混沌より這い寄る透き通った青春   作:過負荷の後輩

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第五話『甘ぇよ』

子供を利用する大人ってさ、

もう“人生の敗者復活戦”にすら参加してないタイプだよね。

自分じゃ何も作れないから、未来を持ってる子供のポケットを勝手に漁って、“これ僕が必要なんだよね”って当然の顔で持ち去っていく。

あれ、泥棒って言うんだっけ? それとも寄生虫だっけ?

まあどっちでもいいけど。

自分の腐った夢を、まだ発酵してない子供の夢に混ぜようとする時点で、もう二度と人間としての賞味期限内には戻れないよ。

 

子供の純粋さを“扱いやすさ”と勘違いして、無知を“都合の良い材料”と理解する。

自分の身の丈に合わない理想に近づく為に子供を踏み台として扱う。

剰え子供の人生を歪め、食い物にしてしまう。

笑っちゃうよね。

自分の人生すらまともに面倒見れなかった人間が、他人の人生の監督席に座って口出ししてるんだもん。

 

そして一番タチが悪いのは、利用された子供の方が大人を責められないって構造だ。

親を憎めない子供がいる様に、子供は無条件に親を信用してしまう。

自分のいる世界が狂っているだなんて分かるはずがない――もしも分かってしまえば、それは世界の崩壊だ。

だから子供たちは必死に誤魔化している。毒を飲まされたのに「苦かったけど、僕のためなんだよね」って微笑むみたいにさ。

本当にひどいね。

ひどいけど、残念ながら日常だ。

 

僕はそうじゃ無かったけれど、そんな子供だっていなくは無いだろうし。

……ああごめんね。別に、怒っている訳じゃないんだ。ただどうしてもあの組織(ゲマトリア)の事を話すとなると、どうしても僕は過負荷(マイナス)仲間(みんな)の事を思い出さずにはいられない。

 

別に過負荷(マイナス)は個人の性質だから、厳密には関係無いのかもしれないけれど。

 

……でも、親にでさえ理解されて貰えないのは、寂しいものだよ。

 

先生は、どんな生徒でも受け入れるつもりなんだろう? なら、覚えておいて欲しい。

子供たちはキラキラした宝石みたいな可能性を持つ原石ばかりじゃ無いって事を。

歪んだ大人たちによる教育、それは言い換えるなら洗脳だ。

 

全ては虚しいだけ。それだけが世界だと洗脳された生徒達を――僕らは知っている。理解している。体験している。

 

思えば、先生個人とゲマトリアの衝突はあれが初めてだったんじゃ無いのかな。

僕の場合は、少しだけ違うんだけどね――先生と同じく、初めての接触は彼だったんだよ。

 

 

目の前の黒いスーツを着た男は、自身の事を黒服とそう呼んだ。

顔面と当たる部分には各部位を証明するかの如く、白い罅割れが出来ていた。

なんだこの面白ビックリ人間。それなのに一切面白いと思えない。ウケ狙いじゃ無いのかよ。

 

「ククッ、そう緊張なさらないでください。あくまで今日は話し合いをしに来ただけです」

 

『……良く言うぜ。人の頭を銅鑼の如く叩いてさ』

 

僕はさりげなくシートベルト越しから制服のズボンやら上着やらを探る。

どうやらどこも盗まれたものは無さそうだ。なけなしの金が入っている財布まであるし。

 

「貴方であれば大した痛手では無いのでは。――治せるのでしょう? その埒外のスキルで」

 

『スキルじゃ無くて過負荷(マイナス)なんだけどね』

『お望みとあらば見せてあげようじゃないか』

『どうせそれ目的で僕に近づいたんだろう?』

 

僕は自分の頭に右手を当てて『大嘘憑き(オールフィクション)』を発動する。

その瞬間、僅かに鈍痛だった頭がまるでたっぷりと睡眠をとった翌朝並みにスッキリした。

おお、これは驚き。細かい不調とかは面倒くさくてやっていなかったけれど、これは意外だ。

 

「――素晴らしい」

 

僕がそう自分の過負荷の新たな一面を覗き見た時、黒服は目の部分にある白い丸を大きくさせた。

それはもう本当に大きく、口元に当たる白い罅割れがさらに広がる。

 

