追い出し部屋に異動を命じられたらどうする?違法性や対処方法などを解説

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更新: 2025年6月2日

悩んだ様子のスーツの男性の画像会社に勤めているなかで、「追い出し部屋」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。2013年に厚生労働省が複数の大手企業に対して調査をおこない、内容を公表したケースがありました。会社員として働く以上は、今いる部署から追い出し部屋に異動させられる可能性もあります。追い出し部屋に異動させられた際は、どういった対処方法を考えれば良いのでしょうか。本記事では、追い出し部屋への異動を命じられた場合の対処方法や、追い出し部屋の違法性を解説します。

追い出し部屋とは

会社が不必要だと判断した社員を、退職に追い込むために設置する部署が追い出し部屋です。基本的に社員を単純作業や簡単な業務、能力に見合わない業務に従事させる部署を指しますが、正式に追い出し部屋と名前が付いているわけではなく、俗語として使用されます。追い出し部屋に異動を命じられた社員の多くは、自分が会社から求められていない人材だと感じてしまい、仕事に対する意欲を失ってしまいます。仕事へのモチベーションも低下し、自分から退職を選択してしまうケースも考えられるでしょう。追い出し部屋の存在は解雇の問題に直結しています。

社員を追い出し部屋に異動させる理由

会社が追い出し部屋を設置し、社員をそこへ異動させる理由としては以下の2つが挙げられます。

自己都合退職に追い込むため

労働契約法では以下のように、会社が社員を解雇する場合、合理的な理由がない解雇は無効と定められています。「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」*¹つまり、会社は上記の法律に相当する理由がなければ社員を解雇できません。そこで、会社は解雇でなく、会社側にリスクが少ない自己都合退職を社員に促そうとします。追い出し部屋を設置するのは、経験や能力に見合わない仕事を社員に与えて労働意欲を低下させ、自己都合退職に追い込むためです。*¹出典:e-Gov 法令検索「労働契約法第16条」

会社のイメージを低下させないため

大企業や知名度の高い会社が社員を不当解雇すれば、SNSやニュースに取り上げられる可能性があります。世間からの非難も集中し、会社のイメージも悪くなるでしょう。会社のイメージを低下させるような、解雇のリスクを避けるための手段の1つが追い出し部屋です。社員を追い出し部屋に異動させ自己都合退職に追い込めれば、社員が自主的に退職したことになるため、会社は解雇のリスクを抑えられます。

追い出し部屋の違法性について

会社側の都合が良いように、社員を自己都合退職に追い込もうとする追い出し部屋ですが、状況によっては違法になるケースがあります。

過度な退職勧奨は違法

退職勧奨とは、会社が社員に自主的な退職を勧める行為です。退職勧奨そのものは違法ではありませんが、社会通念上相当な範囲を超える過度な退職勧奨であれば、退職強要に該当し違法になる可能性があります。過度な退職勧奨といえる具体例は、社員の名誉を傷つけるような言葉で退職を迫る、長期間にわたって退職を勧める行為が挙げられます。

不当な配置転換は違法になる

会社に勤める以上は、部署異動を命じられる可能性があります。部署異動を含む配置転換は、正当な職務遂行が目的であれば違法ではありません。しかし、社員の退職を迫る目的での配置転換は動機が不当なため違法になります。追い出し部屋への配置転換は、社員を自己都合退職させるためにおこなう部署異動です。正当な職務遂行が目的ではないため、退職を迫るための異動であると客観的に明らかであれば、配置転換命令の違法性と無効を会社に主張できるでしょう。

ハラスメントに該当する可能性がある

追い出し部屋は、会社での立場の優位性を利用して相手に肉体的、あるいは精神的に苦痛を与えるパワーハラスメントに該当する可能性もあります。追い出し部屋でのパワハラ例は、能力に見合わない仕事を押し付ける、仕事を無理やり取り上げる、無視を繰り返して孤立させるなどです。追い出し部屋での業務命令がパワハラに該当した際は、違法行為として会社側に損害賠償請求が可能になります。

