猛毒襲撃はプーチン氏が「承認」 巻き添え死にも「責任」 英調査委

ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の元大佐と娘が意識不明の状態で発見された現場付近で警戒する警官ら=英南部ソールズベリーで2018年3月、AP 拡大
ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の元大佐と娘が意識不明の状態で発見された現場付近で警戒する警官ら=英南部ソールズベリーで2018年3月、AP

 2018年に英南部で英国側の二重スパイだった元ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐と娘が猛毒神経剤ノビチョクで襲撃された事件に絡み、英調査委員会は4日、事件後にノビチョクに触れて死亡した女性に関する報告書を発表した。プーチン露大統領について、襲撃を「承認したに違いない」と指摘し、「巻き添え」となった女性の死亡についても「道義的な責任を負う」と結論づけた。

 調査委のヒューズ委員長は報告書で、襲撃事件は「国際的・国内的な影響を目的としたロシアの国家権力の公的な示威行為」だったと指摘した。

 この報告書を受けて英政府は4日、GRUとその職員11人に対する英国内の資産凍結や入国禁止などの制裁を発表した。また、駐英ロシア大使を外務省に召喚し、「継続的な敵対活動」についての説明を求めた。

 元大佐と娘は18年3月、自宅玄関のドアノブに付けられたノビチョクに触れ、意識不明の重体となった。現在は回復したとみられている。

 報告書によると、死亡した女性(当時44歳)は同年6月、香水の瓶に入っていたノビチョクを自身にスプレーして重体となり、後に亡くなった。この瓶は襲撃事件後に捨てられたもので、女性のパートナーの男性が、ノビチョクが入っていることを知らずにどこからか持ち帰ったとみられる。

 報告書は、元大佐が当初、露大統領の恩赦を受けて英国での居住を許可されていたことなどを説明。そうした状況を覆して暗殺を謀るには国家レベルの決定が必要であるといった理由から、襲撃は「露大統領の承認なくしては実行されなかっただろう」と指摘した。

 英捜査当局は21年までに、実行役2人を含むGRU職員のロシア人3人を襲撃事件の容疑者として訴追したが、拘束には至っていない。3人はロシアにいるとみられる。ロシアは事件への関与を否定し続けている。

 スターマー英首相は4日、声明で「報告書はクレムリン(露政府)が罪のない命を軽視していることを示す重大な警告だ」と強調した。【ロンドン福永方人】

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