「素晴らしい。素晴らしい、素晴らしい、素晴らしい! ――ああ今なら地下生活者の言っていた事が分かります。『大嘘憑き(オールフィクション)』、現実(すべて)虚構(なかった)にするスキル――正に法外(チート)。過去までもが貴方の思い通りになる。世界の全てが貴方に屈服する。貴方が望むのならば、この世界は瞬きの内に、さながら泡沫の如く、無かったことにされてしまうのでしょう――その牙はあの『色彩』にも届くのか。興味が湧きますね」

 

まるで大変素晴らしい事の様に興奮しているけれど。

うーん、これそんなに良いもんじゃないよ?

まあ手ぶらでマジック出来るという点においては優れていると言わざるを得ないけれど。

 

「まさか『暁のホルス』よりも素晴らしい神秘を秘めている存在と出会えるとは思ってもいませんでしたよ。いいえ、あなたの場合神秘というよりかは――ああ、実に興味深いですね」

 

『あんまりじろじろ見ないでくれるかな』

『せめて事務所通してからじゃ無いと』

『僕には指一本触れちゃダメなんだぜ?』

 

「事務所と言うと――あなたが現在身を置いている独立連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』の事ですか? あの先生という我々と同じく外から来た人間がいる」

 

『そういう君はどこの所属なのかな? 黒服ちゃん』

 

「ちゃん……」

 

『さっきアビドスの借金と言ったね。アビドス高等学校がその法外な借金を持っているという事は公然たる事実だと思うんだけれど、どうして()()()()()()()()()()()()()僕に話を持ち掛けたのかな?』

 

僕は身に着けている水槽学園の制服にそっと手を這わせた。

 

『僕を襲撃したあの子……どうやらカタカタヘルメット団を味方につけているよね』

『勿論カタカタヘルメット団に忠義を払う相手なんかいなさそうだし、雇用という関係に落ち着くのは分かっている』

『だけど――この車、軍用車両でしょ? 随分と高級(リッチ)に仕上げている様だけれど、装甲は貫通弾でさえ通せない厚い様な分厚い代物だ』

 

こんこんと僕は車のドアを軽く叩いてみる。鉄の重い感触と鈍い音が響いた。

 

「……まさか車内、それも後部座席だけでそこまで判断が付くとは。侮れませんね球磨川さん」

 

『人を見かけで判断しない事だね黒服ちゃん』

『僕はこう見えても成績優秀で真面目な生徒なんだぜ?』

 

まあ最も今の僕は生徒ではなく卒業生……いや、この世界に僕がOBとなれる学校は無いわけだし、卒業生とも言えないな。

 

『ま、そういう訳で。黒服ちゃんはさしずめカイザーの手先、或いはその協力関係にある存在だと思っているんだけど。そこんとこどうなの?』

 

「……ええ、まあ隠し通すつもりもありません。カイザーPMC様とは確かに協力関係という位置にありますが、私の本来の目的は――神秘の解明ですので」

 

『神秘……ね』

 

生徒達が持っている『異常(プラス)』でも『過負荷(マイナス)』でも『スタイル』でもない特殊能力。弾丸さえ通さない肉体。生物としての(ステージ)が違う。その根本的な要因が先ほど黒服ちゃんが挙げた『神秘』というらしい。

 

「私達ゲマトリアの目的は『色彩』の探求。そしてそれを呼び起こすのには強大な神秘が必要です。――球磨川ミソギ様、我々の元へ来ませんか?」

 

『ふぅん。面白そうだね』

『僕としては別にどっちでも良いんだけど』

『――「暁のホルス」と言ったよね。それって誰のことなのかな?』

『僕はそれの代々品って事でいいのかな?』

『返答は早くしてね。僕ってば気の移り変わりがまるで梅雨の空模様の様に激しいからさ』

『いつ気変わりするか、分かんないから』

 

案外乗り気だったことに黒服ちゃんは少し驚いていた様だった。

顎を引いて元々正しかった姿勢を更に垂直にさせる。

 

