した。
鄙「除悪務本、此度もこちらが勝たせてもらう」
雅の告げ台詞を借りて勝敗の帰趨を宣誓する。とうに刀は鞘から抜かれており、瞬時に集団の中心部へ入り込む。侵入を許したエーテリアス共々は骸狩りの間合いに入ってしまった。
鄙「曙流6式、疾風斬舞!!」
迅速果断、鍛えられた剣術が早速猛威を振るい始める。
その重く滑らかな斬撃は確実に、素早くエーテリアスの命の芽を刈り取る。一回瞬きする都度に1体あるいは2体が地に倒れゆく。
『Gruaaa!!!!』
『Graaaaaaa!!!!』
他の同族が狙われている隙をついて、複数の方角から同時的にエーテリアス数体が襲い掛かり包囲網を形成する。
鄙「たっ!!」
だが、刃の届く前に鄙は地面を力いっぱい蹴り抜くと跳躍、空中に高く舞い上がる。
鄙「煙にご用心…っと!!」
そして腰に装着していたウエストポーチから取り出すは、ホロウ業務を行う公的機関で広く使われている強力な発煙手榴弾。
安全ピンを引き抜き、それを眼下に向かって放り投げる。地面に強く叩きつけられた発煙手榴弾は2〜3秒程の間を置いて上面及び底面から白い煙が勢いよく噴き出し、辺りを白一色に包み込む。
そして、鄙が静かに地面へ着地するとここから本領発揮となる。
鄙「(6時の方向にティルウィング4、8時の方向にハティ2、11時の方向にタナトスが1……テレポート能力の脅威度からしてタナトスを優先だな)」
視界が殆ど利かない中、狐のシリオンの特権である非常に高い聴力と自身の特殊能力を活かし、混戦の最中でも冷静沈着にエーテリアスを斬り、最適な行動で戦場の主導権を支配し続けた。
中にはハティやタナトスといった厄介な敵も混じっていたが、一寸先も見えない煙の中、高速で駆け回る鄙を捉えられずに刀の餌食と化し、防衛軍やH.A.N.Dの戦闘員でも苦戦するそれらをいとも容易く斬り伏せる。
鄙「ハァッ!!」
刀を斜めに振り下ろし、骨を砕いて肉を断つ。袈裟斬りを受けたエーテリアスは塵となり、残るは1体―それは自身の背を斬りつけようと得物を振り下ろさんとしていた。
『Gruaaaaaaa!!!!』
鄙「フンッ!!」
鄙は後ろを振り返らずに刀を逆手持ちに切り替えると、脇の間から刃を通し、それは背後のエーテリアスの心臓部を寸分の狂いなく貫いた。
そして刃を引き抜くとエーテリアスは力なく地面に伏し、流れるような所作で得物を鞘に納める。
2分にも満たない僅かな所要時間―数で圧倒的優位性を有していたエーテリアスは、そのアドバンテージを殆ど活かせることなく全てが倒された。
鄙「(…御安霊の安らかならんことをお祈りします)」
戦闘によって興奮した心を落ち着かせるとそっと手を合わせ、恒例の鎮魂の祈りを捧げる。同時に煙幕も効果が切れ、視界が晴れる。
猫又「す、凄いな…あっという間に殆どが退治されてしまったぞ…」
カリン「あのような戦闘、カリンは初めて見ました…」
二人は、自分達の常識の範疇を越えた戦闘の光景に漠然としていた。戦闘中の彼の姿は、例えるなら鬼神の如く、戦いのそれは虚狩りと同等と評しても差し支えない。
猫又「結局、あたし達の出る幕は無かったな…そういえば、藤木って協会でどんな仕事をしているんだ?」
リン『まぁ見ての通り戦闘業務だよ。しかも協会内で唯一の戦闘部署かつ、精鋭無比で知られる戦闘救難室に所属するエース調査員という肩書き付き』
猫又「なっ!?あれでエース調査員なのか!?」
初めて鄙の職種その正体を知り、猫又は酷く驚いた表情を浮かべる。
プロキシと友好関係を持ち、なおかつ筋肉痛に悶え苦しんでいた彼がまさかのエース調査員、しかも戦闘救難室所属とは思いも寄らなかったことだろう。
カリン「戦闘救難室と言いますと、H.A.N.Dの特別行動部と肩を並べるホロウ戦闘のスペシャリストですよね?最近では十四分街の共生ホロウを数時間で鎮圧したとニュースで耳にしました」
リン『そうそう。それに実は、鎮圧には藤木さんの活躍が殆どを占めていて、報じられていなかったけど過去最速クラスの鎮圧時間らしいよ』
カリン「そ、そうだったんですか?藤木様はとても凄いお方なんですね!」
雑談を交わしている三人に、肩を回して少し疲れた様子を見せる鄙が話しかける。
鄙「褒めてくれるのは嬉しいが、少しは手伝ってくれないか…?」
カリン「も、申し訳ありません!!藤木様を決して手伝いたくなかった訳ではなく…」
リン『藤木さんが1人で突っ込んで倒しちゃうから、私達の出る幕が無かったんだけど…でも私的には、藤木さんが戦いを引き受けてくれた方が楽ちんで良いかな〜』
鄙「やめてくれ…20代で過労死はしたくない」
リン『あっ!そういえば、数量限定のメロンクリームを使った特製メロンタルトが家の冷蔵庫にあるんだけどなー?』
鄙「!!これからの戦闘は全て自分に任せてくれ」
アキラ『リン…藤木さんをメロンで釣ってはいけないよ』
リンの甘い言葉に釣れられ、恒例のメロンホイホイにあっさりと引っ掛かる鄙。そのチョロさといったら新エリー都随一、恐らく右に出る者はいない。
作戦を開始してから数分で度重なるトラブルに見舞われたものの、それを全て解決し、面々は目的地の制御室に向かって前進を続けるのであった。
to be Continued…
ここでお知らせです。
皆様に今作の主人公『星見 鄙』の繰り出す技について案を募集したいと思います。どなたかもし良案があれば、活動報告にて詳しい条件内容と共に募集箱を投稿致しますので、協力お願い致します!決して強制ではないので安心を。
そして、ゴズムさんから☆8を頂きました!!高評価ありがとう御座います!!
著者のモチベーションにも繋がりますのでお気に入り登録、感想、そして評価をお待ちしております。もし誤字や脱字、文書の抜け等がありましたら報告をお願い致します。
それではグッバイ
鄙と雅を再開させるなら、どの章?
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2章 白祇重工編
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2章 間章 治安局編
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3章 ヴィクトリア家政編
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4章 カリュドーンの子編
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5章 対ホロウ6課編