法的に問われる可能性も

2013年、追い出し部屋の存在が報道された複数の大手企業に対し、厚生労働省の職員が直接聞き取る形で調査を行いました。調査時は、調査対象の大手企業で明らかに違法な退職強要がおこなわれていた事実はなく、違法性も確認されませんでした*²。しかし、厚生労働省は会社側はやむを得ない労働条件の変更であっても、法令遵守や社員との事前の話し合いをおこなうことが必要だと指摘しています。同時に、過度な退職勧奨が違法な権利侵害に該当した裁判が存在することも述べています。*²出典:厚生労働省「退職強要の有無等に関する調査について」

追い出し部屋に異動を命じられた場合の対処方法

会社から追い出し部屋への異動を命じられた際に、社員が実施できる対処方法を4つ紹介します。

すぐには応じない

会社から命じられた部署異動が、追い出し部屋への配置転換であると疑われる場合、すぐに応じてはいけません。まずは、部署異動の理由を会社から説明してもらいましょう。理由を聞き、追い出し部屋への異動理由として納得いかなければ、異動命令を拒否するのも手段として有効です。異動命令を拒否するのであれば、命じられた部署異動が過度な退職勧奨に該当する可能性を指摘し、違法行為である旨をはっきりと伝えましょう。

会社の対応を記録する

追い出し部屋へ異動になったら、自分の身を守るためにも会社の対応や言動をしっかりと記録しておくことが大切です。会社や上司から来た電話やメール、書類で追い出し部屋への異動に関係するものはきちんと保管しておきましょう。異動命令が客観的に見ても違法性がある事実を立証するためにも、証拠になる物は残しておき、主張が認められない事態に陥るのを回避できるようにしておきます。

転職を考える

追い出し部屋への異動命令が下される状況では、将来的に会社から十分な評価を受けるのは難しいでしょう。会社から、リストラの候補として見られているとも判断できます。このような事態では、たとえ会社に残り仕事を続けても正当な評価を受けられず、労働意欲も低下してしまうでしょう。心身へのストレスも溜まり、健康にも良くありません。追い出し部屋に異動せざるを得ない状況になったら、これを機に転職活動をしてみるのも良いでしょう。

違法な退職勧奨があったと会社を訴える

追い出し部屋への異動が命じられたとき、または異動後に過度な退職勧奨や退職を強要するようなパワハラを受けたときは、会社を法的な手段で訴えることも可能です。法的手段を取る際は、まずは弁護士に相談しましょう。訴訟に至った理由や内容、費用などを相談し、納得できたら依頼します。
現在募集中の求人や企業を検索しましょう

    まとめ

    会社のなかには、社員を自己都合退職させるために追い出し部屋と呼ばれる部署を設置するところがあります。会社が社員に自主的な退職を勧めるのは違法ではありませんが、追い出し部屋を利用した過度な退職勧奨や不当な部署異動は違法になるケースがあります。会社から追い出し部屋への異動が命じられたら、すぐに応じるのではなく異動の理由を説明してもらいましょう。理由に納得できなければ拒否も可能です。念のため会社や上司からの対応を記録し、転職も視野に入れましょう。監修者
    秋保 健(あきほ けん)
    リライ人事労務パートナーズ代表。大手エンジニアリング会社、都内社労士事務所、会計事務所系経営コンサルティング会社での豊富な経験を活かし、2002年4月より独立。経営戦略にもとづいたコンサルティング(人事・労務・アウトソーシング)を実施。運用フォロー等、お客様への継続的なサービスを重視した活動を行っている。『企業再生のために 自力更生型リストラ実務マニュアル』 『中小・中堅企業の人事制度はなぜ失敗するのか?』を執筆。
    Webサイト:http://rely.jp/index.html
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