「『暁のホルス』を使()()事を正当な手段として見立てた時、確かに球磨川ミソギ様の存在は彼女の代替と見られていてもおかしくありません。ただしそれは決して球磨川ミソギ様が秘めるものが、彼女に劣っているという訳ではありません。()()()()()()()()()()()とお考えになって下さい。かつてその教えを()()()は『代替可能(ジェイルオルタナティブ)』とそう言っていました」

 

『「代替可能(ジェイルオルタナティブ)」……ね』

『代替可能それ故に大体可能って訳か』

『彼女が聞いたら鼻で笑いそうな教えだぜ』

 

僕はそっとかつて『出来ない事探し』に明け暮れた人外(かのじょ)の事を思う。

かつてあの世界を少年ジャンプの連載だと本気で信じていた彼女の事を想い馳せる。

 

『カイザーPMCと個人的な取引をしていて、尚且つ僕の為にわざわざこんな砂まみれの所まで来たって考えるのは無いよね。黒服ちゃんは最初からアビドスか、そこの近くにいたって訳だ』

 

「ご明察の通りでございます」

 

『ふーん。さっき「暁のホルス」の事を()()って呼んでいたよね。てことはさ、それって――』

 

「……広大なキヴォトスの中でも最高峰の『神秘』。それがまさかこんな僻地にあるとは思いませんでしたよ。確か名前を『小鳥遊ホシノ』と言ったそうですね。まあ私達にとって使う道具の名称などどうでも良い事なんですが」

 

『へえ小鳥遊ホシノか』

『あのウザい後輩の事ね』

『そりゃあ丁度いい。世間知らずな彼女に身の程を教えたいと』

『僕も常々思っていたのさ』

『協力するよ黒服ちゃん。これからは僕のことを君の右腕だと思って、球磨川ミソギのミとギを取って「ミギー」と呼んでくれ』

 

「……ククッ。貴方様ならそう言ってくれると思いましたよ。ではこれからカイザーPMCとの会議がありますので。是非ご一緒してください。そこでちょっと貴方にやってもらいたい事がありますが、構いませんね?」

 

『あい合点だよ黒服ちゃん』

『ということはあれかい? ここはまだアビドスの中って訳かい?』

 

「そうなりますね。というのも会議の場所がブラックマーケットの一角ですので、今はアビドスとそこを繋ぐ高速道路を走っています」

 

『へえ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ね』

『そりゃあ十全だ。僕も安心してリクライニング出来るし、シートベルトだって外せるよ』

『僕は融通の利かない奴でね。シートベルトなんてもんつけてると肩っ苦しくて仕方ないのさ』

 

二重に拘束されたシートベルトを取り外しながら僕は足を組む。

 

『それで具体的に僕は何をすればいいんだい?』

『やってもらいたい事――まあさしずめ僕の「大嘘憑き(オールフィクション)」で何かしらを無かったことにしたいつもりなんだろうけれど」

 

「ええその通りです。カイザーPMCはまだ貴方の能力を認めていない様ですから、会議の机でも、奇術の言い訳に持ち込めないものを無かったことにして欲しいのです」

 

『へえそれも良い。ただこれもどうかな?』

『――僕の能力を使って誰か一人、無かった事にするっていうのは

 

「……それは」

 

『いやこの際会社の建物丸ごと、いいやそれよりもアビドスそのものを。いいやそれこそ勿体ぶらずこの世界全てを無かったことにしようか

 

「……戯言もそこまでにして下さい。私はともかく他が貴方様の妄言に付き合うとは――」

 

その時、黒服ちゃんの身体に四本の巨大な螺子が刺さった。

いや刺しといっていい。何せその攻撃は僕が行ったものだから。

僕は空いた両手に螺子を掴んで、そのまま黒服ちゃんの身体を貫き、前方座席に縫い合わるように螺子を突き刺した。

 

『へーえ』

『じゃ』

『文字通り付き合ってもらおーかな』

『お人形さんみたいに!』

 

「グ……ッこれは、螺子……?」

 

 

『人外なら攻撃されないと思った?』

 

 

 

『黒幕ぶってれば安全だと思った?』

 

 

 

 

『僕が可愛らしい顔立ちだから』

 

 

 

 

 

『おしゃべりの最中なら死なないと思った?』

 

 

 

