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なぜ“おじさんは、おじさんが嫌い”なのか



――嫌悪の正体は「未来の自分」との対話である

不思議なことに、若者がおじさんを嫌うのはわかるが、
実は おじさん自身もおじさんが嫌い だ。

飲み会で声が大きくなっていく同年代の男性。
会社で威圧的に振る舞う同級生。
ネットで痛々しい発信をする“自分と同い年の誰か”。

「頼むから同じカテゴリーに入れないでくれ」と心の中で叫びたくなる。
この“拒絶反応”は、単なる他者嫌悪ではない。

そこには、**「自分も結局、同じ道を辿っている」**という恐怖の影が潜んでいる。



1|同族嫌悪の根源:他人の“老い”は、自分の“未来予想図”になる

年齢を重ねるほど、同年代の変化は残酷なくらいリアルに見える。
• お腹が出てきた
• 髪が薄くなる
• 昔より覇気がない
• 小さなプライドに執着している
• コミュニケーションがズレ始めている
• 清潔感より“こだわり”を優先し始める

これらはすべて、
自分にも訪れるかもしれない“老い”の断片だ。

だからこそ、同年代のおじさんを見ると心のどこかでこう思ってしまう。

「ああ…いずれ自分もああなるんだろうな」

この“未来の自分への嫌悪”こそ、
おじさんがおじさんを嫌う最大の理由だ。



2|“こうはなりたくない”と感じるのは、自分に同じ要素があるから

心理学でいう「投影」。
人は、自分の中にある未処理の感情を他者に見て嫌悪する。
• 偉そうなおじさん
 → 自分にも偉そうに振る舞いたい衝動がある
• だらしないおじさん
 → 自分も最近太ってきたことを気にしている
• 清潔感がないおじさん
 → 自分も無頓着になってきているかもしれない不安
• ノリがズレているおじさん
 → 自分も若い頃ほど感覚が鋭くないと感じている

つまり、嫌悪の矢印は外に向いているようで
実は自分に突き刺さっている。

おじさんが嫌いなのではない。
“おじさん化した自分”が怖いのだ。



3|おじさん構文が刺さるのは「自分も気づいたら、そうなるのでは?」という不安

「○○ちゃん、今日はどうだったかな?😊」
「話変わるんだけどさ…😅」

この、いわゆる“おじさん構文”に対して
おじさん世代の反応が意外と強いのは、

「あれ、俺も無意識にこんな文面になってない?」
という恐怖がよぎるから。

距離感のズレ、空気の読めなさ、無自覚な承認欲求。
どれも、老いによって生じるコミュニケーションエラーだ。

おじさんが“おじさん構文”を嫌うのは、
自分の“老化の兆候”を突きつけられるから である。



4|「おじさん化」は誰にも訪れる。“例外ではない”という現実が嫌

おじさんが嫌うのは、他人そのものではなく
「老いから逃げられない」という事実だ。

若い頃は「俺はああはならない」と思えていた。
だが40代を前にすると、それが幻想だったと気づいてしまう。
• 体型の変化
• コミュニケーションの硬直
• 新しいものへの適応力の低下
• 昔より愚痴が増えている
• つい説教じみる
• 部下に嫌われるのが怖い

“あのおじさん”になりたくないのに、
気付けば似た振る舞いをしてしまう瞬間がある。

この「逃げられない自己像」の追い込みが、
おじさんの心をざわつかせる。



5|おじさんが嫌うおじさん像は、ほぼ「自分の未来の姿」である

だからこそ本質はこうだ。

おじさんは、他人の欠点を嫌っているのではない。
自分が変わっていくことを認めたくないだけだ。

未来の自分を否定するほど、
同年代のおじさんへの嫌悪は増幅する。

逆に言えば、
未来の自分を受け入れ始めると、
同年代へ向けていた“苦手意識”は緩やかに薄れていく。



6|老いと向き合うための3つのヒント(簡潔版)

①「自分は例外ではない」と認める

老いと劣化は避けられない。
ここを受け入れた瞬間、同族嫌悪は弱まる。

②“嫌うポイント”は、自分の課題でもある

他のおじさんにイラついたら、
「自分もこうなっていないか?」と一度チェックする。

嫌悪は鏡である。

③“おじさんになっていく”ことに価値を見いだす

老いは衰えではなく、
選択肢が“洗練されていく過程”でもある。

まとめ

おじさんが、おじさんを嫌う理由はシンプルで深い。

それは“未来の自分”を嫌悪しているから。

同年代のおじさんに感じるイラつき、だらしなさ、ズレた言動への拒否感は、
相手への嫌悪であると同時に、
自分自身の老い・変化・限界を真正面から見せつけられる痛みでもある。

しかし――
この事実から目をそらさずに向き合えた人は、
やがて気づく。

「おじさん化」は避けられないけれど、
おじさんにも“かわいげ”も“味”も“美しさ”もあるじゃないか。
と。

そして何より大事なのは、
自分も含めて、誰もがこの道を通るということ。
今日見た“あのおじさん”は、未来の自分かもしれないし、
将来の誰かの「良い大人」になる可能性もある。

だからこそ最後にこう言いたい。

どうせいつかみんなおじさんになるのなら、
おじさんを嫌うより、おじさんを愛していこう。

老いを笑うより、
老いを味わい、
老いを肯定できたとき、
人はほんとうの意味で“いい大人”になる。

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