私は、スターバックスコーヒーが大好きです
さて、月曜日に受けた面接の返事があり、お見送りとなった。
中央線沿線の某駅に、面接の2時間も前に到着した私は、成城石井やナチュラルローソンや整体院や保育園が入居したビルでうろちょろしながら、「今までの人生であまり関係を持たなかった店ばかりだが、もしかしたら今後お世話になるかもしれない。ノンカフェインのコーン茶でも買っちゃお」とうきうき気分で東京生活への妄想を逞しくしていた。
面接時間になり、会社へ。2、3分代表を待つ。現れた代表は、パタゴニアのスウェット姿、50代前後の男。私は洋服の青山の上下。この時点で、勝負はあったも同然、と考えるのは早計か。それは早計だろう。
私が志望したのは「地域密着型オウンドメディア」を運営しながらも、場所貸しやイベント運営などやる企業で、手広くやっている中で、その「オウンドメディア」を発展・展開させていきたい、編集できる人、文字が書ける人歓迎と要項にあったから、自分のスキルと合致していると判断し、申し込んだ。その旨はすでに当然、1次面接の時点で人事担当者に伝達済みであり、通過を経ている。
しかし、現れたパタゴニアの代表がまず口を開くには「”オウンドメディア”はカネにならないし、発展・展開させるつもりはない」と。
な、なんて?である。
認識の齟齬、とか、ミスマッチ、とかのレベルでなく「うそ」である。
まず募集要項の時点で「うそ」とは思わないから、私は「じゃあ、"オウンドメディア"の発展とかはおいといて、御社の別の募集要項にあった、これとこれなら出来るから、そこで判断してください。ちなみに、一次の時点でそれも伝えています」となんとか最終面接自体を成立させようと試みた。しかし、すでに本来の志望動機は伝えているから「その仕事はやりたくないんでしょ」と言う。私としては、そうですよ。でも出来ます。と返すしかない。
その後も、場所貸しやイベント運営をしている所以で、「地域活性化のためにはこんな手を打ってみては如何ですか」と提案してみるも「そもそも地域活性化を目論んでいない。前提がおかしい」といけしゃあしゃあと言う。私は眩暈がした。別にケンカしに来たわけでなく、私は今までこういった経歴を重ねてきて、御社の募集要項を読み、職務希望とキャリア形成がマッチした、と考えたからエントリーしているし、すべて善かれと思って話している。「地域活性化なんかしたら、よそ者が増えちゃって迷惑なんですよ」と続けるので、出身地を聞くと、大阪府大阪市平野区と答えた。あんたもよそ者ではないか。大阪メトロ谷町線喜連瓜破駅前のイオンモールのスガキヤでソフトクリームでも舐めていろ。
私は、このパタゴニアの男が、御社ホームページに載った代表者写真とよく似た別の人間なのではないか、と錯覚するほどに、事前に聞いていたことと主張が正反対なことに狼狽えるしかない。そもそも、「人が要りません」とのたまう会社に「入ります」と懇願してみても通らないに決まっている。いきなり押しかけていって「入れてくれろ」と扉をバンバン叩いたわけでなくて、「募集中です」と書かれているところに入って行こうとしたら「入ってくんな」と言われているのだ。宮沢賢治だって、西に困った人がいる、と聞いたからわざわざ西まで馳せ参じているのであって、「別に困ってないですけど」と言われたら腹も立てるだろう。それで早死にしたのかもしれない。
無意味に侃侃諤諤とする中で、会社最寄駅のスターバックスコーヒーの話題になったのだが、ここでもパタゴニアは「スターバックスコーヒーができたから、地域の個性が失われるので迷惑だ」と、いちいち私と正反対である。私はほぼ毎日、新潟県上越市のスターバックスコーヒーに救われている。「私はスターバックス、大好きですけどね」と返すに止めたが、こんなしょうもない諍いのためにわざわざ片道2時間と9,000円かけてやって来たわけではない。
こんなやり取りをしながら受かっているわけがないのだが、「熟慮に熟慮を重ねた結果」不採用となった旨、本日連絡があった。どこに熟慮に熟慮を重ねる余地があったのか。それはともかく"「地域活性化」を掲げていない"、という代表の言葉が引っ掛かり続けていたので調べると、昨年のプレスリリースで「××市において、地域コミュニティの形成と活性化に取り組む」と記載されている。一年で脳みそをすり替えられたのか?楳図かずおの『洗礼』か?もはや何もかも意味不明だったので、ここまで書いたことをまとめて昼間にメール返信してはみたものの、いまのところ返事はない。
無能である(ごめんなさい)とか、性格が暗い(やかましいよ)とかいった理由で落とされたことはあったが、「募集は、うそ」なんて仕打ちを喰らうと、就職活動する気も失せてしまう。
気分を切り替えるため、性懲りも無くスターバックスコーヒーへ。いつも私が、なんとかラテ、ばかり頼んでいたのを店員さんが覚えてくれていたようで、入店するやいなや、試飲のブラックコーヒーを小さな紙コップに用意してくれていたが、私が空気を読まずに、ブラックコーヒーをオーダーしてしまった。すると、「ごめんなさい。同じ味のを用意してしまっていたので、試飲のほうに味変のジンジャーシロップを入れてみますね。外も寒いですし」と機転を利かせてくれた。生姜で体も、荒んだ心も温まる。こんなに気の利く人が働いているのに、スターバックスコーヒーが没個性なわけがあるか。私はスターバックスコーヒーが大好きです。
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おかしな話があったもんですね。
半年ほど前にJETさんのnoteに「私も生活を再起動するところです。お互い頑張りましょう」とコメントした者です。 その後期間従業員として採用されて工場で働き、2月まで頑張るぞと奮闘しています。 私も、同僚でも家族でもない、お店の人の優しさに励まされることがありますし、おかしかったり、悲し…