 

 

 

『ウザい後輩の話を持ち掛けたから』

 

 

 

 

 

 

 

『僕が協力するとでも思った?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甘ぇよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

額に向けて僕は螺子を思い切り蹴りつけた。

黒服ちゃんは何も言わない。何も答えない。今しがた僕が行った行動を理解できないみたいだ。

既に『大嘘憑き(オールフィクション)』で先ほどの行為は無かったことにしてある。

その事についても言及しなかった。体勢も変わらず、リクライニングを効かせている。

 

「甘い、ですか」

 

『そんなドロドロした甘さじゃあ』

『君とは付き合えないね』

『同じ甘さでも』

『僕は後味がスッキリする方が好きなんだ』

『それに――』

 

僕は螺子の先端を突きつけた。

 

『ホシノちゃんは僕の大切な後輩だ』

『僕の後輩に手出ししないで貰えないかな』

捻じ伏せるよ?

 

「ククッ、クククッ……交渉決裂ですね」

 

黒服ちゃんは面白おかしそうに笑う。

 

「それで、どうするつもりですか? この車ごと無かったことにするおつもりですか?」

 

『……君たちは何かとこの「大嘘憑き(スキル)」を万能の様に扱うけどさ』

『僕にとっちゃ奇術みたいなものでね』

『車を無かったことにするだなんて、そんなちっぽけな事しなくても良いのさ』

『それよりも、スピードを上げた方が良いんじゃない?』

『アビドス内の高速道路を走る螺子が貫いた軍用車なんて』

『動物園のパンダみたいに注目されちゃうよ?』

 

次の瞬間、爆発音と共に車全体が大きく揺れた。

恐らく運転手は目の前に飛来した爆弾に驚いているのだろう。

爆発は連続して続く。黒服ちゃんに少しながらの動揺が走った。

 

「これは……なるほど、侮れませんね」

 

大きな揺れはシートベルトをしていない身体を宙に浮かせる。

そしてそれを見逃さず、発砲音と共に空いた大きな穴から手が伸びて、僕の襟元を掴む。

天井から外へと連れ去られる僕と黒服ちゃんの目と思しき白い罅割れが交差した。

 

「――それでは球磨川様、また会いましょう」

 

僕は外に放り投げられていた。高速道路の上をゴム毬の様にバウンドしながら、僕は固いアスファルトの上で起き上がる。黒塗りの窓だったから分からなかったけれど、どうやら既に時刻は夜らしく、夜空が世界を覆っていた。高速道路は僕ら以外車一つとしていなかった。随分と快適に進む車だと思っていたけど、そういう意味だったか。

 

『……予想よりも速かったね』

『流石は便利屋68』

『いや――』

 

僕は目の前にいる四人の少女たちを見やる。

 

「あら、案外大丈夫なようね。ご主人様」

 

「ぶ、ぶぶっ無事でよかったです。ご、ごごごご主人さまっ」

 

「くふふ。私達がいて良かったでしょ? ご主人様」

 

「……ご主人様サイテー」

 

そこには便利屋68(裸エプロンver)がいた。

白色と艶めかしい肌色のコントラストはもはや芸術の域だ。

 

「やっと――勝てた」

 

これが眼福というものか。つい感極まって本音が出てしまったぜ。

裸エプロンを推し続けて早一年。箱庭学園でその夢は結局叶うことは無かっただけに、今僕は大粒の涙をこぼしながら彼女たちを見ていた。

 

「そんなに私達の裸エプロンが見られて嬉しいのかしら!?」

 

やや引いた表情を浮かべるアルちゃんを前に、僕は大きく頷く。

 

『ああそれと、僕の連絡に気づいてくれてありがとうね』

『お陰で助かったよ』

 

あの時、目覚めてから僕が制服のあちこちを触っていた時に。

僕はどさくさに紛れてアルちゃんに電話を掛けた。

もちろん相手側はミュートにしてね。

アルちゃんは会話の状況からして僕が拉致されたと分かり、こうして助けに来てくれたという訳だ。

 

勿論、裸エプロン姿でね!!

 

エプロンを羽織っている皆々はそれぞれ違った反応をしていた。

アルちゃんは先ほどの救出劇のどこかに感動したのか、ふふんと誇らしげで。

ハルカちゃんは顔を赤らめて嬉しそうに微笑んでいる。

口を緩ませながらメンバーで一番楽しそうにしているのがムツキちゃん。

カヨコちゃんは……相変わらず冷たい眼差しでこちらを睨んでいた。

 

『おいおいダメじゃないかカヨコちゃん』

『ちゃんとご主人様って呼ばないと』

『それに、君が乱暴に地面に投げたお陰で制服が傷ついちゃったじゃない』

『世界に一つしかない僕の一張羅だぜ? どうしてくれるのさ』

 

「……っ」

 

カヨコちゃんは暫く葛藤していたが、やがてそっぽを向いて、顔を赤らめさせて言う。

 

「先ほどは失礼しました。無事で何よりです……ご、ご主人……さま……っ」

 

『うんうん』

『ありがとうねみんな』

『流石は裸エプロン同盟だ』

 

「「「「そんなヘンテコな名前の会に入った覚えはない(です)っ!」」」」

 

 

「交渉は決裂。彼がこちら側に来れれば彼女にアビドス前生徒会長の蘇生を提案出来たのでしたが……これは私がやらなくても良い事でしょう。引き続き『暁のホルス』の起爆剤として活用させて頂きますよ――球磨川ミソギ様」

 

「おや――?」

 

「これは……」

 

 

『しかし良かったのかい?』

『あれどう見てもカイザーの車だろう』

『君たち便利屋68とカイザーは雇用関係にあるんじゃあないのかい?』

 

「私は生粋のアウトローよ。アウトローは絆や仲間を大切にするの。本当なら明日アビドス学校をカタカタヘルメット団と一緒に強襲するつもりだったんだけど――責任、取ってくれるかしら。ご主人様?」

 

その上目遣いは反則だぜ。僕は両手を広げてやれやれと了承した。

 

『仕方ないなあアルちゃんは』

『僕らは既に固い絆で結ばれているからね』

『君からのお願い事は断れないな』

 

『いいよ――派手にやっちゃいないよ

 

「ならお言葉に甘えて、これがカイザーへの手切れ金よ!」

 

 

その言葉を聞いたアルちゃんは走り行く車を背後にして踵を返した。

 

 

「起爆しなさいムツキ!」

 

「は~いっ! くふふ、派手な花火になぁれっ!!」

 

 

次の瞬間、車が光を放ち大爆発と共に炎上した。

車の破片があちこちに飛び散り、中から運転手であろう機械人間が走り去っていく。

まああのくらいなら死人は出ないだろう。

黒服ちゃんの姿は見えないけれど大丈夫だという確信があった。だってしぶとそうだし。

 

爆風と赤く煌めく炎を背景に便利屋68達は優雅に歩いていく。

尊敬の眼差しを送るハルカちゃんと、爆発が見れて楽しそうなムツキちゃん。カヨコちゃんはため息を吐いているけれど、文句は言わなかった。

 

そしてその党首たるアルちゃんの顔は――ああ全く、なんて良い笑顔をしているんだ、君は。

 

裸エプロン姿なのが微妙に締まらないけれどね。

勿論そんな余計なことは言わずに、僕たちは燃え盛る車を後にした。

 

 

「ところでご主人様?」

 

『ん、なんだい?』

 

「私達、明日の仕事が無くなってしまったから、お金が無いのだけれど……」

 

『ああ気にしないで』

『僕も無いからさ』

『これからは五人で廃墟泊りだね』

 

 

僕が心配させないようそう明るく振る舞うと、アルちゃんは白目をむいて絶叫した。

 

 

 

「何ですってえええぇぇぇぇぇっっ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ギャグ担当にしてカッコいい担当。これでオチまできっちり出来るんだから流石真のアウトローだぜ。『代替可能』は西尾維新作の『クビキリサイクルシリーズ』に出てくる設定です。こちらも面白いので是非読んで下さい。

便利屋68をひん剥かせて裸エプロン状態にさせた作品はここだけでしょう。
みんなも裸エプロン同盟に入らないか?

コメント等よろしくお願いします。
コメントが多い程更新頻度上がりますので。
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